精神保健福祉士 過去問
第27回(令和6年度)
問104 (精神保健福祉の原理 問2)

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問題

精神保健福祉士試験 第27回(令和6年度) 問104(精神保健福祉の原理 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、精神科病院での職員による入院患者への暴行等の重大な不祥事件を契機に、任意入院制度を創設した法律として、正しいものを1つ選びなさい。
(注)「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
  • 精神衛生法
  • 精神病者監護法
  • 精神病院法
  • 精神保健法
  • 「精神保健福祉法」

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この過去問の解説 (2件)

01

精神衛生に関する法律が成立した順番は以下のとおりです。

1900年 精神病者看護法

→ 1919年 精神病院法

→ 1950年 精神衛生法

→ 1987年 精神保健法

→ 1995年 精神保健福祉法

法改正に伴い、少しずつ精神障害者の人権や社会復帰の促進が図られてきていることに留意しておきましょう。

選択肢1. 精神衛生法

精神衛生法は、私宅監置を初めて禁止した法律です。

欧米の精神衛生の考えも導入され、措置入院の他に保護義務者の同意による同意入院の制度ができました。

しかし、本人の任意入院制度ではないため解答としては誤りです。

選択肢2. 精神病者監護法

精神病者監護法は1900年に成立した法律です。

当時は医療機関での精神医療が十分に提供できないことから、精神障害者の私宅監置が認められた法律です。

任意入院制度は含んでいません。

選択肢3. 精神病院法

精神医療の充足を目的に、道府県でも精神病院の設立を可能にした法律です。

任意入院制度は含んでいません。

選択肢4. 精神保健法

宇都宮病院事件を機に任意入院制度が導入され、精神障害者の人権擁護や社会復帰の促進を目的として成立しました。

設問の説明に合致しています。

選択肢5. 「精神保健福祉法」

精神保健福祉法は、精神障害者が法的にも障害者であることが明記された法律です。

任意入院制度よりあとにできたものです。

まとめ

精神衛生に関する法律は時代を経て何度も修正されてきています。

それぞれの法律の特徴と、契機となった出来事をセットで覚えておくことが大切です。

 

・精神病者看護法(1900年)・・・私宅監置が認められていた

 

・精神病院法(1919年)・・・呉秀三氏の私宅監置における批判的な報告により、精神医療の充実を目的として道府県においても精神病院の設置が可能になったが、国の予算が不十分であったことなどから、あまり設置は進まなかった。

 

・精神衛生法(1950年)・・・欧米の精神衛生の考えを受け、「精神病者看護法」「精神病院法」を廃止し、代わりに成立した法律です。私宅監置が禁止され、都道府県に公立精神病院の設置が義務付けられました。措置入院保護義務者の同意入院の制度ができたのも特徴です。

 

・精神衛生法一部改正(1965年)・・・ライシャワー事件(当時の駐日アメリカ大使が日本人の統合失調症患者にナイフで刺され負傷した事件)の影響で、精神障害者への医療が不十分であることが問題となったのを契機に、措置入院制度が強化されることになりました。また在宅精神障害者治療の促進が求められ、精神障害者の通院医療費公費負担(現:自立支援医療費支給認定)の制度が創設されました。

 

・精神保健法(1987年公布、翌年施行)・・・宇都宮病院で入院中の患者が看護職員の暴行によって死亡する事件(宇都宮事件)によって精神医療のあり方が見直され、任意入院の制度が創設。

 

・精神保健福祉法(1995年)・・・1993年の障害者基本法の制定に伴い、精神保健法が大幅に改正され、精神障害者が法的にも「障害者」に位置づけられることになりました。

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02

精神保健福祉の歴史・変遷については、試験でよく問われるテーマの一つです。

 

日本の歴史のみならず、世界の精神保健福祉の変遷にも注意して学習しましょう。

選択肢1. 精神衛生法

正しくありません。

 

精神衛生法の制定は、1950年(昭和25年)です。

 

精神衛生法では

「精神病者監護法」「精神病院法」を廃止

・私宅監置の禁止

・措置入院・同意入院制度の導入

などが定められました。

 

 

選択肢2. 精神病者監護法

正しくありません。

 

精神病者監護法の制定は、1900年(明治33年)です。

 

日本における精神障害者に関しての初めての法律といわれています。

 

この法律により、私宅監置が法定化されました。

 

 

 

 

選択肢3. 精神病院法

正しくありません。

 

精神病院法の制定は、1919年(大正8年)です。

 

道府県が精神病院を設置できるという内容ですが、私宅監置はそのまま制度としての残りました。

選択肢4. 精神保健法

正しいです。

 

精神保健法の制定は、1987年(昭和62年)です。

 

1984年に起きた宇都宮病院事件がきっかけとなり成立した法律です。

・任意入院の制度の創設

・精神医療審査会の創設

などが主な法律の内容です。

 

 

選択肢5. 「精神保健福祉法」

正しくありません。

 

精神保健福祉法は、1995年(平成7年)、障害者基本法の成立をうけて、従来の精神保健法を大幅に改正してできた法律です。

・法律中に精神障害者福祉がうたわれる

精神障害者保健福祉手帳制度の創設

などが主な法律の内容です。

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