精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問117

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問題

第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問117 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、次の問に答えなさい。
〔事例〕
Gさん(26歳、男性)は、大学生の時には相手の話した冗談を言葉どおりに受け取ってしまいトラブルに巻き込まれることもあったが、趣味の合う仲間もいて楽しく過ごすことができていた。しかし、就職してからは、元々あった音に対する敏感さに加え仕事の内容ごとに手順が異なり、戸惑うことが多くあった。異なる指示を受け混乱していたGさんはささいなミスを続けてしまい、上司からきつい注意を受けたことがきっかけで、休みがちとなった。Gさんには相談相手もおらず、1年もしないうちに自主退職してしまった。その後の求職活動では、書類選考や筆記試験では問題はないものの、面接になるとうまく話すことができず不採用が続いた。そのうちに、「もう何をやってもだめなんだ」と仕事探しをやめ、自宅で家族との接触も避け、自室に籠るようになっていった。このような本人の様子を心配した両親は、近所のXメンタルクリニックで相談していたが、ある日、両親と一緒にGさんが初めて受診した。そこで、担当となったH精神保健福祉士が、「今日はよく来てくれましたね」と本人を迎え、初回面接を行った。

H精神保健福祉士は、数回の面接で、「周りがうるさいと仕事に集中できない」「パソコンでの作業は長時間集中できる」「急な予定変更には対応が難しい」「就職はすぐにしたいが、今はまだ自信がない」と話すGさんの状況から、地域若者サポートステーションの利用を勧めた。

その後、地域若者サポートステーションの利用を始めたGさんは、3か月たったある日の面接で、職場体験プログラムで会社訪問に行った時の様子を語りだした。「指示が具体的で手順が明確だ」「イヤホンを着けたままできるパソコン作業は、手際が良いとスタッフから褒められた」と満足気に話し、「自分にも仕事がやっていけそうだ」と嬉しそうに続けた。

次のうち、下線部の時点でH精神保健福祉士がGさんに、地域若者サポートステーションの利用を勧めた理由として、適切なものを1つ選びなさい。
  • 日常生活リズムを確立するため
  • 協調性などの対人関係能力を向上させるため
  • 職業適性を見極めるため
  • 家族関係を改善するため
  • 障害受容を深めるため

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。
「地域若者サポートステーション」の役割についての問題です。

地域若者サポートステーションは働くことに悩みを抱えている15歳~49歳までを対象とした相談機関です。就労に向けた支援を行っています。

Gさんは現在「就職はすぐにしたいが、今はまだ自信がない」という状態であることを踏まえて支援をしていきます。

1→ 日常生活リズムを確立することは働くうえで必要ですが、その理由だけで「地域若者サポートステーション」を勧めることは適切ではありません。

2→現時点では「対人関係能力」の前に、Gさんが仕事を処理していくうえでのことが課題となっています。

3→「職業適性を見極めるため」に「地域若者サポートステーション」を勧めることは適切といえます。数回の面接で仕事上の問題点がわかってきました。そのことを理解したうえで、職場体験を行える場所を勧めることは適切です。

4→「地域若者サポートステーション」を勧める理由となっていません。またこの段階において家族関係は問題になっていません。

5→「地域若者サポートステーション」を勧める理由となっていません。またこの段階において障害受容は問題になっていません。

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02

 Gさんは、「周りがうるさいと仕事に集中できない」「パソコンでの作業は長時間集中できる」「急な予定変更には対応が難しい」「就職はすぐにしたいが、今はまだ自信がない」という悩みを持っているため、そこに焦点を当てた支援が必要となります。

 地域若者サポートステーション(サポステ)とは、働くことに悩みを抱えている15歳から49歳までの方に対し、キャリアコンサルタントなどによる専門的な相談、コミュニケーション訓練などによるステップアップ、協力企業への就労体験などにより、就労に向けた支援を行っています。
 サポステの主な支援内容は、コミュニケーション講座やジョブトレ(就業訓練)、ビジネスマナー講座、就活セミナー、集中訓練プログラム、パソコン講座等があります。その中の就活セミナーにおいて、就業適性検査も行っているため、選択肢3が正解となります。

1.×
 日常生活リズムを確立することも必要ですが、Gさんが数回の面接で話した悩みに対して支援を行っていくことが最優先となるため、適切とはいえません。

2.×
 対人関係能力を向上させることよりも、まずは、Gさんの悩みに対して支援を行っていくことが大切であるため、適切とはいえません。

3.○
 職業適性検査とは、働くための能力を測定する検査のことです。Gさんにどのような仕事が合っているか等を知ることで、Gさんの強みを生かした仕事への結びつけや、Gさんの自信につながることを見いだすことができるといえます。

4.×
 家族関係を改善することが必要という記述は見受けられないため、適切とはいえません。

5.×
 障害受容を深めることよりも、まずは、Gさんの悩みに対して支援を行っていくことが必要であるため、適切とはいえません。

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03

正解は、 です。

事例にGさんの思いとして、「周りがうるさいと仕事に集中できない」「パソコンでの作業は長時間集中できる」「急な予定変更には対応が難しい」「就職はすぐにしたいが、今はまだ自信がない」とあります。つまり、就職に対する課題が中心となっていることを意識して、選択肢を選ぶ必要があります。

1 就職のためには日常生活リズムを確立することも大切ですが、さまざまな社会資源の中から地域若者サポートステーションの利用を勧めていることを考えると不適切です。

2 就職のために対人関係能力の向上も必要ですが、他の社会資源でも対応可能であることを考えると不適切です。

3 地域若者サポートステーションを勧めた理由として適切です。

4 Gさんの今の課題は就職に対することが中心となっていますので、不適切です。

5 事例に、Gさんに障害の診断の記載はありません。その中で障害受容を深めることは不適切です。また、Gさんの今の課題は就職に対することが中心となっていますので、不適切です。

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