精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉相談援助の基盤 問13
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問題
第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉相談援助の基盤 問13 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
Jさん(55歳、男性)は、高校生の時に統合失調症を発症したが、今は病状も落ち着き、通院しながらアパートで一人暮らしをしている。Jさんは、3年ほど前から、K精神保健福祉士が勤めている地域活動支援センターで週に1~2日過ごしているほか、昨年からは月に1度保健所で開かれている「精神保健福祉を考える集い」(以下「集い」という。)に参加している。「集い」では精神障害当事者のほか、病院や地域の精神保健福祉士や地域住民など20名ほどが集まり、その月の出来事などを語り合っている。「集い」の代表は統合失調症を経験したLさんであり、「集い」の運営や事務を行っている。人との交流の少ないJさんにとってはいろいろな人と出会う大切な機会となっている。ある日、K精神保健福祉士は暗い表情をしたJさんから、「Lさんが県外に転居することになった。Lさんがいなくなったら『集い』はどうなってしまうのだろう」と消え入るような声で相談を受けた。(※1)
Lさんの転居後約1年の間に、様々な広報活動の効果もあり、「集い」は精神障害当事者の参加が増え、病気を抱えながら生活する日々の出来事が前向きに捉え直されたり、元気づけられたり、また地域住民との間で共有される場面が多くなった。やがて「集い」には精神科病院から、「ここで話されているようなことを入院中の方とも話してほしい」という依頼が来るようになった。Jさんも数回精神科病院で入院中の方と話をした。ある日JさんはK精神保健福祉士に、「入院中の方に退院後の生活や自分の体験を話すことで自分が人の力になれるように感じた。精神科病院を訪問した仲間たちの間で、『このような活動を続けるために精神障害当事者の会を立ち上げたい』と話しているので相談に乗ってほしい」と伝えた。(※2)
K精神保健福祉士は、地域活動支援センターで一人静かに時を過ごし、「集い」に参加し始めた頃のJさんを思い出し、「Jさんは変わられましたね」と声をかけた。(※3)
次の記述のうち、(※1)の時のK精神保健福祉士の対応として、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Jさん(55歳、男性)は、高校生の時に統合失調症を発症したが、今は病状も落ち着き、通院しながらアパートで一人暮らしをしている。Jさんは、3年ほど前から、K精神保健福祉士が勤めている地域活動支援センターで週に1~2日過ごしているほか、昨年からは月に1度保健所で開かれている「精神保健福祉を考える集い」(以下「集い」という。)に参加している。「集い」では精神障害当事者のほか、病院や地域の精神保健福祉士や地域住民など20名ほどが集まり、その月の出来事などを語り合っている。「集い」の代表は統合失調症を経験したLさんであり、「集い」の運営や事務を行っている。人との交流の少ないJさんにとってはいろいろな人と出会う大切な機会となっている。ある日、K精神保健福祉士は暗い表情をしたJさんから、「Lさんが県外に転居することになった。Lさんがいなくなったら『集い』はどうなってしまうのだろう」と消え入るような声で相談を受けた。(※1)
Lさんの転居後約1年の間に、様々な広報活動の効果もあり、「集い」は精神障害当事者の参加が増え、病気を抱えながら生活する日々の出来事が前向きに捉え直されたり、元気づけられたり、また地域住民との間で共有される場面が多くなった。やがて「集い」には精神科病院から、「ここで話されているようなことを入院中の方とも話してほしい」という依頼が来るようになった。Jさんも数回精神科病院で入院中の方と話をした。ある日JさんはK精神保健福祉士に、「入院中の方に退院後の生活や自分の体験を話すことで自分が人の力になれるように感じた。精神科病院を訪問した仲間たちの間で、『このような活動を続けるために精神障害当事者の会を立ち上げたい』と話しているので相談に乗ってほしい」と伝えた。(※2)
K精神保健福祉士は、地域活動支援センターで一人静かに時を過ごし、「集い」に参加し始めた頃のJさんを思い出し、「Jさんは変わられましたね」と声をかけた。(※3)
次の記述のうち、(※1)の時のK精神保健福祉士の対応として、適切なものを2つ選びなさい。
- Jさんに、Lさんの後を継ぐように勧める。
- JさんのためにLさんに連絡を取り、方針を決めてもらう。
- Jさんの「集い」に対するこれまでの気持ちを聞き取る。
- Jさんのために「集い」に参加し「集い」が継続するように、力を尽くす。
- Jさんに、他の参加者と一緒に「集い」のこれからを考えていけるよう促す。
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この過去問の解説 (3件)
01
地域の社会資源の創出等への協力は、精神保健福祉士の業務の一つです。当事者との協働という観点から問題を考えていきましょう。
適切ではありません。Jさんは、Lさんがいなくなった後の「集い」について心配していますが、代わりに代表をすることを表明しているわけではありません。たとえ、Jさんが適任であると考えたとしても、Jさんや仲間の話を十分に聴く必要があります。
適切ではありません。会にルールがあり前任者が後任を決めるなど明確な決まりなどがない限り、前任のLさんに方針決定の大役をお願いするのは、精神保健福祉士の行動としては不適切です。
適切です。Jさんの「集い」に対するこれまで気持ちを整理し、Lさんが不在となる中、Jさんが今後どのように「集い」と向かい合うべきか、意志決定の支援になります。
適切ではありません。地域の社会資源が存続・継続するよう、精神保健福祉士として尽力する必要はありますが、「Jさんのため」に参加するのは本旨ではありません。まず、Jさんの不安について一緒に考える必要があります。
適切です。地域の社会資源が当事者と協働のもと存続・継続していくことに尽力する必要があります。Jさんと同様、他の参加者もどのような意向があるのか、不安があるのかともに考える姿勢が重要です。
「Jさんの不安な気持ちの表出」「当事者と協働した社会資源づくり」がポイントです。
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02
当事者や地域住民などが集まる「精神保健福祉を考える集い」について一緒に考えることは、地域福祉援助の一環です。参加者の考えを尊重することがポイントの一つです。
Jさんの思いを聞かない内から、「後を継ぐように勧める」ことは不適切です。
今の焦点は、Jさんの思いです。まずはJさんにとって「集い」の意味やJさんの思いなど、話を聞くことから始めましょう。
事例に「人との交流の少ないJさんにとってはいろいろな人と出会う大切な機会となっている」とあります。Lさんが転居するという変化にあたり、これまでの気持ちを聞き取ることによって、Jさんのこれからを考えるきっかけにもなると考えられます。
「集い」が継続することも大切ですが、今はJさんにとっての集いの場を考えることの方が適切です。
Jさん以外の参加者もLさんが転居することに伴う「集い」の変化についてどのように思っているのかなど、参加者同士で考えることは適切です。
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03
クライエントであるJさんが、自身の大切にしている集いが無くなってしまうかもしれない事に対する不安を訴えている場面です。K精神保健福祉士は、Jさんの気持ちを言語化し、その気持ちに寄り添った支援を考え、実践する必要があると考えられます。
✕ Lさんが代表を務めている集いが無くなってしまうかもしれない事に対して、Jさんは不安を感じており、集いを大事にしている事が分かります。しかしLさんに代わって代表を行いたいと考えている様子は現時点では見受けられず、その立場を勧めるのは支援として不適切です。
✕ 現在の集いの代表はLさんが務めていますが、その他に集いに参加しているメンバーが20名程おり、その人達の意向は分かっていません。Lさん一人に方針を決めてもらうのではなく、グループメンバーと話し合って方針を決定する必要があります。その際、Jさんも集いのメンバーの一員として自身の意見が持てるよう、支援する必要があると考えられます。
〇 Jさんの発言から、集いが非常に大切な場所であった事が分かります。集いに対するJさんの思いを言語化する事で、今後Jさんが集いに対してどのように関わっていきたいかを考えるきっかけになるため、適切な支援と言えます。
✕ Jさんが集いを大事に思っており、それを継続させていきたい事は発言から読み取れますが、それが継続できるように力を尽くす主体となるのはJさんを含めた集いの参加メンバーです。K精神保健福祉士は、参加メンバーが集いをどのように運営していきたいかを参加メンバーに確認し、その意向に沿った形での運営を専門職として支援していく事が望ましいと考えられます。
〇 集いの参加者の人の思いは現時点で明らかになっていません。他の参加者と話し、今後の集いについてJさん自身も考えられるよう支援する事は、適切な支援であると考えられます。
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