精神保健福祉士の過去問
第24回(令和3年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問116
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問題
第24回(令和3年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問116 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、答えなさい。
〔事例〕
Kさん(39歳)は、夫のLさん(43歳)と小学生の子ども(9歳、女児)の3人家族である。結婚して以来、Lさんは、Kさんの交友関係を絶たせ、最低限の食費のみを渡し、家計を細かく管理した。また、Lさんの思い通りに家事ができていないとKさんに殴る、蹴るなどの暴力を振るった。今回、Kさんを守ろうとした子どもにも暴力を振るったため、これを機にKさんは子どもを連れて家を離れ、福祉事務所を通じて母子生活支援施設に入所した。入所初期のKさんの話は混乱していたが、担当のM母子支援員(精神保健福祉士)は丁寧に対応し、「外から聞こえる足音が夫のような気がして怖い」「夫から離れたいけど無理かもしれない」「子育てのことも負担」ということを聞き取った。(※1)
施設でのKさんはLさんに強いられていた生活のルールを強迫的に守ろうとし、言うとおりにしないとLさんにされたように子どもを叱責した。また、職員や他の入居者の言動を被害的に捉えて、相手を攻撃することが多かった。曖昧な対応をする職員には、「いい加減なことを言わないでほしい」と強く責めたてるため、ケース会議でKさんのことを取り上げた。(※2)
Lさんは、A相談員(精神保健福祉士)が対応する市役所の男性相談窓口を訪れ、「暴力を振るっていた父のようになりたくなかった。理想の家庭を作りたくて、家事や育児も言うとおりにできない妻を導いてきたつもり。それなのに妻は子どもを連れて出て行った。妻だけでなく今回は子どもにも手を出してしまったので、自分でも変わらないといけないと思うが、どうしたらよいか分からない」と話した。A相談員は、「自分の行動についてなんとかしたいと思っているのですね。自分の行動を整理してみませんか」と伝えて、県内で開始されていたNPO法人が実施している事業・活動を紹介した。(※3)
次のうち、(※1)の時点でM母子支援員が優先して取り組むKさんへの支援として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Kさん(39歳)は、夫のLさん(43歳)と小学生の子ども(9歳、女児)の3人家族である。結婚して以来、Lさんは、Kさんの交友関係を絶たせ、最低限の食費のみを渡し、家計を細かく管理した。また、Lさんの思い通りに家事ができていないとKさんに殴る、蹴るなどの暴力を振るった。今回、Kさんを守ろうとした子どもにも暴力を振るったため、これを機にKさんは子どもを連れて家を離れ、福祉事務所を通じて母子生活支援施設に入所した。入所初期のKさんの話は混乱していたが、担当のM母子支援員(精神保健福祉士)は丁寧に対応し、「外から聞こえる足音が夫のような気がして怖い」「夫から離れたいけど無理かもしれない」「子育てのことも負担」ということを聞き取った。(※1)
施設でのKさんはLさんに強いられていた生活のルールを強迫的に守ろうとし、言うとおりにしないとLさんにされたように子どもを叱責した。また、職員や他の入居者の言動を被害的に捉えて、相手を攻撃することが多かった。曖昧な対応をする職員には、「いい加減なことを言わないでほしい」と強く責めたてるため、ケース会議でKさんのことを取り上げた。(※2)
Lさんは、A相談員(精神保健福祉士)が対応する市役所の男性相談窓口を訪れ、「暴力を振るっていた父のようになりたくなかった。理想の家庭を作りたくて、家事や育児も言うとおりにできない妻を導いてきたつもり。それなのに妻は子どもを連れて出て行った。妻だけでなく今回は子どもにも手を出してしまったので、自分でも変わらないといけないと思うが、どうしたらよいか分からない」と話した。A相談員は、「自分の行動についてなんとかしたいと思っているのですね。自分の行動を整理してみませんか」と伝えて、県内で開始されていたNPO法人が実施している事業・活動を紹介した。(※3)
次のうち、(※1)の時点でM母子支援員が優先して取り組むKさんへの支援として、適切なものを2つ選びなさい。
- 地域生活に向けた就労先や住居の検討
- 生活費を請求するための弁護士の紹介
- 精神的安定を目的にした相談面接
- 学校や行政との関係者会議の開催
- 夫が訪ねてきた場合の安全体制の確保
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は、3・5 です。
1 不適切です。
Kさんは夫の元から離れたばかりで精神状態が安定していないことが読み取れます。この時点で「就労先や住居」など将来の話をするのは時期尚早と言えます。
2 不適切です。
まずはKさんの思いを受容することが優先されます。
3 適切です。
Kさんが少しずつ思いを話し始めてくれている時期であることが読み取れますので、今後のためにもまずは精神的な安定を目指すことが大切です。
4 不適切です。
子供のことも大切ですが、この時期に関係者会議の開催に取り組むことは時期尚早だと言えます。
5 適切です。
Kさんが子供と一緒に母子生活支援施設に入所した後、夫・Lさんがどうしているかが不明です。Kさんに暴力を振るっていたことからも夫が訪ねてきた場合の安全体制をどうするか考えておくことは重要です。
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02
DV被害を受けているケースの初期対応ついての問題です。
適切ではありません。
入所初期の時点で地域生活に向けての就労や住居の確保は時期尚早です。
まずは妻・子の気持ちが落ち着いて今後のことを考えられるよう、
丁寧な関りが求められます。
適切ではありません。
夫との関わりを拒否し、
存在を恐れている時点での生活費の請求は時期尚早です。
適切です。
介入初期は、妻・子が精神的に落ち着いて今後のことを考えられるよう、
丁寧に妻・子の話を受け止め、寄り添います。
まずは安心して生活できるよう、精神的に支持していきましょう。
適切ではありません。
入所初期の時点では今後に関して、
落ちついて考えられる精神状態ではありません。
今後の支援の方向性を決める関係者会議は時期尚早です。
適切です。
身の安全が第一です。
夫が訪ねてきた場合、
どのような対応をとるかは必ず話し合って決めておきましょう。
また、DVケースは夫婦間が共依存関係に陥っている場合は多くあります。
夫の来訪を機に施設から無断退去してしまう可能性もあるので、
妻の意思をもう一度確認することが求められます。
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03
1、✕ 現時点でKさんは夫のLさんに対して非常に怯えており、足音が聞こえるだけでも夫ではないかと不安に感じています。また、子育てに対しても負担感を感じている状態であるため、地域で生活するための就労先や住居を検討するよりもKさんの安全と安心を確保する事が必要であると言えます。
2、✕ Kさんは夫のLさんに対する恐怖感を抱えています。今後子どもを育てるために生活費は必要であると考えられますが、現時点でそれを行う事はKさんの不安感を増長してしまうため、適切な支援とは言えません。
3、〇 Kさんは夫に対する恐怖や不安を強く感じています。これらの気持ちを落ち着けて精神的な安定を図れるよう相談面接を行う事は適切な支援内容であると言えます。
4、✕ Kさんの子どもの安全を守るために、学校や行政との関係者会議を開催する事も今後は必要になると考えられますが、現時点ではKさんにLさんが接触してくる事に対して強い不安を感じているため、それを解消する事が優先事項であると考えられます。
5、〇 Kさんが今感じている一番強い不安が、夫であるLさんが自分達に接触する事であるという事が本事例から読み取れます。Lさんが訪ねてきた場合の安全性がどのように確保されているのかを知る事によって、Kさんの安心感に繋がると考えられるため、適切な支援内容であると言えます。
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