精神保健福祉士の過去問
第24回(令和3年度)
精神障害者の生活支援システム 問161
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問題
第24回(令和3年度) 精神保健福祉士国家試験 精神障害者の生活支援システム 問161 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、答えなさい。
〔事例〕
Aさん(30歳、男性)は、21歳の時に統合失調症と診断され、母親と二人で住む市内にあるX精神科病院に入院した。しばらくして症状はようやく落ち着いたが、母親は自宅への退院に難色を示し、他の退院後の受入先も確保できず退院の話は進まなかった。そのうちAさんの退院意欲が減退したこともあり、入院は長期化した。
Aさんは28歳の時、地域で生活する精神障害当事者と対話できるX精神科病院内のプログラムに参加した。そこでAさんは退院意欲が喚起され、病院のB精神保健福祉士に、「退院して自宅に戻りたい」と相談を持ちかけた。B精神保健福祉士は、Aさんとの面接に加えて母親との面接を設定した。面接で母親は、「病気のことがよく分からないし、また入院前の、あの大変な状況に戻っても対応できる自信がない」と語り、自宅への退院に後ろ向きであった。B精神保健福祉士は、家族を対象に専門家が実施するX精神科病院内の家族の感情表出に着目したプログラムへの参加を勧めた。(※1)
プログラムへの参加を通して、母親はAさんの自宅への退院に前向きになり、様々な人の支援を受けながらAさんは自宅へ退院した。しかし退院後間もなく、母親は体調を崩して1週間ほど入院となり、自宅でAさんの身の回りの世話をできる人がいなくなった。Aさんは生活能力の低下もあいまって心細さを強く訴えるようになったため、「障害者総合支援法」に規定される、短期間の入所により食事や入浴の提供などを行うサービスを利用することとした。(※2)
母親の退院後しばらくして、Aさんは自宅に戻った。B精神保健福祉士の勧めでY地域活動支援センターに通い、徐々に地域での生活を楽しむようになった。Y地域活動支援センターでは、米国で精神障害当事者が開発したリカバリーに向けたプログラムが行われていた。入院中に知り合ったCさんに誘われてAさんもそのプログラムに参加した。そこで、自分のこれからの人生を考えられるようになった。(※3)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
次のうち、Aさんの母親が参加したプログラム(※1)として、適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Aさん(30歳、男性)は、21歳の時に統合失調症と診断され、母親と二人で住む市内にあるX精神科病院に入院した。しばらくして症状はようやく落ち着いたが、母親は自宅への退院に難色を示し、他の退院後の受入先も確保できず退院の話は進まなかった。そのうちAさんの退院意欲が減退したこともあり、入院は長期化した。
Aさんは28歳の時、地域で生活する精神障害当事者と対話できるX精神科病院内のプログラムに参加した。そこでAさんは退院意欲が喚起され、病院のB精神保健福祉士に、「退院して自宅に戻りたい」と相談を持ちかけた。B精神保健福祉士は、Aさんとの面接に加えて母親との面接を設定した。面接で母親は、「病気のことがよく分からないし、また入院前の、あの大変な状況に戻っても対応できる自信がない」と語り、自宅への退院に後ろ向きであった。B精神保健福祉士は、家族を対象に専門家が実施するX精神科病院内の家族の感情表出に着目したプログラムへの参加を勧めた。(※1)
プログラムへの参加を通して、母親はAさんの自宅への退院に前向きになり、様々な人の支援を受けながらAさんは自宅へ退院した。しかし退院後間もなく、母親は体調を崩して1週間ほど入院となり、自宅でAさんの身の回りの世話をできる人がいなくなった。Aさんは生活能力の低下もあいまって心細さを強く訴えるようになったため、「障害者総合支援法」に規定される、短期間の入所により食事や入浴の提供などを行うサービスを利用することとした。(※2)
母親の退院後しばらくして、Aさんは自宅に戻った。B精神保健福祉士の勧めでY地域活動支援センターに通い、徐々に地域での生活を楽しむようになった。Y地域活動支援センターでは、米国で精神障害当事者が開発したリカバリーに向けたプログラムが行われていた。入院中に知り合ったCさんに誘われてAさんもそのプログラムに参加した。そこで、自分のこれからの人生を考えられるようになった。(※3)
(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
次のうち、Aさんの母親が参加したプログラム(※1)として、適切なものを1つ選びなさい。
- 心理教育
- 社会生活技能訓練(SST)
- 包括型地域生活支援プログラム(ACT)
- ピアカウンセリング
- 森田療法
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この過去問の解説 (3件)
01
1、適切な内容です。心理教育は病気に対する正しい知識を学んだり、家族が病気特有の症状に対する対処法などを身につける事を目的として実施されます。
Aさんの母親は、Aさんの病気が理解できず、退院後に対処が出来るかどうかを不安に感じている様子が見られているため、家族向けの心理教育に参加するプログラムとしては適切なものであると言えます。
2、不適切です。社会生活技能訓練(SST)は、当事者が社会で生活するのに必要な技術、知識を得るために受ける訓練の事を言います。
本人の力を高めるために実施されるものであり、家族に対して行われるものではありません。
3、不適切です。包括型地域支援プログラム(ACT)とは、重度の精神障害を持った人であっても、地域で自らが希望する生活を送る事ができるように、専門職が24時間365日訪問体制を築いて生活を支えていくというものです。
包括型地域支援プログラム(ACT)は地域で生活している当事者向けのサービスであり、入院中の当事者の家族に対して行われるものではありません。
4、不適切です。ピアカウンセリングとは、同じような立場にあったり、同じ内容の悩みを持つ当事者同士が、お互いを支えあう事を目的に実施されるプログラムの事を言います。
本事例においては、専門職が実施するプログラムに参加を勧めているため、適切な選択肢ではありません。
5、不適切です。森田療法は不安症の患者の治療を行うために開発された治療法であり、家族に対して行われる物ではありません。
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02
正解は、 1 です。
1 適切です。
疾患と治療についての正確な知識、情報を伝えると共に、
家族の日常的な対処を容易にするために本事例において有効です。
単なる疾患教育ではなく、立場や経験に十分配慮しつつ行動上の改善も目指します。
2 適切ではありません。
社会生活技能訓練(SST)は、当事者が自身が希望する生活の実現に必要な社会生活技能を把握し、その内容を段階的に組み立て、体系的に学習するものです。
家族に対してあまり用いられるものではありません。
3 適切ではありません。
包括型地域生活支援プログラム(ACT)は、重い精神障害を持った人でも、
地域の中で自分らしい生活を実現・維持できるよう包括的な訪問型支援を提供するケアマネジメントモデルの一つです。
4 適切ではありません。
ピアカウンセリングは同じ背景を持つ者同士が対等な立場で話を聞きあうことです。
本事例では、専門職が実施とありますので、不適切です。
5 適切ではありません。
森田療法とは、患者自身に行われる精神療法です。絶対臥褥を基本とし、高い治療効果をあげています。
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03
正解は、1 です。
1 適切です。
Aさんの自宅への退院に不安がある母親が心理教育プログラムに参加することは、不安の軽減にもつながるため適切です。
2 不適切です。
社会生活技能訓練とは、当事者が社会生活を送るために技能習得を目指す訓練のことです。母親向けではありません。
3 不適切です。
包括方地域生活支援プログラムとは、重度の精神障害を持つ当事者が地域生活が送れるよう支援するプログラムのことです。母親向けではありません。
4 不適切です。
ピアカウンセリングは、当事者同士や当事者家族同士で行うことに特徴があります。事例に「専門家が実施する」とありますので、不適切です。
5 不適切です。
森田療法は、当事者に行う精神療法のことです。母親向けではありません。
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