精神保健福祉士の過去問
第25回(令和4年度)
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問25
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問題
第25回(令和4年度) 精神保健福祉士国家試験 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問25 (訂正依頼・報告はこちら)
次の事例を読んで、問題について答えなさい。
〔事例〕
F精神保健福祉士が勤務する精神科病院に、10日前、アルコール依存症のGさん(52歳、男性)が入院となった。Gさんはこれまで2度入院し、その都度F精神保健福祉士が担当していた。離脱症状が治まったため、F精神保健福祉士は病棟の面接室でGさんと面接を行った。
Gさんは、「大学を出て今の会社に就職して、趣味もなく仕事ばかりの生活だった。3年前に管理職に昇進して、慣れない内容が増えてそのストレスを飲酒でごまかすようになり、そのうち時々早退して昼から酒を飲むようになった。その様子を見兼ねた妻が病院に連れて来た。今まで自分で酒を断とうとしたけど、うまくいかなかった。こんな僕だけど、家族のためにも酒のない生活に変わりたい気持ちはある。妻や社長からは、今回は入院してしっかり治して帰ってくるようにと言われているけど、迷惑をかけて、つくづく自分はだめな人間だと思う」とやっと本音を話した。F精神保健福祉士は、「そう思いつつも、Gさん自身はこれから酒のない生活に変わっていきたいんですね」と話を続けた。(※1)
翌週、妻から面談の希望があり、F精神保健福祉士が対応した。「私も仕事をしているのでお金のことは心配ない。でも、また夫が酒浸りになるんじゃないかと一人で考えていると胸が苦しくなってくる。このことは、誰にでも話せることじゃないし、どうしたらいいでしょうか」と相談された。そこで、F精神保健福祉士は、「私たちも相談に乗りますし、地域にも相談できる所がありますよ」と提案した。(※2)
入院から1か月後、Gさんを含めた病棟カンファレンスが開催された。その際、F精神保健福祉士は、Gさんが自宅へ退院しても断酒が継続できるよう、今後を見据えたGさんへの支援を提案した。(※3)
次のうち、(※3)の時にF精神保健福祉士が提案した内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
F精神保健福祉士が勤務する精神科病院に、10日前、アルコール依存症のGさん(52歳、男性)が入院となった。Gさんはこれまで2度入院し、その都度F精神保健福祉士が担当していた。離脱症状が治まったため、F精神保健福祉士は病棟の面接室でGさんと面接を行った。
Gさんは、「大学を出て今の会社に就職して、趣味もなく仕事ばかりの生活だった。3年前に管理職に昇進して、慣れない内容が増えてそのストレスを飲酒でごまかすようになり、そのうち時々早退して昼から酒を飲むようになった。その様子を見兼ねた妻が病院に連れて来た。今まで自分で酒を断とうとしたけど、うまくいかなかった。こんな僕だけど、家族のためにも酒のない生活に変わりたい気持ちはある。妻や社長からは、今回は入院してしっかり治して帰ってくるようにと言われているけど、迷惑をかけて、つくづく自分はだめな人間だと思う」とやっと本音を話した。F精神保健福祉士は、「そう思いつつも、Gさん自身はこれから酒のない生活に変わっていきたいんですね」と話を続けた。(※1)
翌週、妻から面談の希望があり、F精神保健福祉士が対応した。「私も仕事をしているのでお金のことは心配ない。でも、また夫が酒浸りになるんじゃないかと一人で考えていると胸が苦しくなってくる。このことは、誰にでも話せることじゃないし、どうしたらいいでしょうか」と相談された。そこで、F精神保健福祉士は、「私たちも相談に乗りますし、地域にも相談できる所がありますよ」と提案した。(※2)
入院から1か月後、Gさんを含めた病棟カンファレンスが開催された。その際、F精神保健福祉士は、Gさんが自宅へ退院しても断酒が継続できるよう、今後を見据えたGさんへの支援を提案した。(※3)
次のうち、(※3)の時にF精神保健福祉士が提案した内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ひとりSSTの実施
- アルコール依存症回復支援施設への入所
- 入院中からの自助グループ参加
- 日常生活自立支援事業の申請準備
- 復職を想定した職場の仕事内容の確認作業
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この過去問の解説 (3件)
01
Gさんが退院した後も、断酒を継続できるためにはどうすれば良いか話し合っている場面です。Gさんの病状や生活環境をアセスメントした上で支援内容を提案することが必要です。
不適切です。Gさんは「断酒が継続できるよう」にすることが課題であり、社会生活を送ることに困っているわけではありません。
不適切です。「入院から1か月後」に「自宅へ退院しても断酒が継続できるよう、今後を見据えた」とありますので、入所施設を提案するという提案はそぐわないことがわかります。
適切です。退院しても断酒ができるよう、継続的な治療が必要となります。入院中から自助グループへ参加し、慣れておくことは重要です。
不適切です。日常生活自立支援事業とは、障害等により判断能力が不十分な方に対し、金銭管理等の支援を行う事業です。そのような支援がGさんに必要であるという記述はありません。
不適切です。ここでポイントとなっているのは「自宅へ退院しても断酒が継続できるよう」ということです。復職を想定することも大切ですが、断酒について考える必要があります。
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02
Gさんを含めた病棟カンファレンスが開催されている場面です。入院から1か月後、Gさんの今後を見据えた内容となるはずです。Gさんのコメント「家族のためにも酒のない生活に変わりたい気持ちはある」を参考にどのような支援が適当か判断しましょう。
適切ではありません。ひとりSSTとは、自分自身で思考・感情を分析し、認知のゆがみを修正するSST(ソーシャルスキルズトレーニング)とされています。自己肯定感を高めたり、不安やストレスを低減する効果があるものとされますが、「自宅へ退院しても断酒が継続できる」ためのトレーニングとはいいきれません。
適切ではありません。「自宅へ退院しても断酒が継続できる」目的のために、精神科病院で入院治療を受けているところから、アルコール依存症回復支援施設へ入所するのはやや迂遠な気がします。精神科病院での適切な治療後「自宅での断酒が難しい」と判断され、本人がそれを望めば入所するケースもありえますが、出題意図としてそこまでの事情は読み取れません。
適切です。自助グループは何かしらの困難を感じている人が、同じような悩みを抱えている人と互いに支え合い、それを乗り越えることを目的とした集まりです。医療機関が治療と並行して参加を促すことはよくあります。
適切ではありません。日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行う、都道府県・指定都市社会福祉協議会が実施主体の事業です(窓口は市町村の社会福祉協議会等)。
Gさんのニーズにマッチしません。
適切ではありません。Gさんのコメント「家族のためにも酒のない生活に変わりたい気持ちはある」を参考にすると、第一義的な課題は、アルコールを飲まなくても日常生活を送れることであると考えられます。「復職」も重要な課題の一つ(事例からは読み取れませんが)かもしれないですが、仕事上のストレスから酒を飲むきっかけになったことも考慮すると、優先順位はつくと考えられます。
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03
本設問においては、Gさんのニーズを把握した上で必要な支援内容を検討する必要があります。そのためには各選択肢に挙げられている制度や、訓練の内容を適切に把握しておく事が大切です。
✕ SSTは「ソーシャルスキルトレーニング」の事を言います。ソーシャルスキルトレーニングとは、人との上手な接し方や自分の気持ちの伝え方などを学び、身につけるための訓練の事を言います。ひとりSSTとは、SSTを自分自身で実施する事を言いますが、今のGさんの支援に適した内容とは言えません。
✕ Gさんは自宅へ退院し、そこで断酒が継続できる事を目標としています。アルコール依存症回復支援施設への入所を提案する事は、Gさんの意思決定に反した提案となり、適切な支援内容とは言えません。
〇 自分と同じ立場の患者と入院中から繋がりを持つ事で、悩み相談が出来る仲間づくりもできます。地域に戻ってからも治療が継続されるため、病院とは繋がりが維持されますが、入院中と比較すると離れる時間も増えます。自助グループと繋がりを持つ事は、身近な相談相手を得られる効果もあり、地域生活を続けていく上で重要であると考えられます。
✕ 日常生活自立支援事業とは、判断能力が不十分な人に対して福祉サービスの利用援助などを行う事を目的としています。Gさんの判断能力が不十分な描写は本設問の中で記載はなく、福祉サービスの利用を希望している訳でもないため、選択肢の内容は適切とは言えません。
✕ Gさんは仕事が原因でストレスを生じ、アルコール依存症に至るきっかけを作ってしまいました。仕事復帰には十分な準備が必要と考えられます。まず退院して自宅に戻り、断酒を継続した生活が継続できるかどうかを見極める事が先決だと思われるため、現時点での適切な支援内容とは言えません。
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