精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問2

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問題

第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、エンパワメントに関する説明として、正しいものを1つ選びなさい。
  • 障害者が差別されず、社会の中に組み入れられていくこと。
  • 専門家による最小限の介入で、自分の選んだ環境で落ち着き、満足できるようにすること。
  • 逆境や困難を克服することで強化される、人間に本来備わっている復元力のこと。
  • 人々がお互いに責任を果たすことで、個人の権利が日常レベルで実現されること。
  • 社会的に不利な状況に置かれた人が、自己決定能力を高め主体的に行動できるようになること。

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この過去問の解説 (3件)

01

当事者支援を行う上で、エンパワメントを意識することは重要です。その他にも、専門職として大事な考え方を持つ用語は多いですので、おさえておくようにしましょう。

選択肢1. 障害者が差別されず、社会の中に組み入れられていくこと。

不適切です。障害があっても社会の中で当たり前のように生活できるという意味では「ノーマライゼーション」の考え方と捉えることもできるでしょう。

選択肢2. 専門家による最小限の介入で、自分の選んだ環境で落ち着き、満足できるようにすること。

不適切です。記述内容は、精神科リハビリテーションの説明と考えることができます。

選択肢3. 逆境や困難を克服することで強化される、人間に本来備わっている復元力のこと。

不適切です。記述内容は、レジリエンスの説明と考えることができます。

選択肢4. 人々がお互いに責任を果たすことで、個人の権利が日常レベルで実現されること。

不適切です。エンパワメントは、当事者の強みに着目して支援を行います。

選択肢5. 社会的に不利な状況に置かれた人が、自己決定能力を高め主体的に行動できるようになること。

適切です。エンパワメントの考え方は、障害者だけではなく、高齢者等の支援についても同様のことが言えます。

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02

エンパワメントとは、アメリカにおける公民権運動の中で提唱された概念で「社会的に不利な状況に置かれた人々の自己実現を目指して、その人の有するハンディキャップやマイナス面に着目して援助をするのではなく、長所、力、強さに着目して援助すること」を指します。精神保健福祉士は、利用者のエンパワメントを支援する役割を担っています。

選択肢1. 障害者が差別されず、社会の中に組み入れられていくこと。

適切ではありません。「障害者が差別されず、社会の中に組み入れられていくこと」を「障害のある者が障害のない者と同等に生活し活動する社会を実現すること」ととらえれば、「ノーマライゼーション」の説明と考えることが可能です。

選択肢2. 専門家による最小限の介入で、自分の選んだ環境で落ち着き、満足できるようにすること。

適切ではありません。アンソニーによる「精神科リハビリテーション」の定義(長期にわたる精神障害をもつ人が専門家による最小限の介入で、生活能力の回復を助け、自分の選んだ環境で落ち着き、自分が満足する生活が出来るようにすることである)です。

選択肢3. 逆境や困難を克服することで強化される、人間に本来備わっている復元力のこと。

適切ではありません。レジリエンスの説明です。ちなみにアメリカ心理学会では「逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」と定義されています。

選択肢4. 人々がお互いに責任を果たすことで、個人の権利が日常レベルで実現されること。

適切ではありません。集団的責任についての説明です。集団的責任とは「人々がお互い同士、そして環境に対して責任をもつ限りにおいて、はじめて個人の権利が日常レベルで実現されるという現実」「共同体の中で互恵的な関係を確立することの重要性」がその要素となっています(JASWソーシャルワーク専門職のグローバル定義参照)。

選択肢5. 社会的に不利な状況に置かれた人が、自己決定能力を高め主体的に行動できるようになること。

適切です。エンパワメントを意識した支援により、その人が自身の能力や長所に気づき、自分に自信がもち、ニーズを満たすために主体的にものごとに取り組めるようになることを目指すものとされています。

まとめ

援助者はサービス利用者と同等の立場に立つということもエンパワメントの構成要素の一つです。

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03

本設問で挙げられている「エンパワメント」とは、社会的不利な立場に置かれた人のマイナス面に着目するのではなく、その人自身が持つ強みや力に視点を向けて支援する事を重要視した考え方の事を言います。

選択肢1. 障害者が差別されず、社会の中に組み入れられていくこと。

✕ 選択肢の内容は「ソーシャルインクルージョン」の説明となっています。

選択肢2. 専門家による最小限の介入で、自分の選んだ環境で落ち着き、満足できるようにすること。

✕ 選択肢の内容は「精神科リハビリテーション」の説明となっています。

選択肢3. 逆境や困難を克服することで強化される、人間に本来備わっている復元力のこと。

✕ 選択肢の内容は「レジリエンス」の説明となっています。

選択肢4. 人々がお互いに責任を果たすことで、個人の権利が日常レベルで実現されること。

✕ 選択肢の内容は2014年に出された、ソーシャルワーク専門職のグローバル定義の注釈のうち「集団的責任」部分の説明となっています。

選択肢5. 社会的に不利な状況に置かれた人が、自己決定能力を高め主体的に行動できるようになること。

〇 選択肢の通りです。

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