精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問11
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問題
第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問11 (訂正依頼・報告はこちら)
Kさん(65歳)は、精神科病院に入退院を繰り返していたが、両親が他界してからは入院が数年続いている。現在は精神症状が軽減しており、病棟でも落ち着いて過ごしている。そこで、指定一般相談支援事業所のL精神保健福祉士も参加して地域移行に向けたケア会議が開かれた。Kさんは、「自分のような長期入院者が退院できるのか」「初めての一人暮らしで不安だ」「日中はどう過ごせばいいのか」「家事や日常生活での金銭管理に自信がない」と話した。
次のうち、この時のL精神保健福祉士がKさんに提案した内容として、適切なものを2つ選びなさい。
次のうち、この時のL精神保健福祉士がKさんに提案した内容として、適切なものを2つ選びなさい。
- ピアサポーターとの交流
- 就労継続支援A型事業所への通所
- 障害福祉サービスによる療養介護の利用
- グループホームでの宿泊体験
- 成年後見制度の利用
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この過去問の解説 (3件)
01
長期入院をされているKさんが地域での生活に対して、不安を表出している場面です。Kさんのニーズを汲み取り、必要な社会資源を提案しましょう。
適切です。Kさんと同じ経験をし、地域で生活しているピアサポーターとの交流は、Kさんの不安に対する支援として重要です。
不適切です。まだ、退院して地域で生活をすることに不安を抱いている段階ですので、時期尚早と言えるでしょう。
不適切です。療養介護は常に介護が必要な方を対象とするものです。問題文からKさんには適さないことがわかります。
適切です。宿泊体験のように、徐々に地域での生活に慣れるための支援は重要です。
不適切です。Kさんは「金銭管理に自信がない」と話しているものの、金銭管理ができないという記述は見られません。今後、検討することも重要になる可能性はありますが、この時点では時期尚早と言えるでしょう。
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02
長期入院をされているKさんが地域での生活に対して、不安な気持ちを述べている場面です。Kさんのニーズを汲み取り、Kさんが安心して地域に暮らしていく方法な何か、Kさんとともに考える姿勢が必要です。精神保健福祉士は、その人が望む場所でその人らしい暮らし実現するため、退院支援を行います。
適切です。長期入院をされているKさんは地域での生活に不安を述べていますので、過去同様の経験をしたピアサポーターの話を聞くことで、Kさんの不安軽減につながる可能性があります。また、地域移行をした後も、ピアサポーターとの交流を通して、自分らしい暮らしを見つけていく一助になる可能性もあります。
適切ではありません。Kさんは日中の過ごし方について不安を述べられていますが、現在のところ就労についての意欲は定かではありません。また、就労継続支援A型事業所は原則的に65歳未満を対象としているサービスであることから、その面からも利用が難しいところでもあります。
適切ではありません。「療養介護」とは、著しく重度の障害者に対し、適切な医療及び常時の介護を提供する障害福祉サービスです。重症心身障害者や筋ジストロフィー患者等が想定されており、Kさんに適したサービスとは考えられません。
適切です。Kさんは「初めての一人暮らしで不安だ」という気持ちを表出されていることから、退院後の生活について、グループホームの利用も選択肢のうちの一つになります。「共同生活援助」には、体験利用についても訓練等給付が受けられますので、所定の手続きを経れば、少額の実費負担(体験利用時の家賃・光熱費・食費等)で体験利用することができます。
適切ではありません。Kさんは「金銭管理に不安がある」旨述べられていますが、事理を弁識する能力が不十分かどうかは事例からは判断できません。成年後見制度の利用や日常生活自立支援事業の利用は、Kさんの今後の具体的な生活状況に応じて検討されるべきものと思います。
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03
病院から退院した後に、住み慣れた地域で安心して生活できるよう支援する事は重要です。様々な職種や社会資源などと連携する事が大切になります。
〇 ピアサポートとは、同じ病気や経験などを持つ人が、当事者同士で支え合い、問題解決を図る事を言い、ピアサポーターは自分と同じ状況に置かれている人を支える役割を担っている人の事を言います。
Kさんはこれから始まる初めての生活に対して大きな不安を感じているため、同じように病院から退院し地域で生活する人の話を聞く事で安心感を得られると考えられ、適切な支援内容と言えます。
✕ 就労継続支援A型を65歳以上の人が利用する場合、過去に就労継続支援A型事業所の支給決定を受けている事が条件となります。また、Kさんは金銭管理に対する不安は口にしているものの、就労に対する希望は聞かれていないため、繋ぎ先としては不適切です。
✕ 療養介護は医療的ケアの必要性と合わせ、常時介護が必要な方が利用できる可能性があるサービスになります。本事例の中でKさんに医療的ケアや常時介護が必要な状態を読み取る事はできません。
〇 Kさんは一人暮らしが初めてであり、不安を口にされています。日中の生活についても不安を感じている様子も見られているため、まずはグループホームでの生活を行い、一人暮らしに繋げていく方法も選択肢の一つと考えられます。グループホームで宿泊体験を行い、Kさんが安心感を得て生活できるかどうか見極める事は、適切な支援内容と考えられます。
✕ 成年後見制度は、認知症や障がいなどがあり、意思決定が困難であったり、判断能力が低下している人が活用できる制度です。Kさんは金銭管理に自信がないと話しているものの、意思決定が困難な状況かどうかを判断する事はできず、現時点で成年後見制度の利用を紹介する必要があるかは分かりません。
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