精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問138
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問題
第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問138 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、次の問題について答えなさい。
〔事例〕
Q市の地域若者サポートステーション(以下、「Qステーション」という。)で働くD相談員(精神保健福祉士)のところへ、抑うつ傾向にあるEさん(32歳、女性)の母親が、娘の将来を案じ相談に訪れた。話を聴くと、Eさんは1年間の浪人生活の後に大学へ進学した。卒業後は、希望する職業はなく有期雇用の採用であった。デザイン会社、IT企業、不動産会社などを転々として働いたが、この半年間はあまり外出もせず、自宅で過ごす日々が続いている。
D相談員は、母親を通じEさんから了解を得て自宅を訪問した。数回の訪問の中で、Eさんから、「卒業後はリーマン・ショックによる就職難」「そして、結局有期雇用」「資格を取っても意味がなかった」といった傷ついた自尊心などが語られた。同世代のD相談員は、Eさんの話に共感し、「厳しい環境の中でも働けてきたこと」「働きながら資格を取り、様々な業種でキャリアを積んできたこと」「社会とつながろうとする気持ちがあったこと」などといったメッセージを返した。(※1)
その後、EさんはQステーションを訪れるようになり、再び就職してみたいと考え始め、「無理しない程度で、若い人たちと会えるような職場があれば」とD相談員に話した。D相談員は自分の出身大学に隣接した、学生に人気があるカフェで求人が出ていたことを思い出し、Eさんの自宅から近いことや土日が休みであることなど、Eさんの希望とも合うことから、求人面接にチャレンジしてみるよう話した。
その後、Eさんは無事に採用され、時には気分が落ち込むこともあったものの、D相談員との面談などにより支えられ、1年以上働き続けている。D相談員は、「働くことの息苦しさや困難さがあってもどうにかやってきたのですから、ここまでのことを誰かに伝えてみませんか」とEさんに提案してみた。「自分の体験が役に立つのなら、挑戦してみようかな」とEさんは話した。そこでD相談員は、このカフェを時々利用している自分のゼミの指導教員を訪ね、Eさんと大学生との交流ができないか相談した。
次のうち、(※1)の時にD相談員が用いた面接技法として、正しいものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Q市の地域若者サポートステーション(以下、「Qステーション」という。)で働くD相談員(精神保健福祉士)のところへ、抑うつ傾向にあるEさん(32歳、女性)の母親が、娘の将来を案じ相談に訪れた。話を聴くと、Eさんは1年間の浪人生活の後に大学へ進学した。卒業後は、希望する職業はなく有期雇用の採用であった。デザイン会社、IT企業、不動産会社などを転々として働いたが、この半年間はあまり外出もせず、自宅で過ごす日々が続いている。
D相談員は、母親を通じEさんから了解を得て自宅を訪問した。数回の訪問の中で、Eさんから、「卒業後はリーマン・ショックによる就職難」「そして、結局有期雇用」「資格を取っても意味がなかった」といった傷ついた自尊心などが語られた。同世代のD相談員は、Eさんの話に共感し、「厳しい環境の中でも働けてきたこと」「働きながら資格を取り、様々な業種でキャリアを積んできたこと」「社会とつながろうとする気持ちがあったこと」などといったメッセージを返した。(※1)
その後、EさんはQステーションを訪れるようになり、再び就職してみたいと考え始め、「無理しない程度で、若い人たちと会えるような職場があれば」とD相談員に話した。D相談員は自分の出身大学に隣接した、学生に人気があるカフェで求人が出ていたことを思い出し、Eさんの自宅から近いことや土日が休みであることなど、Eさんの希望とも合うことから、求人面接にチャレンジしてみるよう話した。
その後、Eさんは無事に採用され、時には気分が落ち込むこともあったものの、D相談員との面談などにより支えられ、1年以上働き続けている。D相談員は、「働くことの息苦しさや困難さがあってもどうにかやってきたのですから、ここまでのことを誰かに伝えてみませんか」とEさんに提案してみた。「自分の体験が役に立つのなら、挑戦してみようかな」とEさんは話した。そこでD相談員は、このカフェを時々利用している自分のゼミの指導教員を訪ね、Eさんと大学生との交流ができないか相談した。
次のうち、(※1)の時にD相談員が用いた面接技法として、正しいものを1つ選びなさい。
- コーピング
- モデリング
- シェイピング
- シェアリング
- リフレーミング
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この過去問の解説 (3件)
01
1.×
コーピングとは、ストレスが感じられる場合に、適切に処理してストレス反応に少しでも対処しようとする過程のことです。
2.×
モデリングとは、モデルの行動を観察する観察学習のことです。
3.×
シェイピングとは、ある行動を観察することにより、新しい行動を形成することです。
4.×
シェアリングとは、ある物事を共有することです。
5.○
リフレーミングとは、ある状況や考えなどに対し、支援者が違う角度から視ることで、新しい意味づけ行い、クライエントに伝える面接技法のことです。
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02
(※1)D相談員がEさんに対して、Eさん自身は否定的に感じてしまっている経歴について、「Eさんが働きながら得られたこと」を伝えている場面です。
1→コーピング:対処するという意味です。ストレスコーピングなどストレスをコントロールするという意味で使われる言葉です。
2→モデリング:対象物を見本に動作や行動をまねることをいいます。
3→シェイピング:細かい達成目標を設定し、徐々に目標行動の達成に近づけていく療法このことをいいます。
4→シェアリング:それぞれが感じたことなどをグループで話し合うことをいいます。
5→リフレーミング:新しいものの見方を再構築することをいいます。
D相談員が、Eさん自身は否定的に感じてしまっている経歴について、「Eさんが働きながら得られたこと」を伝えている場面であったので「リフレーミング」が適切といえます。
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03
正解は5です。
1 ×
コーピングとは、ストレスに対応するためにとる行動のことをいいます。
2 ×
モデリングとは、他者の行動やその結果などをモデルとして観察することが、観察者の行動変容につながる現象をいいます。
3 ×
シェイピングとは、目標としている行動をスモールステップに分けて考え、達成しやすいものから順に形成していく方法です。
4 ×
シェアリングとは、グループのメンバーがお互いに自己開示し、感じたことなどを共有することです。
5 ○
リフレーミングとは、ある出来事や状況について、その枠組みを変えることによって、別の視点を持たせることをいいます。
Eさんが、
「卒業後はリーマンショックによる就職難」
「そして結局有期雇用」
「資格を取っても意味がなかった」
と表現したことを、
D相談員は、
「厳しい環境の中でも働き続きてきたこと」
「働きながら資格を取り、様々な業種でキャリアを積んできたこと」
「社会とつながろうとする気持ちがあったこと」
などと視点をかえたメッセージとして返しています。
この対応は、リフレーミングを利用しているものと考えられます。
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