社会福祉士の過去問
第30回(平成29年度)
心理学理論と心理的支援 問10
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問題
社会福祉士試験 第30回(平成29年度) 心理学理論と心理的支援 問10 (訂正依頼・報告はこちら)
思考や知能に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 拡散的思考とは、問題解決の際に、一つの解答を探索しようとする思考方法である。
- 洞察とは、問題解決のための方法を一つひとつ試して、成功する手法を探していく思考方法である。
- 知能指数( IQ )は、知能検査から得られる生活年齢と暦年齢の比によって計算される。
- 結晶性知能とは、過去の学習や経験を適用して得られた判断力や習慣のことである。
- 成人用知能検査であるWAISは、フランスのビネー( Binet, A. )によって開発された。
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この過去問の解説 (4件)
01
1.拡散的思考とは、問題解決の際に、多くの解答を拡散させて探索しようとする思考方法です。
2.洞察とは、問題解決のための方法を、全体的に見通しを立てる思考方法です。
3.知能指数は、生活年齢と精神年齢の比によって計算されます。
4.結晶性知能とは、過去の学習や経験を適用して得られた判断力や習慣のことです。
5.WAISは、ウェクスラーによって開発されました。ビネーは知能指数(IQ)を測定する知能検査を開発しました。
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02
1.設問は「収束的思考」の説明です。
アメリカの心理学者・ギルフォードは、人の思考には2つの側面があると提唱。1つは、すでにある情報をもとに1つの答えを導き出す「収束的思考」、もう1つはすでにある情報からさまざまな考えを巡らせ、新しいアイデアを生み出す「拡散的思考」です。
2.設問は、アメリカの心理学者・ソーンダイクが提唱した「試行錯誤学習」の説明です。
「洞察」とは、ドイツの心理学者・ケーラーが提唱した概念。問題解決のために過去の経験などを用いて状況を再構成し、解決へとこぎつける手法です。チンパンジーがあらゆる行動を繰り返し、バナナを手に入れる手段を見つける実験が有名です。
3.知能検査の結果を表す知能指数。従来は『精神年齢÷生活年齢×100』の式で算出されます。
4.正答です。イギリスの心理学者・キャッテルは、知能を「結晶性知能」「流動性知能」の2つに分類しました。「結晶性知能」は、学校や仕事での経験によって増えていく知能のこと。「流動性知能」は新しい環境に適応するために情報を獲得し、それを処理する能力のことです。例えば、洞察力や計算力は結晶性知能、スピーディーな処理能力は流動性知能です。
結晶性知能は年を重ねても安定しているのに対し、流動性知能は高齢になると低下していきます。
5.成人用知能検査を開発したのは、アメリカの心理学者・ウェクスラー。
ビネーの知能検査では、田中ビネー式知能検査が知られています。
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03
一つの解答を探索しようとする思考方法は収束的思考です。
2.洞察とは、問題解決という目的に沿って、過去経験などをもとにその場の状況を再認識し、解決の見通しを立てることです。
解決のためにひとつひとつ試していくことは試行錯誤と呼ばれ、洞察と対照的な学習法です。
3.知能指数(IQ)は生活年齢と精神年齢の比によって、計算されます。
4.結晶性知能とは、過去の学習や経験を適用して得られた判断力や習慣のことです。
5.WAISはデイヴィッド・ウェクスラーによって開発されました。ビネーは知能指数(IQ)を測定する検査を発明しました。
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04
1.誤答
拡散的思考とは、情報を元に様々な方向に考えを巡らせ、まだ存在しない新しいアイディアを生み出す思考方法です。
一方、問題解決の際に、一つの解答を探索しようとする思考方法は、「収束的思考」の説明です。
収束的思考と拡散的思考は、アメリカの心理学者のギルフォードが提唱した概念で、人間の思考にみられる2つの側面を表しています。
2.誤答
問題解決のための方法を一つひとつ試して、成功する手法を探していく思考方法は、ソーンダイクが提唱した「試行錯誤(学習)」の説明です。
「洞察」は、試行錯誤の概念と対になる学習法で、何らかの方法を試すことなく瞬時に気づいたり、わかるという概念で、ケーラーによって提唱されました。
3.誤答
知能指数は(IQ)は、知能の水準や発達の程度を測定した知能検査の結果の値です。知能指数の測定は「精神年齢÷生活年齢×100」で算出します。
知能指数は、大まかな知能の診断基準とされたり、知的障害などの診断や支援に利用されます。
4.正答
結晶性知能は、個人が過去の学習や経験等から獲得した知能であり、判断力や習慣、言語能力、理解力、洞察力などがあります。
一方、流動性知能は、新しい環境に適応するため、新しい情報を獲得・処理・操作していく知能であり、処理のスピード、直感力、柔軟性、臨機応変さなどがあります。
これら結晶性知能や流動性知能は、知能の最も大きな分類として、ホーンとキャッテルが提唱しました。
5.誤答
フランスのビネーは、シモンとともに知能検査の始まりといわれる、「ビネー・シモン法」を開発し、その後、現在の「ビネー式知能検査」を作りました。そして、このビネー式知能検査の日本版として田中寛一が「田中・ビネー式知能検査」を開発し知能検査(2歳~成人)の代表として使用されます。
成人用知能検査であるWAIS(ウェクスラー式知能検査)は、知能を「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの側面から判断します。児童用のWISC検査もあります。
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