精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問10

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問題

第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

Gさんの精神科病院での精神保健福祉援助実習は、中盤に差し掛かっている。この日、デイケアでは統合失調症のメンバーを対象とした社会生活技能訓練を行い、Gさんはコ・リーダーを担った。ロールプレイの場面でGさんは、それまでずっと発言しなかったメンバーHさんに対し、「今の場面で良かったところはどこですか」と発言を促した。すると、Hさんは何も言わずに怒った様子で部屋を出ていってしまった。その様子を見たGさんは、何も言えずにぼう然としてしまい、その後のコ・リーダーとしての役割ができなくなった。夕方の振り返りでGさんは、「うまくできなくて、Hさんを怒らせてしまった。実習を続けていけるだろうか。精神保健福祉士には向いてないかも」と実習指導者Jさんに涙ぐみながら話した。
次の記述のうち、この場面で実習指導者JさんがGさんに行う実習スーパービジョンにおける発言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 「今後はHさんと少し距離を置くようにしましょう」
  • 「Hさんの行動は症状からくるものだから、大丈夫ですよ」
  • 「ロールプレイ時の状況を振り返って、Gさんの行動を確認してみませんか」
  • 「Gさんの担当教員に実習中断の連絡をしておきます」
  • 「社会生活技能訓練をもう一度学ぶために課題を出します」

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この過去問の解説 (3件)

01

精神保健福祉援助実習において、実習指導者が学生に対して、スーパービジョンを行なっている場面です。学生の気づきや考えも大切にしながら、一緒に考えていくことが重要です。

選択肢1. 「今後はHさんと少し距離を置くようにしましょう」

不適切です。Hさんがなぜ怒った様子になってしまったのかといったことを検討することが必要です。

選択肢2. 「Hさんの行動は症状からくるものだから、大丈夫ですよ」

不適切です。症状からくるものだとしても、「大丈夫です」と言うのではなく、なぜなのかを検討することが必要です。

選択肢3. 「ロールプレイ時の状況を振り返って、Gさんの行動を確認してみませんか」

適切です。Hさんがなぜ怒った様子で部屋を出ていってしまったのか、振り返りや検討を行うことが必要です。

選択肢4. 「Gさんの担当教員に実習中断の連絡をしておきます」

不適切です。Gさんが自信を失いかけている場面です。Gさんと向き合い、適切な指導を行います。

選択肢5. 「社会生活技能訓練をもう一度学ぶために課題を出します」

不適切です。今は、Hさんというケースに対して検討をすることが必要です。

参考になった数6

02

精神保健福祉援助実習において、実習指導者と学生がその日の振り返りをする場面です。実習指導者と学生のやり取りを通して、スーパービジョンとは何か確認するとよいでしょう。ちなみにスーパービジョンとは、一般に、施設や機関において、スーパーバイザーによって行われる専門職を養成する過程を指すとされており、管理的機能、教育的機能、支持的機能の三つの機能があるとされます。

選択肢1. 「今後はHさんと少し距離を置くようにしましょう」

適切ではありません。トラブルを起こさないという見地に立てば、「今後はHさんと少し距離を置く」ことも有効なのでしょうが、これでは、Gさんに対しての教育という側面がなくなり、実習指導者Jさんがスーパーバイザーとして機能しているとはいえません。

選択肢2. 「Hさんの行動は症状からくるものだから、大丈夫ですよ」

適切ではありません。実習指導者JさんがGさんに対して安心させようという意図だったとしても、社会生活技能訓練中に起きた出来事を患者の症状によるものと単純に決めつけるのは、あまりにも判断の根拠となる情報が不足しています。専門家は根拠をもって選択的判断をすることが必要です。

選択肢3. 「ロールプレイ時の状況を振り返って、Gさんの行動を確認してみませんか」

適切です。実習指導者Jさんがスーパーバイザーとして、支持的機能を果たしている発言です。スーパーバイジーGさんが状況や自身の心情を語り、実習指導者Jさんに共感的に受け止めてもらうことで気づきを深めるスーパービジョンです。

選択肢4. 「Gさんの担当教員に実習中断の連絡をしておきます」

適切ではありません。実習を中止してしまっては、Gさんに対しての教育という側面がなくなり、また、なぜ中止にするのか全く説明のない中止判断は、Jさんがスーパーバイザーとして機能しているとはいえません。

選択肢5. 「社会生活技能訓練をもう一度学ぶために課題を出します」

適切ではありません。再度の課題設定に対する詳細な説明はなく、Gさんの気づきを促す教育という要素も乏しく、Jさんがスーパーバイザーとして機能しているとはいえません。

参考になった数2

03

スーパービジョンとは、スーパーバイザーと呼ばれる指導役がスーパーバイジーと呼ばれる支援経験が少ない援助者に対して行う教育の事を言います。

スーパービジョンの機能は「管理・運営的機能」「教育的機能」「支持的機能」の3つに分けられます。

選択肢1. 「今後はHさんと少し距離を置くようにしましょう」

✕ 対象者であるHさんと距離を取るのではなく、なぜHさんが怒ってしまったか理由を考えなければ、同じ事を繰り返してしまう可能性が考えられます。Hさんの立場に立って考えられるようGさんを支援する事が必要とです。

選択肢2. 「Hさんの行動は症状からくるものだから、大丈夫ですよ」

✕ Hさんの行動の理由を症状の特性だけが原因かどうかは判断できません。なぜHさんが怒ってしまったのかをGさんと一緒に考える必要があります。

選択肢3. 「ロールプレイ時の状況を振り返って、Gさんの行動を確認してみませんか」

〇 適切な内容です。自分自身が行っていた支援を再現する事で、自分の行動を客観的に振り返る事が出来、Hさんの行動の理由を考える事に繋げる事が出来ると考えられます。

選択肢4. 「Gさんの担当教員に実習中断の連絡をしておきます」

✕ スーパービジョンの機能の一つに「支持的機能」があります。精神保健福祉士になりたいと考えていたGさんがモチベーションを喪失しているため、Jさんはスーパーバイザーとしてそのモチベーションが維持できるよう支援する事が必要と考えられます。

選択肢5. 「社会生活技能訓練をもう一度学ぶために課題を出します」

✕ Gさんが社会生活技能訓練に対する知識が不足しているという様子は読み取れません。Hさんとの関わりに焦点を当て、指導する必要があります。

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