精神保健福祉士の過去問
第24回(令和3年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問113
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問題
第24回(令和3年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問113 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、答えなさい。
〔事例〕
大規模自然災害が発生したN市保健所のH精神保健福祉士は、チームの一員として被災直後の被災地域の全戸訪問を行った。Jさん(22歳、男性)の自宅を訪問したところ、父親から、「Jは、高校卒業後に勤めた会社を半年で心身の不調を訴え退職し、ここ数年は、近所へ買物に外出する以外は自室にて過ごすようになっていた。被災後からは近所の手伝いも率先して行い、表情も明るくなり、近所の人からも本当に助かっていると言われていた。また具合が悪くならなければよいが」とJさんを心配する話を聞いた。そこで、チーム内でJさんについての情報を共有し検討した結果、継続したフォローアップが必要であると判断され、H精神保健福祉士がJさんを担当することになった。(※1)
全戸訪問から8か月後、Jさんの父親が来所して面接することになった。面接で父親は、「Jは、手伝いをきっかけに紹介された仕事に就くことになり、家族みんなでとても喜んだ」と話した。しかし、その後沈黙が続いたため、H精神保健福祉士が尋ねると、疲れ切った様子で、「実は3か月前からJの具合が急に悪くなって」と話し始めた。「Jは、元気に働き始めましたが、そのうち帰宅しても話もせず、すぐに自室に籠もってしまい顔を合わせないことが多くなりました。また、時折、自室から嗚咽が聞こえてきたため心配して声をかけましたが、大丈夫だと返答するので、そっとしておきました。そして1か月前から、出勤時間になっても自室から出てこない日が続き、現在は欠勤が続いています。あなたから何回か訪問の提案をいただいていましたが、いつもJは私たちに断れと言っていたんです」と語った。(※2)
父親の話を聞いたH精神保健福祉士は、Jさんの家族との面接を継続するだけでなく、Jさんに対して介入を行う必要性を感じた。(※3)
次の記述のうち、(※1)の時点において、チームでJさんについての情報を共有し、継続したフォローアップが必要だと判断した理由として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
大規模自然災害が発生したN市保健所のH精神保健福祉士は、チームの一員として被災直後の被災地域の全戸訪問を行った。Jさん(22歳、男性)の自宅を訪問したところ、父親から、「Jは、高校卒業後に勤めた会社を半年で心身の不調を訴え退職し、ここ数年は、近所へ買物に外出する以外は自室にて過ごすようになっていた。被災後からは近所の手伝いも率先して行い、表情も明るくなり、近所の人からも本当に助かっていると言われていた。また具合が悪くならなければよいが」とJさんを心配する話を聞いた。そこで、チーム内でJさんについての情報を共有し検討した結果、継続したフォローアップが必要であると判断され、H精神保健福祉士がJさんを担当することになった。(※1)
全戸訪問から8か月後、Jさんの父親が来所して面接することになった。面接で父親は、「Jは、手伝いをきっかけに紹介された仕事に就くことになり、家族みんなでとても喜んだ」と話した。しかし、その後沈黙が続いたため、H精神保健福祉士が尋ねると、疲れ切った様子で、「実は3か月前からJの具合が急に悪くなって」と話し始めた。「Jは、元気に働き始めましたが、そのうち帰宅しても話もせず、すぐに自室に籠もってしまい顔を合わせないことが多くなりました。また、時折、自室から嗚咽が聞こえてきたため心配して声をかけましたが、大丈夫だと返答するので、そっとしておきました。そして1か月前から、出勤時間になっても自室から出てこない日が続き、現在は欠勤が続いています。あなたから何回か訪問の提案をいただいていましたが、いつもJは私たちに断れと言っていたんです」と語った。(※2)
父親の話を聞いたH精神保健福祉士は、Jさんの家族との面接を継続するだけでなく、Jさんに対して介入を行う必要性を感じた。(※3)
次の記述のうち、(※1)の時点において、チームでJさんについての情報を共有し、継続したフォローアップが必要だと判断した理由として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- Jさんが、両親の期待に応えようとしていると考えられたため。
- Jさんが、他者との関係を持つと調子を崩すと考えられたため。
- Jさんが、経済的な困難を訴える可能性が考えられるため。
- Jさんが、チームをまとめるリーダーになる可能性が考えられるため。
- Jさんが、無理をして頑張っている状態だと考えられたため。
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この過去問の解説 (3件)
01
ソーシャルワークにおけるフォローアップとは、支援が一旦終了した後でもクライエントの状況によって支援を再開する事を言います。その目的はクライエントが過去に抱えていた問題の再発を防止する事などが挙げられます。
1、✕ Jさんの父親は息子であるJさんが過去に心身の不調を訴えて仕事を退職した事、ここ数年は自室で過ごす事が多かった事から、現在頑張って活動しているJさんが再び体調を崩すのではないかと心配している様子が読み取れます。Jさんに対しての気持ちは期待よりも心配の気持ちが強いと考えられるため、フォローアップが必要だと判断する要因とは言えません。
2、✕ 本事例において、Jさんの父親がJさんと他者が関係を持つ事で調子を崩すと感じている様子は見られておらず、フォローアップが必要だと判断する要因とは言えません。
3、✕ 本事例においてJさんが経済的に困窮している様子は見られておらず、Jさんの父親も息子であるJさんの様子を気にかけており、必要があれば支援を行ってくれる可能性も高いと考えられます。現時点でJさんの父親も経済面の不安を感じている様子は見られず、将来経済的な困難を訴える可能性が感じられる描写もないため、フォローアップが必要だと判断する要因とは言えません。
4、✕ Jさんがチームをまとめるリーダーになる可能性があると考えるのであれば、Jさんの持つ能力を伸ばすために関わる事となります。フォローアップはクライエントが過去に抱えていた問題の再発防止等が目的となります。選択肢の内容はフォローアップの目的とは外れているため、適切な選択肢とは言えません。
5、〇 Jさんは近所の人に感謝される事に喜びを感じ、近所の手伝いを率先して行っています。表情も以前より明るくなっているというプラス面が見られるようになりました。しかしその反面父親は、高校卒業後に勤めた会社を心身の不調により半年で退職しており、その状態にまた戻ってしまうのではないかと心配しています。心身の不調という問題を抱えていた過去の状態に逆戻りしないよう、フォローアップを行うという判断をする要因として、当該選択肢は適切な内容であると言えます。
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02
正解は、5 です。
1 不適切です。
事例から、そのような様子は読み取れません。
2 不適切です。
事例から、そのような様子は読み取れません。
3 不適切です。
事例から、そのような様子は読み取れません。
4 不適切です。
事例から、そのような様子は読み取れません。
5 適切です。
「ここ数年、自室にて過ごすようになっていた」こと「被災後からは近所の手伝いも率先して行う」ようになったことから、急にJさんの生活が変化した様子が読み取れます。このことから、頑張りすぎて具合が悪くならないようフォローアップが必要と判断したと捉えることができます。
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03
正解は 5 です。
各選択肢については以下の通りです。
1.この事例において、両親がJさんに期待をしていると考えられる記載はありません。
2.他者と関係を持つことで調子を崩す懸念についての記載はありません。
3.この事例において、経済面での心配についての記載は見られません。
4.チームをまとめるリーダーになる可能性が高いJさんに「フォローアップ」という視点で援助をすることは難しいと考えられます。
5.記載のとおりです。
Jさんは精神的に調子を崩してしまったという経緯があり、いまの状態も無理をした上での状態である可能性があります。
いまは調子が良くてもまた調子を崩すことがないよう、Jさんの様子を注意深く観察し、必要に応じて支援を行っていく必要があります。
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