精神保健福祉士の過去問
第23回(令和2年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問135
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問題
第23回(令和2年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問135 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Dさん( 62歳、男性)は、和食店で働いていた25歳の時に統合失調症を発症した。入退院を繰り返したが、40代以降は母親と同居し、通院のみで病状も落ち着いていた。Dさんが55歳の時に同居の母親が亡くなって、一人暮らしとなったために生活が乱れて妄想がひどくなり、精神科病院に入院となった。その後、Dさんは相続した自宅を不本意ながら売却することになった。Dさんは、入院後も何度か病状が再燃し、5年が経過した。新たに病棟担当になったE精神保健福祉士がDさんと面接すると、Dさんは、「自分は長男だから家を守っていくつもりだった。弟に『兄さんのこれからの生活のためにも売却した方がいい』と押し切られた」と感情的に語った。(※ 1 )
Dさんは、E精神保健福祉士との面接を通して徐々に落ち着きを取り戻し、主治医より退院の話も出るようになった。そして、「一人暮らしをしてみたい」と話し、退院を希望した。入院中の服薬や食事などの管理は看護師が行っていたが、「今はいい状態なので、帰る家さえ決まれば退院できると思う。一人暮らしは初めてだが、料理はできるし、なんとかなる」と話した。精神保健福祉士は、本人も参加するカンファレンスで退院に向けた病棟での働きかけを検討した。
Dさんは、地域移行支援を利用し、グループホームの体験宿泊を繰り返しながら、退院準備を進めた。掃除やごみ出しに苦労していたが、半年後に退院し、ホームヘルパーに掃除や洗濯を手伝ってもらいながら一人暮らしをしている。また、自宅で料理を楽しんだり、地域活動支援センターの料理会に積極的に参加している。1年が経過した頃、相談支援事業所のF精神保健福祉士は、ホームヘルパーよりDさんが時々訪問日を間違えると報告を受けた。また、外来で何度も血糖値の高さも指摘された。Dさんも、「この前、道に迷ってしまった。コンロの火を消し忘れてしまった。今まではそんなことなかったのに」と言っており、F精神保健福祉士は本人と相談して、主治医を含む関係者とカンファレンスを開催することにした。
次の記述のうち、(※ 1 )でE精神保健福祉士がDさんに伝えた言葉として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Dさん( 62歳、男性)は、和食店で働いていた25歳の時に統合失調症を発症した。入退院を繰り返したが、40代以降は母親と同居し、通院のみで病状も落ち着いていた。Dさんが55歳の時に同居の母親が亡くなって、一人暮らしとなったために生活が乱れて妄想がひどくなり、精神科病院に入院となった。その後、Dさんは相続した自宅を不本意ながら売却することになった。Dさんは、入院後も何度か病状が再燃し、5年が経過した。新たに病棟担当になったE精神保健福祉士がDさんと面接すると、Dさんは、「自分は長男だから家を守っていくつもりだった。弟に『兄さんのこれからの生活のためにも売却した方がいい』と押し切られた」と感情的に語った。(※ 1 )
Dさんは、E精神保健福祉士との面接を通して徐々に落ち着きを取り戻し、主治医より退院の話も出るようになった。そして、「一人暮らしをしてみたい」と話し、退院を希望した。入院中の服薬や食事などの管理は看護師が行っていたが、「今はいい状態なので、帰る家さえ決まれば退院できると思う。一人暮らしは初めてだが、料理はできるし、なんとかなる」と話した。精神保健福祉士は、本人も参加するカンファレンスで退院に向けた病棟での働きかけを検討した。
Dさんは、地域移行支援を利用し、グループホームの体験宿泊を繰り返しながら、退院準備を進めた。掃除やごみ出しに苦労していたが、半年後に退院し、ホームヘルパーに掃除や洗濯を手伝ってもらいながら一人暮らしをしている。また、自宅で料理を楽しんだり、地域活動支援センターの料理会に積極的に参加している。1年が経過した頃、相談支援事業所のF精神保健福祉士は、ホームヘルパーよりDさんが時々訪問日を間違えると報告を受けた。また、外来で何度も血糖値の高さも指摘された。Dさんも、「この前、道に迷ってしまった。コンロの火を消し忘れてしまった。今まではそんなことなかったのに」と言っており、F精神保健福祉士は本人と相談して、主治医を含む関係者とカンファレンスを開催することにした。
次の記述のうち、(※ 1 )でE精神保健福祉士がDさんに伝えた言葉として、適切なものを1つ選びなさい。
- 「長男として悔しいし、やりきれなかったですね」
- 「弟さんはDさんの意向に反して実家を処分し、ひどい人ですね」
- 「病棟の中でDさんの楽しめることを見付けていきましょう」
- 「お母様は亡くなる前にDさんのことを考えてくれればよかったですね」
- 「実家はもうないので、諦めましょう」
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この過去問の解説 (3件)
01
1. ○です。Dさんの話を傾聴し、受容していく必要があります。
2.×です。弟は自分なりにDさんを思っての発言をしているようです。この場合、弟を責める発言をしてしまう事で、今後のDさんと弟との関係性が悪化してしまう可能性があります。
3.×です。この時点でDさんはショックを受けている状態であるため、新しく何かを促す必要はなく、Dさんの話に耳を傾けていき、Dさんのニーズを把握していく必要があります。
4.×です。Dさんの症状は母親が亡くなってから悪化しました。設問の発言はかえってDさんの症状や精神状態を悪化させてしまう可能性があるため、避けましょう。
5.×です。Dさんにとっては、住んでいた家に思い入れがある状態です。その思いを切り捨てる発言は避けましょう。
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02
正解は、1 です。
1 適切です。Dさんの思いを受け止め、寄り添っていると言えます。
2 不適切です。Dさんの思いを受け止めているものの、親族について審判的態度をとることは不適切です。
3 不適切です。話題の転換よりも、今はDさんの思いを受け止めることが重要です。
4 不適切です。親族について審判的態度をとることは不適切です。
5 不適切です。Dさんは今納得いっていない状況についてE精神保健福祉士に語っているところです。受容することが必要です。
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03
正解は、 1 です。
1.適切です。
Dさんの思いを聴き、受容することが大事です。
選択肢では、面接技法の「感情の反映」が用いられています。
2.適切ではありません。
弟さんから直接話を伺っていないため、事実がどうであったのかわかりません。安易に人柄を批判することは控えることが大事です。
3.適切ではありません。
選択肢1.より、まずはDさんの発言を聴き、受容する姿勢が大事です。設問の受け答えでは、話を聴いてもらえていない感じがします。
4.適切ではありません。
選択肢の発言は、E精神保健福祉士の個人的な感想であり、実際に母親がそのようであったのかは把握できません。選択肢1.の通り、まずはDさんの思いを聴き、受容する姿勢で関わることが大事です。
5.適切ではありません。
選択肢の内容では、Dさんが余計に落ち込んでしまうような言葉かけになります。現在のDさんのパワーレスになっている状態から、エンパワーできる声かけが必要です。「諦め」るのではなく、生きがいや希望を見いだせられる声かけが大事です。
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