精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問132

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問題

第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問132 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、次について答えなさい。
〔事例〕
Kさん(26歳、女性)は大学卒業後Y社に就職した。配属された部署は残業が多く忙しい職場であった。直属のL上司はKさんを熱心に指導した。生真面目なKさんは、L上司の期待に応えようと、自宅に仕事を持ち帰って仕上げるように心がけた。そのため、仕事が頭から離れず、寝てもすぐに目が覚め、食事も砂を噛んでいるようになっていった。体調の悪さを自覚したKさんは、社内報に掲載されていたY社が契約している従業員支援プログラム(EAP)機関のことを思い出し、相談に行った。そこで、Kさんは担当のM精神保健福祉士に、「他の社員に迷惑が掛かるから休めない」「眠れなくてつらい」「このまま消えたい」と涙ながらに訴えた。M精神保健福祉士は、「よくここまで耐えてこられましたね」とねぎらった上で、次のように提案した。(※1)

数日後、KさんはZ精神科病院を受診し、うつ病と診断され入院することとなった。1か月を経過した頃、Kさんは面会に来たM精神保健福祉士へ、「主治医が退院を許可してくれない。休んでしまった分、早く穴埋めをしたいのに」と訴えた。面会の1週間後、M精神保健福祉士は、主治医とKさんとL上司とで退院について協議した。そこで、M精神保健福祉士は次のことを提案した。

後日、入院中であったKさんは、精神科デイケアを体験利用した。そこでは自分と同じような状況にある利用者と交流して、焦っているのは自分だけではないと感じた。退院後、精神科デイケアを利用し始めた。3か月後、M精神保健福祉士は、デイケアスタッフ、主治医、L上司、Kさんと仕事に関して話し合った。従業員に業務負荷を強く感じさせる労働環境の改善も必要だと、L上司も考えるようになった。Kさんは負荷の少ない配慮された環境で仕事を再開した。それから数か月たった頃、M精神保健福祉士は労働環境の改善が必要と考え、L上司に「働き方を考える研修会」の実施を提案した。そこで、Kさんは体験談を語った。

研修会の後、KさんはM精神保健福祉士に、「初めは、今までのように働けない自分を弱い人間だと感じていた。でも、同じ病の人と出会い、体が壊れるまで働くのは個人にとっても会社にとっても良くないと、今は思う」と語った。

次のうち、(※1)の時点でM精神保健福祉士が提案した内容として、適切なものを1つ選びなさい。
  • 入院を勧める。
  • 転職を勧める。
  • 気分転換として旅行を勧める。
  • 受診を勧める。
  • パワーハラスメントで訴えるよう勧める。

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この過去問の解説 (3件)

01

1.×
 Kさん本人が入院を希望しているわけでもなく、また、自傷他害の恐れがある等で入院が必要であると判断されたわけでもないため、入院を勧めることは、適切とはいえません。

2.×
 Kさんは、仕事を辞めたいことを話しているわけではないため、転職を勧めることは適切とはいえません。

3.×
 気分転換も必要ではありますが、それよりも、まずはKさんの辛い気持ちを受け止め、必要に応じた治療や支援をすることが必要であると考えられるため、適切とはいえません。

4.○
 Kさんは「眠れなくてつらい」と言っていることから、受診を勧め、必要な治療などを行うことが適切といえます。

5.×
 Kさんがパワーハラスメントで訴えたいと話しているわけでもないため、適切とはいえません。

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02

正解は、 です。

1 まだKさんは病院を受診しているわけではありませんので、M精神保健福祉士の考えで入院を勧めることは不適切です。

2 Kさんは、体調の悪さについてM精神保健福祉士に相談した段階であり、退職の意向も聞かれていません。今後、L上司や職場とも労働環境等について相談できる可能性も残されていますので、ここで転職を勧めることは不適切です。

3 気分転換を促すことも大切ですが、まずは現在の症状の改善や労働環境について考えていくことを優先しましょう。

4 適切です。「体調の悪さ」について、どのような病名なのか受診を勧めることは、今後の方針を考える上でも適切です。

5 Kさんは、体調の悪さについて相談しているのであり、職場を訴えたいという意向は聞かれていませんので不適切です。

参考になった数7

03

正解は4です。

(※1)の時点でKさんは、「他の社員に迷惑が掛かるから休めない」「眠れなくてつらい」「このまま消えたい」と伝えています。

1→すぐに入院を勧めることは適切ではないです。

2→Kさんは、今の仕事に前向きに取り組もうとしているが故に、自分を追いつめてしまっている状況ともいえます。これまでの仕事から離れる形である「転職」を現段階で勧めることは適切ではないです。

3→気分転換を促すことは大切ですが、現段階ではまずKさんの「眠れなくてつらいこと」や「このまま消えたい」というサインを丁寧に治していくことが必要といえます。

4→体のサインとして「眠れなくてつらいこと」などをあげているKさんに受診を勧めることは適切といえます。

5→パワーハラスメントで訴えるよう勧めることは、Kさんの主訴からは読み取れません。M精神保健福祉士の一方的な判断になってしまいます。

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