精神保健福祉士の過去問
第24回(令和3年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問114
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問題
第24回(令和3年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問114 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、答えなさい。
〔事例〕
大規模自然災害が発生したN市保健所のH精神保健福祉士は、チームの一員として被災直後の被災地域の全戸訪問を行った。Jさん(22歳、男性)の自宅を訪問したところ、父親から、「Jは、高校卒業後に勤めた会社を半年で心身の不調を訴え退職し、ここ数年は、近所へ買物に外出する以外は自室にて過ごすようになっていた。被災後からは近所の手伝いも率先して行い、表情も明るくなり、近所の人からも本当に助かっていると言われていた。また具合が悪くならなければよいが」とJさんを心配する話を聞いた。そこで、チーム内でJさんについての情報を共有し検討した結果、継続したフォローアップが必要であると判断され、H精神保健福祉士がJさんを担当することになった。(※1)
全戸訪問から8か月後、Jさんの父親が来所して面接することになった。面接で父親は、「Jは、手伝いをきっかけに紹介された仕事に就くことになり、家族みんなでとても喜んだ」と話した。しかし、その後沈黙が続いたため、H精神保健福祉士が尋ねると、疲れ切った様子で、「実は3か月前からJの具合が急に悪くなって」と話し始めた。「Jは、元気に働き始めましたが、そのうち帰宅しても話もせず、すぐに自室に籠もってしまい顔を合わせないことが多くなりました。また、時折、自室から嗚咽が聞こえてきたため心配して声をかけましたが、大丈夫だと返答するので、そっとしておきました。そして1か月前から、出勤時間になっても自室から出てこない日が続き、現在は欠勤が続いています。あなたから何回か訪問の提案をいただいていましたが、いつもJは私たちに断れと言っていたんです」と語った。(※2)
父親の話を聞いたH精神保健福祉士は、Jさんの家族との面接を継続するだけでなく、Jさんに対して介入を行う必要性を感じた。(※3)
次の記述のうち、(※2)の時点の面接におけるH精神保健福祉士のJさんの家族に対する支援として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
大規模自然災害が発生したN市保健所のH精神保健福祉士は、チームの一員として被災直後の被災地域の全戸訪問を行った。Jさん(22歳、男性)の自宅を訪問したところ、父親から、「Jは、高校卒業後に勤めた会社を半年で心身の不調を訴え退職し、ここ数年は、近所へ買物に外出する以外は自室にて過ごすようになっていた。被災後からは近所の手伝いも率先して行い、表情も明るくなり、近所の人からも本当に助かっていると言われていた。また具合が悪くならなければよいが」とJさんを心配する話を聞いた。そこで、チーム内でJさんについての情報を共有し検討した結果、継続したフォローアップが必要であると判断され、H精神保健福祉士がJさんを担当することになった。(※1)
全戸訪問から8か月後、Jさんの父親が来所して面接することになった。面接で父親は、「Jは、手伝いをきっかけに紹介された仕事に就くことになり、家族みんなでとても喜んだ」と話した。しかし、その後沈黙が続いたため、H精神保健福祉士が尋ねると、疲れ切った様子で、「実は3か月前からJの具合が急に悪くなって」と話し始めた。「Jは、元気に働き始めましたが、そのうち帰宅しても話もせず、すぐに自室に籠もってしまい顔を合わせないことが多くなりました。また、時折、自室から嗚咽が聞こえてきたため心配して声をかけましたが、大丈夫だと返答するので、そっとしておきました。そして1か月前から、出勤時間になっても自室から出てこない日が続き、現在は欠勤が続いています。あなたから何回か訪問の提案をいただいていましたが、いつもJは私たちに断れと言っていたんです」と語った。(※2)
父親の話を聞いたH精神保健福祉士は、Jさんの家族との面接を継続するだけでなく、Jさんに対して介入を行う必要性を感じた。(※3)
次の記述のうち、(※2)の時点の面接におけるH精神保健福祉士のJさんの家族に対する支援として、適切なものを2つ選びなさい。
- 家族の自尊心を高めるために、これまでの対応を高く評価する。
- 家族の認知のゆがみを修正するように促す。
- 父親の話を受容する。
- Jさんの病気や障害について説明をする。
- Jさんの生活技能を向上させるための訓練を行うことを提案する。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は、1・3 です。
1 適切です。
事例から、父親がJさんを温かく見守ってきたことやきちんと観察していること、話を聴いていること、また父親が疲れ切っている様子も窺えます。家族支援として、労いの言葉をかけるなど、高く評価することは適切です。
2 不適切です。
父親に認知のゆがみがあることは事例から読み取れません。
3 適切です。
父親が疲れ切った様子であることからも、まずは父親の話を傾聴・受容することは大切です。
4 不適切です。
Jさんが3か月前からなぜ急に具合が悪くなったのか不明であり、H精神保健福祉士は医師ではないことなどから病気や障害の説明をすることは不適切です。
5 不適切です。
Jさんの意向を聴かないまま訓練の提案をすることは不適切です。まずはJさんと面談の機会を持つことを模索するなどして、Jさんのアセスメントをすることが優先です。
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02
正解は、 1,3 です。
継続面接の初回時における相談者とのラポールの構築及び対応方法についての問題です。
1.適切です。
本ケースに限らず、
本人が病気になったことを自身の関わり方に問題があったのではと考える家族は多くあります。
本人の回復のためには、家族による支援は必要です。
家族との今後の信頼関係の構築のためにも、
適切な関わりができている家族にはきちんとその旨を伝え、
自信を持って本人と関わってもらいましょう。
2.適切ではありません。
初回面接時に認知の歪みを修正するよう促すことは、自信の喪失と専門職への不信感を招き、
今後の関係性の構築に大きな影響を及ぼします。
面接回数を十分に重ね、
関係性ができてからにしましょう。
3.適切です。
受容と傾聴は相談の基本であり、
バイステックの7原則にも受容は含まれています。
初回面接時は特に相談者の話を受け止めることが重要です。
4.適切ではありません。
精神保健福祉士は本人を疾患者ではなく、
生活者と捉える専門職です。
病気や障害についての説明は、
受診時に医師から説明してもらいましょう。
5.適切ではありません。
いずれは生活技能向上のための訓練を提案する場を設ける必要がありますが、
初回面接時に行うのは時期尚早です。
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03
1、〇 Jさんに対する両親の対応に問題点は見受けられません。今後もJさんを支えてもらう事が出来るよう、両親の対応を評価し、前向きな気持ちで関わってもらえるよう支援する事は適切な支援方法であると言えます。
2、✕ Jさんに対するJさんの両親の対応は、Jさんの意向を出来るだけ尊重できるよう関わっており、認知のゆがみを感じさせるような描写はありません。また、信頼関係が十分でない状態でいきなり認知のゆがみを修正するよう伝える事は、今後の信頼関係の構築にも支障を来す可能性があり、適切な支援内容とは言えません。
3、〇 相手の話を聞き、受容する姿勢はソーシャルワーク実践において基本となります。父親の話を十分聞かせてもらい、受容する姿勢で関わる事は適切な支援内容であると言えます。
4、✕ Jさんの病気や障害について、今時点で明らかになっておらず、H精神保健福祉士が勝手に判断して説明する事はできません。病気や障害に対しての説明が必要な場合は医師に行ってもらうよう調整する事が必要となります。
5、✕ Jさん自身やJさんの両親が生活技能を向上させたいという希望は本事例の中に書かれておらず、生活技能訓練が必要である描写も見られません。生活技能訓練の提案は適切な支援内容とは言えません。
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