精神保健福祉士の過去問
第24回(令和3年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問133
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問題
第24回(令和3年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問133 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、答えなさい。
〔事例〕
P市に住むKさん(30歳、女性)は、学生時代に通院していた精神科病院をL君(5歳、男児)と共に受診した。診察に際してM精神保健福祉士がインテーク面接を行った。Kさんは、「5年前に結婚し、すぐにLを出産したが、2年半前に離婚した。働きながらLを育ててきたが、3か月程前から不眠が続き、仕事に行けなくなり、先月、突然解雇を言い渡された。もう生きていてもしょうがない」とうつろな表情で話した。M精神保健福祉士は、Kさんの来院をねぎらい、傾聴した。同時に、Kさんの手首に巻かれたハンカチから血がにじんでいることや、L君は5歳児にしては小さく痩せていること、不衛生な身なりで表情が乏しいことが気になった。(※1)
診察の結果、Kさんには自傷行為が認められ、希死念慮が強く、入院治療が必要と判断された。当初Kさんは、「身寄りもなく、Lを残して入院できないしお金もない」と入院に同意しなかった。しかし、主治医より入院の必要性について説明され、M精神保健福祉士がL君への支援と、経済的な支援について説明すると、ほっとした表情を浮かべ入院に同意した。Kさんの入院と同時に、L君は一時保護となった。入院後、KさんはM精神保健福祉士との面談で、「酒飲みの父親は私に頻繁に暴力を振るったが、母親は助けてくれなかった」「離婚した夫も、酒を飲むと私とLに暴力を振るった」「離婚後、Lを厳しく叱り、世話をできないことが続いた。気付くとリストカットを繰り返していた」と語った。M精神保健福祉士は、誰にも相談できずに苦しんできたKさんに寄り添い、傾聴した。(※2)
一時保護所のA児童福祉司(精神保健福祉士)は、L君が声かけにほとんど反応せず、言語発達の遅れがみられるため、P市と連携してL君の養育環境の整備を開始した。M精神保健福祉士は、Kさん及び主治医、A児童福祉司と共にKさんの退院後の生活について話し合う場を設けた。A児童福祉司が、母親と暮らすことを希望するL君の意向を伝えると、Kさんは、「退院してLと一緒に暮らしたいが自信がない」と語った。(※3)
次の記述のうち、(※2)の時点で、M精神保健福祉士がKさんにかけた言葉として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
P市に住むKさん(30歳、女性)は、学生時代に通院していた精神科病院をL君(5歳、男児)と共に受診した。診察に際してM精神保健福祉士がインテーク面接を行った。Kさんは、「5年前に結婚し、すぐにLを出産したが、2年半前に離婚した。働きながらLを育ててきたが、3か月程前から不眠が続き、仕事に行けなくなり、先月、突然解雇を言い渡された。もう生きていてもしょうがない」とうつろな表情で話した。M精神保健福祉士は、Kさんの来院をねぎらい、傾聴した。同時に、Kさんの手首に巻かれたハンカチから血がにじんでいることや、L君は5歳児にしては小さく痩せていること、不衛生な身なりで表情が乏しいことが気になった。(※1)
診察の結果、Kさんには自傷行為が認められ、希死念慮が強く、入院治療が必要と判断された。当初Kさんは、「身寄りもなく、Lを残して入院できないしお金もない」と入院に同意しなかった。しかし、主治医より入院の必要性について説明され、M精神保健福祉士がL君への支援と、経済的な支援について説明すると、ほっとした表情を浮かべ入院に同意した。Kさんの入院と同時に、L君は一時保護となった。入院後、KさんはM精神保健福祉士との面談で、「酒飲みの父親は私に頻繁に暴力を振るったが、母親は助けてくれなかった」「離婚した夫も、酒を飲むと私とLに暴力を振るった」「離婚後、Lを厳しく叱り、世話をできないことが続いた。気付くとリストカットを繰り返していた」と語った。M精神保健福祉士は、誰にも相談できずに苦しんできたKさんに寄り添い、傾聴した。(※2)
一時保護所のA児童福祉司(精神保健福祉士)は、L君が声かけにほとんど反応せず、言語発達の遅れがみられるため、P市と連携してL君の養育環境の整備を開始した。M精神保健福祉士は、Kさん及び主治医、A児童福祉司と共にKさんの退院後の生活について話し合う場を設けた。A児童福祉司が、母親と暮らすことを希望するL君の意向を伝えると、Kさんは、「退院してLと一緒に暮らしたいが自信がない」と語った。(※3)
次の記述のうち、(※2)の時点で、M精神保健福祉士がKさんにかけた言葉として、適切なものを1つ選びなさい。
- 「過去に受けた暴力は、時間の経過とともに解決されます」
- 「あなたのどんな行動が、離婚した夫をそんなに怒らせたのでしょうか」
- 「そういうことはよくあることなので、あまり気にしない方がいいですよ」
- 「今の状況をあなたが変えようと思わなければ、私は何もできないのです」
- 「自分を傷つけたくなるほどつらかったのですね。今回のように話ができるといいですね」
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は、5 です。
1 不適切です。
詳しく話してくれたKさんに対して、無責任な発言です。過去に受けた暴力が時間の経過とともに解決されるかどうかは、その人や背景など様々な要因によって違いますので一概に時間の経過が解決するとは言えません。
2 不適切です。
Kさんの行動が離婚した夫を怒らせたと捉えられてしまう質問です。
3 不適切です。
詳しく話してくれているKさんですので、さらに話していただくためには不適切な発言です。また、「よくあること」ではなく、M精神保健福祉士としてはKさん自身にある背景を知る必要があります。
4 不適切です。
Kさん自身を責めるような発言であるとともに、M精神保健福祉士としても「何もできない」ということは間違いです。現在は、Kさんが自分の考えを整理したり吐き出していただくためにも傾聴や受容することがM精神保健福祉士の重要な役割となります。
5 適切です。
Kさんが話してくれたことに寄り添っており、話してくれたことを評価している発言です。Kさんとの信頼関係を築くためにも、Kさんに寄り添う姿勢やこれからも話してくださいと伝えることは重要です。
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02
1、✕ Kさんは夫や父親の暴力に傷つき、自傷行為を行うほど追い詰められている精神状況です。選択肢の内容はM精神保健福祉士の主観に基づいた安易な言葉かけであり、追い詰められているKさんの気持ちを受け止めているように感じられません。Kさんの気持ちを受容するような姿勢が必要であると考えられます。
2、✕ 選択肢の内容は離婚の原因がKさんにあると捉えられるような言葉であり、過去のKさんの行動を批判してしまっています。Kさんの気持ちに寄り添った言葉とは言えず、適切な言葉かけとは言えません。
3、✕ 選択肢の内容はKさんの抱えている問題を個別のものとして捉えず、他の人の問題と一緒のものとして考えてしまっており、Kさんの気持ちに寄り添って考えているという姿勢が見えません。
4、✕ 現在のKさんは自分の行動を変える力が持てない程傷ついており、不安を抱えている状態です。その状態を誰にも相談できず、抱えて苦しんできたKさんに対して選択肢のような言葉かけをすれば、KさんはM精神保健福祉士にも見放されたように感じてしまい、これ以上の相談をする事に抵抗を感じてしまう可能性も高いと考えられます。
5、〇 Kさんが今まで抱えてきた不安な気持ちや辛かった気持ちを受容し、話をしてくれた事に対して前向きに捉えられるような言葉かけをしています。
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03
正解は、 5 です。
面接でクライエントを理解する上での基本は、傾聴することです。
傾聴とは、クライエントの話に耳を傾け、言葉の背後にある感情を受け止め、
理解しようとすることです。
また、傾聴を行う上でクライエントを受容し、共感することが求められます。
1のような一般論に基づく安易なアドバイス、
3のようにクライエントを個別化せず一般化するような発言、
4のようにクライエントを見放すような発言は適切ではありません。
また、離婚した夫は飲酒後にKさんに暴力をふるっていたことから、
暴力の理由を聞くことも適切とは言えません。
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