精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問11
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問題
第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問11 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Fさん(41歳、女性)は、会社員として働いていた25歳の時にW精神科病院を受診し、うつ病と診断された。その後、幾つか通院先を変え、1年前からV精神科クリニックに通っている。ある日、FさんはV精神科クリニックのG精神保健福祉士(以下「Gワーカー」という。)に障害年金の申請に関する相談をした。Fさんとの面接の中で、母親とH社会保険労務士(以下「H社労士」という。)が、申請の手続を進めようとしていることが分かったが、Fさんは、「申請が必要なのか悩んでいるんです」と語った。そこでGワーカーは、「Fさんとお母さんの考えを出し合ってよく話し合いましょう」と話しかけた。(※1)
その後、障害年金の申請について、主治医を交えて四者で面談するために、FさんとH社労士が来院した。面談の中でH社労士は、経済的な基盤ができることが最重要ではないかと発言し、主治医は、継続的な受診が必要で、年金を受給できる状態であると述べた。面談の間、Fさんは押し黙ったままであり、GワーカーはFさんの受給に対する意向や考えを明確にすることが大切だと考え、「Fさんはどう思いますか」と尋ねたところ、「ずっと、迷っています」とつぶやいた。そこでGワーカーは、「Fさんの障害年金に対する思いを皆で詳しく聞いてみませんか」と提案した。(※2)
四者での面談から2週間ほど経過した後、GワーカーはFさんに改めて意向を確認した。「母は今後の生活を考え申請を勧めてくるが、障害者として生きていくということですよね」と話し始め、病気にならなければ違った人生になったかもしれないという思いが語られた。そこでGワーカーは、Fさんに、同じ病気を経験した人と交流できる場を紹介した。交流の場に参加したFさんは、参加者が自分の人生を前向きに捉えており、その場での経験がFさんにとって、将来を考えるきっかけとなった。この体験を通しFさんは、障害年金の申請を自分の権利として積極的に捉えるようになった。この考え方の変化をGワーカーへ伝え、早速、H社労士にも連絡を取り、受診歴や初診時の年金加入条件等を調べてもらうことにした。(※3)
次の記述のうち、(※2)の段階でのチームビルディングの特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
Fさん(41歳、女性)は、会社員として働いていた25歳の時にW精神科病院を受診し、うつ病と診断された。その後、幾つか通院先を変え、1年前からV精神科クリニックに通っている。ある日、FさんはV精神科クリニックのG精神保健福祉士(以下「Gワーカー」という。)に障害年金の申請に関する相談をした。Fさんとの面接の中で、母親とH社会保険労務士(以下「H社労士」という。)が、申請の手続を進めようとしていることが分かったが、Fさんは、「申請が必要なのか悩んでいるんです」と語った。そこでGワーカーは、「Fさんとお母さんの考えを出し合ってよく話し合いましょう」と話しかけた。(※1)
その後、障害年金の申請について、主治医を交えて四者で面談するために、FさんとH社労士が来院した。面談の中でH社労士は、経済的な基盤ができることが最重要ではないかと発言し、主治医は、継続的な受診が必要で、年金を受給できる状態であると述べた。面談の間、Fさんは押し黙ったままであり、GワーカーはFさんの受給に対する意向や考えを明確にすることが大切だと考え、「Fさんはどう思いますか」と尋ねたところ、「ずっと、迷っています」とつぶやいた。そこでGワーカーは、「Fさんの障害年金に対する思いを皆で詳しく聞いてみませんか」と提案した。(※2)
四者での面談から2週間ほど経過した後、GワーカーはFさんに改めて意向を確認した。「母は今後の生活を考え申請を勧めてくるが、障害者として生きていくということですよね」と話し始め、病気にならなければ違った人生になったかもしれないという思いが語られた。そこでGワーカーは、Fさんに、同じ病気を経験した人と交流できる場を紹介した。交流の場に参加したFさんは、参加者が自分の人生を前向きに捉えており、その場での経験がFさんにとって、将来を考えるきっかけとなった。この体験を通しFさんは、障害年金の申請を自分の権利として積極的に捉えるようになった。この考え方の変化をGワーカーへ伝え、早速、H社労士にも連絡を取り、受診歴や初診時の年金加入条件等を調べてもらうことにした。(※3)
次の記述のうち、(※2)の段階でのチームビルディングの特徴として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- チームの目標づくりを目指し、同時に各メンバーの役割について話し合う。
- メンバーが集まり、各自の情報が交換され相互理解を図る。
- メンバーそれぞれが振り返り作業を行い、その体験を整理する。
- 相互の信頼が醸成され、タスク達成に向けて実践する。
- メンバー間の考え方の相違が明らかになり、役割に関する対立が表面化する。
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この過去問の解説 (3件)
01
当事者と専門職を含めた四者で面談している場面です。それぞれの情報交換とFさんの思いを共有することが重要です。
Fさんは、まだ障害年金の受給について迷っている場面です。まだメンバーの役割について話し合う段階ではありません。
病状に詳しい主治医、障害年金の申請に詳しいH社労士も一緒に面談しており、それぞれの専門性を発揮し、Fさんとも理解が図られる場面であるため、適切です。
それぞれの体験について整理している場面ではありません。
Fさんは、まだ障害年金の受給について迷っている場面です。それぞれのタスクが決まったわけではありません。
役割に関する対立が表面化しているとは読み取れません。
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02
事例は、V精神科クリニックに通うFさんが障害年金の申請を迷っているケースです。申請についての本人の意思の醸成・気持ち・自己決定に着目して解答する必要があります。また、チームビルディングのプロセス(タックマンモデルなど)を意識させる問題です。
適切ではありません。この時点で「チームの目標」は定まっていません。Fさんが申請を迷っている段階です。
適切です。本人、医師、社会保険労務士、精神保健福祉士が集まり、チームの信頼関係構築、チーム形成に向けたコミュニケーションがはかられています。
適切ではありません。チームはこれから醸成される段階であり、振り返り作業をする段階ではありません。
適切ではありません。チームがまだ形成段階であり、相互の信頼構築のコミュニケーションを図っています。チームが機能性をもち動いているわけではありません。「タスク」もFさんが申請に迷っている段階ですから、個々実践を行う段階ではありません。
適切ではありません。「メンバー間の考え方の相違が明らかになり、役割に関する対立が表面化」する前のチーム形成の段階です。
本人の意思・自己決定に着目するとともに、チームビルディングのプロセスにも注意する必要があります。
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03
本設問で挙げられている「チームビルディング」とは、チームメンバーそれぞれが持つ力を最大限活かし、目標を達成できるようなチーム作りを目指す事を言います。
チームビルディングについては、1965年にタックマンが提唱した「タックマンモデル」が有名です。タックマンモデルでは、チームビルディングは「①形成期」「②混乱期」「③統一期」「④機能期」「⑤散会期」の順に経過していくと言われています。
現時点では、Fさんをサポートするために様々な専門職が集まり、自身の専門領域に沿った意見を述べていますが、Fさん自身の意向が定まっておらず、目標が決められていない状態です。よって、①の形成期の前の段階にあると考えられます。
✕ チームビルディングにおいては、クライエントの希望に基づいた目標を達成するために、チームメンバーがそれぞれの強みを活かした支援を行う事となります。現時点でFさんからは、障害年金の申請について「迷っている」という言葉が聞かれており、意向が定まっていません。そのため、チームの目標づくりはこのタイミングで行う事が出来ないため、適切な支援とは言えません。
〇 Gワーカーは、Fさんに対する障害年金の申請支援を行う目的を持って、四者面談の機会を作っています。Fさん自身、障害年金の申請についてどのようにしていったら良いか分からない状態になっているため、集まったチームメンバーの情報などを聞く事で、自身が今後どのように行動したいのかを考える事に繋がると考えられます。
✕ 選択肢の内容は、支援が終了した「散会期」において行われる作業です。Fさんに対するチームでの支援はまだ始まっていないため、振り返り作業や体験の整理はできません。
✕ 選択肢の内容は「機能期」において見られる内容です。現時点ではチームメンバー同士の理解もほぼなされていない状態であり、相手への信頼が熟成しているとは言えません。
✕ メンバーそれぞれが障害年金の受給について意見を述べていますが、Fさん自身の意向がまとまっていないため、目標が定まっていない中ではチームメンバーの役割を割り当てる事もできません。まずはFさん自身の意向を聞き、目標を設定する事がこの時点での目標となります。
選択肢の内容は「混乱期」に発生する内容と考えられ、現時点で発生している内容ではありません。
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