精神保健福祉士 過去問
第26回(令和5年度)
問134 (精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問16)

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問題

精神保健福祉士試験 第26回(令和5年度) 問134(精神保健福祉の理論と相談援助の展開 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

次の事例を読んで、(※3)の時のケア会議の参加者がLさんに話したこととして、適切なものを2つ選びなさい。
〔事例〕
Lさん(41歳、男性)は、20代で統合失調症と診断され、服薬を中断して体調を崩しては入退院を繰り返し、今回の入院となった。なかなか病状が安定しなかったが、入院して1年が過ぎ安定してきた。病棟担当の精神保健福祉士は、Lさんから、「両親とも70代で体調が悪いので、もう負担はかけられない。一人暮らしをして自立したいが、これまで家事は母親に任せきりだったため、いざ一人暮らしを考えると不安がある」と聞いた。そこで、地域移行支援を紹介し、利用することになった。後日、相談支援事業所のM精神保健福祉士とピアサポーターのAさんがLさんの元を訪れた。Aさんは、「僕も退院が不安だったけど、いろいろな助けを借りて一人暮らしができているし、好きなことに打ち込めて楽しいよ」と話し、自身の生活や利用しているサービスについて説明した。(※1)
Lさんは、「両親が貯めてくれたお金があるので、しばらくは生活の心配はないと思う」「Aさんのように一人暮らしを継続し、再入院しないで、好きな鉄道を自由に見に行きたい」「自炊したいし、家事や生活費のやりくりも頑張りたいが、自信がない」「ささいなことが心配になるので、相談できる場所があると助かる」と話した。M精神保健福祉士は、Lさんの思いを受け止め、地域移行支援計画案を作成した。(※2)
Lさんは、AさんやM精神保健福祉士の支援を受けて退院し、引き続き地域定着支援を受けながら一人暮らしを始めた。そして、地域活動支援センターのB精神保健福祉士の支援を受けながら、フリースペースの利用や毎日の夕食会に参加し始めた。さらに、居宅介護による掃除の支援や訪問看護を利用して生活に慣れていった。しかし、ほどなくしてフリースペースや夕食会に顔を見せなくなった。B精神保健福祉士は、M精神保健福祉士と訪問看護師にこのことを話し、訪問看護時に一緒にLさん宅を訪れた。Lさんは、「夕食会で話の合う人がいないので居づらく、行けなくなってしまった。そのことに悩んだり、夕食作りなど家事を頑張ったので疲れてしまった。今は寝てばかりいて、家にひきこもっている。このままだとまた入院になってしまうのでしょうか」と話した。そこでケア会議が開催された。(※3)
  • 訪問看護師:「生活リズムを立て直すために、入院を考えてみませんか」
  • B精神保健福祉士:「鉄道好きなメンバーがいるので、声を掛けてみましょうか」
  • M精神保健福祉士:「無理せず、ご実家で暮らすようにしますか」
  • ホームヘルパー:「家事ができるようになったので、もう少し頑張ると楽になりますよ」
  • Aさん:「一緒に夕食のお惣菜(そうざい)を買いに行きませんか」

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この過去問の解説 (3件)

01

一人暮らしを始めたLさんですが、生活を送る中で負担感を感じ、生活リズムに乱れが出てしまっている場面での支援になります。Lさんが何に対して負担を感じているのかをLさんの言動から読み取り、その負担感の軽減に努めるような支援が必要です。

選択肢1. 訪問看護師:「生活リズムを立て直すために、入院を考えてみませんか」

✕ Lさんからは「再入院になってしまうのか」という不安が聞かれており、その言葉から入院を望んでいる訳ではない事が読み取れます。Lさんの現状を見ても、希望していない入院を勧めなければいけないほど事態が切迫している様子は読み取れないため、選択肢の内容は適切ではありません。

選択肢2. B精神保健福祉士:「鉄道好きなメンバーがいるので、声を掛けてみましょうか」

〇 Lさんは「夕食会で話の合う人がいないので居づらく、行けなくなってしまった」と発言しています。自身と同じく鉄道が好きなメンバーがいると分かれば、再度夕食会への参加に繋げる事が出来ると考えられますので、適切な支援内容であると言えます。

選択肢3. M精神保健福祉士:「無理せず、ご実家で暮らすようにしますか」

✕ Lさんは退院前から「高齢の両親に負担を掛けられない」「一人暮らしをして自立したい」という思いを持っていました。生活リズムに乱れが出ているものの、一人暮らしを辞めたいという言葉は聞かれていないため、実家での生活を提案する事は現時点では適切な支援とは言えません。

選択肢4. ホームヘルパー:「家事ができるようになったので、もう少し頑張ると楽になりますよ」

✕ Lさんからは「夕食作りなど、家事を頑張ったので疲れてしまった」という発言が聞かれており、家事が負担になっていると推察されます。その状態のLさんに家事を頑張るよう促す事は、事態を悪化させる可能性が高く、適切な声掛けとは言えません。

選択肢5. Aさん:「一緒に夕食のお惣菜(そうざい)を買いに行きませんか」

〇 Lさんは夕食作りを行う事や、家事に対する負担感を感じているため、お惣菜を買いに行く事で負担の軽減に繋がります。また、自分と同じように生活しているAさんと一緒に行動する事で、Aさんの持つ知識などを得る事にも繋がると考えられるため、適切な支援内容であると言えます。

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02

地域定着支援などの支援を受け、一人暮らしを始めたLさんですが、少し壁にあたってしまったようです。

 

夕食会での人間関係、家事を頑張り過ぎて疲れたこと、ひきこもり状態で再入院の不安が想起したことなどです。

 

支援の再構築や関係者の働きかけが必要な段階で、Lさんの不安感・負担感を軽減させていく必要があります。

 

 

選択肢1. 訪問看護師:「生活リズムを立て直すために、入院を考えてみませんか」

適切ではありません。

 

確かにLさんは、生活リズムを乱しひきこもりの状態にあるかもわかりませんが、それが病気の憎悪によるものだとは、一概に考えられません。

 

日々の生活の中で、いかに負担感を減らしていく工夫をするかを先に取り組むべきだと思われます。

選択肢2. B精神保健福祉士:「鉄道好きなメンバーがいるので、声を掛けてみましょうか」

適切です。

 

Lさんが夕食会に行かなくなってしまった理由の一つは、「夕食会で話の合う人がいない」ことです。

 

支援者が仲介して、話し相手が見つかれば、Lさんが夕食会に参加するモチベーションとなるかもわかりません。

選択肢3. M精神保健福祉士:「無理せず、ご実家で暮らすようにしますか」

適切ではありません。

 

Lさんの両親は、高齢であり、これまでのようにLさんのバックアップを期待できるとも限りません。また、Lさんは実家暮らしで入退院を繰り返した過去もあります。

 

現在、Lさんはよくない状態とは判断できますが、それをもってAさんの希望である「一人暮らし」をやめたいとの意思が生じているとは事例から読み取れません。

選択肢4. ホームヘルパー:「家事ができるようになったので、もう少し頑張ると楽になりますよ」

適切ではありません。

 

Lさんは、家事に頑張り過ぎたことも現在の不調につながっていると事例から判断できます。

選択肢5. Aさん:「一緒に夕食のお惣菜(そうざい)を買いに行きませんか」

適切です。

 

Lさんは、夕食会での人間関係や家事を頑張り過ぎたことにより現在の不調につながっていると考えられます。

 

Aさんと一緒にお惣菜を買いに行くことで、気分転換にもなりますし、食事の用意という家事の一部の負担軽減にもなります。

参考になった数0

03

実際に一人暮らしを始めたものの、新たな課題が出てしまっている状況です。Lさんの意向や課題を明確にし、今どのような支援が重要であるかを考えましょう。

選択肢1. 訪問看護師:「生活リズムを立て直すために、入院を考えてみませんか」

不適切です。地域で生活していても、生活リズムを立て直すことは可能と考えられます。

選択肢2. B精神保健福祉士:「鉄道好きなメンバーがいるので、声を掛けてみましょうか」

適切です。「話の合う人がいないので居づらく、行けなくなってしまった」とあることから、話の合うメンバーとLさんを結びつけることは重要です。

選択肢3. M精神保健福祉士:「無理せず、ご実家で暮らすようにしますか」

不適切です。Lさんは、一人暮らしを希望しています。Lさんの意向に沿った支援内容を検討することが重要です。

選択肢4. ホームヘルパー:「家事ができるようになったので、もう少し頑張ると楽になりますよ」

不適切です。「夕食作りなど家事を頑張ったので疲れてしまった」Lさんに対し、更に頑張りを促すことは、症状などの悪化に繋がると考えられます。

選択肢5. Aさん:「一緒に夕食のお惣菜(そうざい)を買いに行きませんか」

適切です。「夕食作りなど家事を頑張ったので疲れてしまった」とあることから、Lさんの生活の負担を減らすことができるような支援を提案することは重要です。

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