精神保健福祉士の過去問
第23回(令和2年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問137
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問題
第23回(令和2年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問137 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Dさん( 62歳、男性)は、和食店で働いていた25歳の時に統合失調症を発症した。入退院を繰り返したが、40代以降は母親と同居し、通院のみで病状も落ち着いていた。Dさんが55歳の時に同居の母親が亡くなって、一人暮らしとなったために生活が乱れて妄想がひどくなり、精神科病院に入院となった。その後、Dさんは相続した自宅を不本意ながら売却することになった。Dさんは、入院後も何度か病状が再燃し、5年が経過した。新たに病棟担当になったE精神保健福祉士がDさんと面接すると、Dさんは、「自分は長男だから家を守っていくつもりだった。弟に『兄さんのこれからの生活のためにも売却した方がいい』と押し切られた」と感情的に語った。
Dさんは、E精神保健福祉士との面接を通して徐々に落ち着きを取り戻し、主治医より退院の話も出るようになった。そして、「一人暮らしをしてみたい」と話し、退院を希望した。入院中の服薬や食事などの管理は看護師が行っていたが、「今はいい状態なので、帰る家さえ決まれば退院できると思う。一人暮らしは初めてだが、料理はできるし、なんとかなる」と話した。精神保健福祉士は、本人も参加するカンファレンスで退院に向けた病棟での働きかけを検討した。
Dさんは、地域移行支援を利用し、グループホームの体験宿泊を繰り返しながら、退院準備を進めた。掃除やごみ出しに苦労していたが、半年後に退院し、ホームヘルパーに掃除や洗濯を手伝ってもらいながら一人暮らしをしている。また、自宅で料理を楽しんだり、地域活動支援センターの料理会に積極的に参加している。1年が経過した頃、相談支援事業所のF精神保健福祉士は、ホームヘルパーよりDさんが時々訪問日を間違えると報告を受けた。また、外来で何度も血糖値の高さも指摘された。Dさんも、「この前、道に迷ってしまった。コンロの火を消し忘れてしまった。今まではそんなことなかったのに」と言っており、F精神保健福祉士は本人と相談して、主治医を含む関係者とカンファレンスを開催することにした。(※ 3 )
次の記述のうち、(※ 3 )のカンファレンスで示された方針として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Dさん( 62歳、男性)は、和食店で働いていた25歳の時に統合失調症を発症した。入退院を繰り返したが、40代以降は母親と同居し、通院のみで病状も落ち着いていた。Dさんが55歳の時に同居の母親が亡くなって、一人暮らしとなったために生活が乱れて妄想がひどくなり、精神科病院に入院となった。その後、Dさんは相続した自宅を不本意ながら売却することになった。Dさんは、入院後も何度か病状が再燃し、5年が経過した。新たに病棟担当になったE精神保健福祉士がDさんと面接すると、Dさんは、「自分は長男だから家を守っていくつもりだった。弟に『兄さんのこれからの生活のためにも売却した方がいい』と押し切られた」と感情的に語った。
Dさんは、E精神保健福祉士との面接を通して徐々に落ち着きを取り戻し、主治医より退院の話も出るようになった。そして、「一人暮らしをしてみたい」と話し、退院を希望した。入院中の服薬や食事などの管理は看護師が行っていたが、「今はいい状態なので、帰る家さえ決まれば退院できると思う。一人暮らしは初めてだが、料理はできるし、なんとかなる」と話した。精神保健福祉士は、本人も参加するカンファレンスで退院に向けた病棟での働きかけを検討した。
Dさんは、地域移行支援を利用し、グループホームの体験宿泊を繰り返しながら、退院準備を進めた。掃除やごみ出しに苦労していたが、半年後に退院し、ホームヘルパーに掃除や洗濯を手伝ってもらいながら一人暮らしをしている。また、自宅で料理を楽しんだり、地域活動支援センターの料理会に積極的に参加している。1年が経過した頃、相談支援事業所のF精神保健福祉士は、ホームヘルパーよりDさんが時々訪問日を間違えると報告を受けた。また、外来で何度も血糖値の高さも指摘された。Dさんも、「この前、道に迷ってしまった。コンロの火を消し忘れてしまった。今まではそんなことなかったのに」と言っており、F精神保健福祉士は本人と相談して、主治医を含む関係者とカンファレンスを開催することにした。(※ 3 )
次の記述のうち、(※ 3 )のカンファレンスで示された方針として、適切なものを2つ選びなさい。
- 糖尿病の専門外来につなげる。
- ホームヘルパーは、Dさんに代わって買物や料理を行う。
- 困ったときの相談先をあらかじめDさんと確認しておく。
- Dさんが道に迷うことが心配なので、外出を控えてもらう。
- 地域活動支援センターの料理会は火を扱うので、他のプログラムを勧める。
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この過去問の解説 (3件)
01
1. ○です。糖尿病の恐れがあるため、早期に介入していく事は重要です。
2. ×です。Dさんにとって料理は生き甲斐でもあるため、その場面をなくしてしまう事で症状が悪化してしまう可能性があります。
3. ○です。緊急時の対応も含めて、連絡先を確保していく事は望ましいです。
4.×です。設問の記述では生活の質が低下してしまう恐れがあります。
5.×です。地域活動支援センターや料理はDさんが楽しみにしているため、その場面をなくしてしまうと症状が悪化してしまう可能性があります。
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02
正解は、 1 と 3 です。
1.適切です。
血糖値の高さを指摘されていることから、糖尿病の疑いも考えられます。そのため、専門外来につなげることが大事です。
2.適切ではありません。
Dさんの状態や状況に変化がみられます。しかし、Dさんのできているところを奪ってしまうような支援は適切ではありません。
3.適切です。
Dさん自身、自分の状態や状況の変化に気づいているところがあります。今後も何か困った時に相談できる先を確認しておくことは大事です。確認することで、すぐに相談ができたり、支援体制を整えることが可能になります。
4.適切ではありません。
外出を控えてもらうことは、Dさんのできているところを奪ってしまうことにもなりかねません。活動を控えることで運動不足になってしまい、余計に病気を促進させたりする可能性も考えられます。
5.適切ではありません。
料理ができることはDさんの強みです。生活では、火の消し忘れが心配されますが、地域活動支援センター内では、他の利用者や職員がいるためサポートができると考えられます。そのため、無理に他のプログラムを勧めることは適切ではありません。Dさんの強みを奪ってしまう可能性も考えられます。
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03
正解は、1・3 です。
1 適切です。事例に「外来で何度も血糖値の高さも指摘され」とありますので、早期受診を検討することは重要です。
2 不適切です。Dさんは、買物や料理を行うことができなくなったわけではありません。まずは、道に迷ったりコンロを消し忘れたりする原因や対処法について確認することが重要です。
3 適切です。Dさんが地域生活を送れるよう、あらかじめ相談先を確認しておくことは重要です。
4 不適切です。外出を控えるとADLの低下などのリスクも考えられます。外出し道に迷った時にどうすれば良いかを検討する方が重要です。
5 不適切です。料理会で火を扱っても周りの支援者の方でフォローができれば問題ないと考えられます。
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