精神保健福祉士の過去問
第24回(令和3年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問137

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問題

第24回(令和3年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問137 (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、答えなさい。
〔事例〕
B精神保健福祉士は、社員のメンタルヘルス対策の強化に伴い、大手製造メーカーの健康相談室に新たに採用された。ある日、健康相談室に製造管理課のC課長が欠勤が続く部下のことで相談に訪れた。C課長の話は、「部下のDさんは、責任感が強いため、多くの仕事を引き受けていた。無理をさせてしまった。Dさんに電話すると、『気持ちが落ち込み、眠れない。出勤できない自分が不甲斐ない』と自分を責めており、対応に困っている」とのことだった。B精神保健福祉士はC課長が心配している気持ちを聞き、Dさんへの対応について助言した。(※1)
その後、C課長は、「Dさんは仕事を休んでいるものの、体調は落ち着いてきたようだ」とB精神保健福祉士に報告した。また、C課長は、「実は、他にも心配な部下が何人かいる」「部下たちは仕事の負担が多くても、無理して頑張っているように思う」「取引先の納期の意向に沿えないことで営業課に批判され、部下たちの努力が社内で評価されていないのが悔しい」と語った。B精神保健福祉士は、この状況を人事担当者に伝え、ストレスチェックの集団分析の結果、製造管理課は総合健康リスクが高いことを確認した。同課は高ストレスの傾向にあり、仕事の量的負担が高く、互いを気遣っているものの同僚からの支援は受けにくい傾向であることが分かった。そして、人事担当者から高ストレスの要因となる職場環境の改善について取り組むよう依頼を受けた。B精神保健福祉士は、人事担当者やC課長と検討し、改善に向けた具体策に取り組んだ。(※2)
B精神保健福祉士は、取り組む中で、製造管理課の社員の多くは良い製品を作ることを考え、妥協を許さない仕事ぶりが顕著であると感じた。そして、B精神保健福祉士は、今の問題を解決するための一助として、職場環境の改善に加えて、社員一人ひとりがよりよい対処法を身に付けるための基礎的な研修が必要と考え、人事担当者とC課長の了承を得て、業務内で製造管理課の社員が参加できるように研修企画を進めた。(※3)

次のうち、B精神保健福祉士が企画した研修の内容(※3)として、適切なものを1つ選びなさい。
  • 労働時間と疲労度のセルフチェック
  • 社員のメンタルヘルス不調の三次予防
  • 職場におけるハラスメントの理解
  • 自分の要求を抑えて、職場環境に適応するよりよい対処方法
  • 精神疾患のある社員への合理的配慮の具体例

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この過去問の解説 (3件)

01

1、適切な支援内容です。製造管理課の社員は「良い製品を作るために妥協を許さない仕事ぶりが顕著である」と述べられており、前項では「仕事の負担が多くても無理して頑張っている」という状況が確認されています。労働時間は長時間となっている事が読み取れ、疲労も大きいと考えられます。

改めて自己の置かれている状況を確認し、精神疾患等の発症を予防するためにもセルフチェックは有効であると考えられます。

2、不適切です。三次予防とは既に不調を起こしている状態から、その状態を脱却したり、再度不調に陥らないよう再発防止を図る事を言います。

本事例においてはメンタルヘルスを起こさないようにする取り組みが必要であるため、三次予防ではなく発症自体を予防する事を目的とする一次予防的な視点の研修を企画する必要があると考えられます。

3、不適切です。製造管理課内でハラスメントが発生している様子は見られていないため、その理解を深めるための研修を現時点で行う必要はありません。

4、不適切です。自分の要求を抑える事は、さらなるストレス発生の原因となります。メンタルヘルスの不調を招きかねず、適切な研修内容とは言えません。

5、不適切です。選択肢の内容は、現に精神疾患がある社員が再度職場復帰する時などに有効だと考えられます。

現時点では製造管理課内の社員が抱えるストレスを解消させ、メンタル不調を招かないよう予防する事を目的とした研修企画の必要性があるため、適切な内容とは言えません。

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02

正解は、 です。

1 適切です。

「社員一人ひとりがよりよい対処法を身に付けるための基礎絵的な研修」とありますので、セルフチェックは適切です。

2 不適切です。

三次予防は、職場復帰や再発予防を目的とします。現在働いている社員に対しての研修企画としては、不適切です。

3 不適切です。

職場にハラスメントがあったというような記述はありません。

4 不適切です。

「良い製品を作ることを考え」とありますので、製造管理課の社員が仕事に真剣に取り組んでいることがわかります。これらの取り組みを評価しつつ、疲労度のセルフチェックを身に付けることが重要と考えられます。

5 不適切です。

例えば、精神疾患のある社員が職場に復帰していくるといった場面では効果がありますが、ここでは高ストレスの傾向がある製造管理課社員のために開催しますので、不適切です。

参考になった数4

03

正解は、 1 です。

1.適切です。

労働時間と疲労度のセルフチェックを行うことで、

自身のメンタルヘルスのセルフケアに役立たせることができます。

発症予防の観点からも、適切な研修といえます。

2.適切ではありません。

メンタルヘルス不調に対する3つの予防策は以下の通りです。

1次予防:未然防止及び健康増進

2次予防:早期発見と対処

3次予防:治療と職場復帰・再発予防

今回の事例においては、主に1次予防、2次予防をテーマとした研修の開催が望ましいです。

3.適切ではありません。

今回の事例では、

ハラスメントが問題で職員のメンタルヘルスが脅かされているわけではありません。

妥協を許さない仕事ぶりが招く精神的被害についてが主の課題なので、

ハラスメントがテーマの研修は適切とは言えません。

4.適切ではありません。

時には自分の要求を抑え、職場環境に適応することも大切な場面もありますが、

今回の課題とはまた別の話題です。

また、妥協を許さない真面目な態度を見せる社員に対して、

このタイミングでこのテーマの研修を行うことは、

よりストレス度を高めかねません

5.適切ではありません。

精神疾患のある社員が働くことになった際は有効なテーマではありますが、

現時点で、

社員一人ひとりのメンタルヘルスの健康維持を目的とした研修のテーマとしては、

適切とは言えません。

参考になった数4