精神保健福祉士 過去問
第27回(令和6年度)
問87 (精神医学と精神医療 問3)

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問題

精神保健福祉士試験 第27回(令和6年度) 問87(精神医学と精神医療 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

Aさん(42歳)は、夫(40歳)、娘(10歳)、息子(6歳)の4人家族である。ある日、最大震度7の地震が起こり、Aさんの家は半壊した。Aさんとその家族は全員かすり傷程度のケガで済んだものの、自宅での生活が難しく、避難所である小学校の体育館での生活となった。被災して3日が経過した。避難所を訪れたDPATのスタッフに対してAさんは「倒れてきた家具の下敷きになるところでした。現実のことと思えず、夢を見ているような感覚でした。今でもその時の出来事が何度も思い起こされてとても不安です。夜もよく眠れていません」と話した。次のうち、Aさんの状態として、適切なものを1つ選びなさい。
  • 全般不安症
  • ナルコレプシー
  • 強迫症
  • 急性ストレス反応
  • 心気症

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この過去問の解説 (2件)

01

事例とよく読み込んで、選択肢の内容をよく検討して解答を導きましょう。

 

・Aさんは、生命を脅かされるような地震に遭遇した(トラウマ体験)

・被災して3日が経過(症状が1か月以上継続していない)

・地震を何度も思い出して不安感が強い、不眠傾向である(過覚醒)

 

ことを、選択肢に示された病名が示す症状であるか、どうか検討します。

選択肢1. 全般不安症

適切ではありません。

 

全般性不安症は、原因が特定されものではない過剰な不安・心配が症状となります。

 

Aさんの不安は被災が原因と考えられます。

 

 

選択肢2. ナルコレプシー

適切ではありません。

 

ナルコレプシーは、日常生活において強い眠気の発作が症状として現れます。

 

Aさんは、強い眠気の発作は訴えていません。

 

選択肢3. 強迫症

適切ではありません。

 

強迫症は、強迫行為と強迫観念がともに存在するとされます。

 

Aさんの不安は強迫観念と捉えることも可能かも知れませんが強迫行為は認められません。

 

 

選択肢4. 急性ストレス反応

適切です。

 

Aさんの症状は急性ストレス反応の症状に合致すると考えられます。

選択肢5. 心気症

適切ではありません。

 

心気症は、病気にかかるあるいはかかっているとの思い込みが6か月以上持続し、苦痛や機能障害が生じている状態です。

 

Aさんの症状ではありません。

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02

精神疾患の種類に関する知識を問う問題です。

強い不安を引き起こす疾患はいくつかありますが、不安の原因が特定されているかどうかや、不安によって引き起こされる行動の違いによって分類されています。

疾患の名前を覚えるときは、原因の有無や引き起こされる行動、症状も一緒に覚えておくことが大切です。

選択肢1. 全般不安症

全般不安症は、不安を感じる原因ははっきりしないものの、強い不安や危機感を感じることで、息苦しさや動悸、倦怠感、めまいといった症状が現れるものです。

今回の事例の場合、原因は地震によるものとはっきりしているため、Aさんの状態にはあてはまりません。

選択肢2. ナルコレプシー

ナルコレプシーとは、日中や普段起きている時間帯に、自分では制御できないほどの過度の眠気を感じたり、突然の情動脱力発作を起こすものです。

Aさんには、日中に突然眠くなる症状は見られないため、あてはまりません。

 


 

選択肢3. 強迫症

強迫症は、家の戸締りや火の始末が過剰に気になってしまい、何度も確認せずにはいられなくなる疾患です。

Aさんには、地震の記憶が頭から離れないことはあっても、そのために何度も確認する行動は見られていないため、あてはまりません。

選択肢4. 急性ストレス反応

生死にかかわるような大きな出来事を体験した後、その時の記憶を何度も思い出したり、夢に見たりすることが3日以上続く場合、急性ストレス反応(ストレス障害)と診断されます。

Aさんは、地震の体験によって生死にかかわる記憶を何度も思い起こされ、夢にも出る状態であるため、急性ストレス反応であることがわかります。

選択肢5. 心気症

心気症とは、身体的には健康であっても、ちょっとした身体の不調を過剰に心配し、重篤な病気ではないかと不安に思い、周囲に不調を訴えたり、医師の診断にさえ異を唱えたりすることです。

Aさんには身体的な疾患を疑っている発言は見られないため、あてはまりません。

まとめ

Aさんは地震という生死にかかわる体験をしたことで、心に外傷を負った状態といえます。

そのため、当時の記憶が何度も思い起こされ、強い不安を感じていたり、夢に出るほどの恐怖を抱いていることがわかります。

急性ストレス反応は、地震のような災害の体験に限らず、事故、暴力の体験、あるいは、それらを目撃したことでも発症する場合があります。

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