精神保健福祉士の過去問
第22回(令和元年度)
精神保健福祉に関する制度とサービス 問154

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問題

第22回(令和元年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉に関する制度とサービス 問154 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、次の問題について答えなさい。
〔事例〕
Kさん(45歳、男性)はグループホームに居住している。Kさんは双極性障害を抱えているが、近頃、服薬が滞りがちになり不穏になっていた。先日、「確実に成功する事業を思い付いた。融資を頼むために銀行に行ってくる」と大声で騒ぐ状況となった。異変に気が付いたグループホームのスタッフになだめられながら、かかりつけの精神科病院で精神保健指定医による診察を受けた。その結果、自傷他害のおそれはないものの医療と保護の観点から急速に入院が必要な状態と判断されたが、Kさんは入院には同意しなかった。唯一の身寄りである遠方に住む妹とはすぐには連絡が取れず、最終的に72時間に限った入院となった。

二日後、駆けつけた妹によって同意が得られ、入院形態が切り替わった。しかし、Kさんの不穏な状態は続いており、躁状態も治まらず、一般の病室では治療の継続が困難と判断され、やむを得ず、本人の意思では退出することができない個室において、12時間以上の治療処置がなされることとなった。(※2)

Kさんには、その都度入院に関する説明が行われていたが、状況は十分には把握できていないようで、担当となったL精神保健福祉士に対して、「何で入院しなければならないんだ」と立腹していた

入院から3週間後、薬物療法によってKさんの病状は落ち着き、通常の閉鎖病棟の一室に移った。Kさんの病状が安定してきたこともあり、入院について改めて説明する機会を設けることとなった。L精神保健福祉士は医師と共にKさんのところに行き、今回の経緯と、入院中の諸権利に関する文書について時間をかけて丁寧に説明した。

Kさんは完全には納得していないようだったが、「ともかく、こうやって入院中にできることと、できないことを話しに来てくれたのは一応よかったです」と語ってくれた。

次のうち、(※2)の処置の要否の判定を行うものとして、正しいものを1つ選びなさい。
  • 都道府県知事
  • 精神保健指定医
  • 行動制限最小化委員会
  • 地方精神保健福祉審議会
  • 特定医師

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は2です。
(※2)家族の同意が得られたことにより「医療保護入院」に入院形態が切り替わったと考えられます。

1→都道府県知事の権限によって行われる入院は「措置入院」です。

2→「医療保護入院」では、精神保健指定医(又は特定医師)の診察及び家族等のうちいずれかの者の同意が必要です。12時間以上と記されているため精神保健指定医による判定といえます。

3→「行動制限最小化委員会」とは、患者の人権に配慮し行動制限(隔離、拘束)や処遇制限など行動制限全般を必要最小限にすることを目的としている組織のことをいいます。

4→「地方精神保健福祉審議会」とは、精神保健及び精神障害者の福祉を取り巻く課題を協議する組織のことをいいます。

5→「医療保護入院」は、特定医師による診察も行えますが、その場合は12時間に限っての入院となります。

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02

正解は2です。

1.都道府県知事または指定都市の長の命令に基づくのは措置入院です。

2.精神保健指定医の資格をもった医師の指示で、隔離を必要と認めて行うものです。

3.行動制限最小化委員会は、医師、看護師、精神保健福祉士等で構成される院内組織です。隔離だけではなく身体拘束や電話・通信・面会の制限等の行動制限を最小限度にしていく為に検討する会議です。

4.地方精神保健福祉審議会は、都道府県における精神保健及び精神障害者の福祉に関する事項の審議などを行います。

5.特定医師は医療保護入院や応急入院の診断に関与しますが、その診断に基づく入院期間は12時間以内です。そのため、12時間以上の隔離のような強制力の強いケースの診断はしません。

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