社会福祉士の過去問
第30回(平成29年度)
現代社会と福祉 問22

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問題

社会福祉士試験 第30回(平成29年度) 現代社会と福祉 問22 (訂正依頼・報告はこちら)

ロールズ( Rawls, J. )が論じた「正義」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 成員の快楽の総和を最大化する社会が、最も望ましいと論じた。
  • 社会で最も不遇な人の最大の便益となるように、資源配分の是正が行われるべきであると論じた。
  • 諸個人に対する平等な基本的自由の実現が不可能であることを前提に、正義を論じた。
  • 「無知のヴェール」に包まれた個人を想定した議論では、功利主義的な社会が構想されることになると論じた。
  • 「さまざまな生き方」を選べる基本的なケイパビリティを平等に配分することが、正義であると論じた。

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は2です。

1.社会で厚遇されている人の快楽を高めても、社会の総和の最大化は果たせます。ロールズが論じた正義ではありません。

2.ロールズは、社会で最も不遇な人の最大の便益となるように、資源配分の是正が行われるべきであると論じました。

3.ロールズは、平等な基本的自由をもつことを第一原理として正義を論じました。

4.「無知のヴェール」に包まれた個人を想定した議論では、すべての人が現実に自分が置かれた状態を知らないという原初状態を想定しています。

5.ケイパビリティについて論じたのはセンです。

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02

正解は2です。

ロールズは、正義は第一原理と第二原理の2つから成ると定義づけました。
■第一原理…言論の自由や政治的自由を始めとする基本的自由を全員に平等に配分する原理。
■第二原理…社会的・経済的な不平等に対し、機会の均等を図りながら最も不遇な人の利益を最大化する『機会均等原理』+結果的に生じた不平等に対して、最悪の状況は可能な限り改善する『格差原理』

その他の選択肢については、以下のとおりです。

1.功利主義を唱えたベンサムの、『最大多数個人の最大幸福』の説明です。

3.ロールズは、第一原理で基本的自由を全員に平等に配分するとしています。

4.ロールズは、自分の社会的立場や他者の能力などが『無知のヴェール』に包まれた状態であれば、嫉妬や優越感に左右されることなく、合理的な選択ができるとしました。

5.アマルティア・センが唱えた正義に関する説明です。センは暮らしの豊かさについて、本人の満足度や金銭の保有高ではなく、どのくらい「さまざまな生き方」が選べるかによって評定できるとしました。

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03

1.ロールズの論じた「正義」とは、 成員の快楽の総和を最大化する社会がもっとも望ましいというものではありません。

2.ロールズの論じた「正義」とは、「社会で最も不遇な人の最大の便益となるように、資源配分の是正が行われるべきである」ということです。

3.ロールズの論じた「正義」とは、基本的自由に対する平等の権利をもつべきという考えです。平等な基本的自由の実現が不可能という前提はありません。

4.「無知のヴェール」とは、功利主義的な社会ではなく、自分の立場や位置について知らずにいるという「原始状態」をあらわしています。

5. 「さまざまな生き方」を選べる基本的なケイパビリティを平等に配分することを論じたのはセンです。

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04

正答【2】

1.誤答 
成員の快楽の総和を最大化する社会が、最も望ましいと論じたのは、ベンサムに代表される「功利主義」です。
功利主義とは、「最大多数の最大幸福」といわれるように、社会的利益は個人的利益の総和であって、社会はこの総和を出来る限り最大化する事を目的としています。


2.正答 
社会で最も不遇な人の最大の便益となるように、資源配分の是正が行われるべきであると論じたのは、ロールズの「正義」に関する記述です。


3.誤答 
ロールズは、 諸個人に対する平等な基本的自由の実現が「可能」であることを前提に、正義を論じています。
自らの利益や自由を最大化するために、力の強いものが財を優先する社会ではなく、すべての人の自由が保障されるために、財を平等配分する社会を目指しています。


4.誤答 
「無知のヴェール」に包まれた個人を想定した議論では、正義原則の社会が構想されると論じています。
「無知のヴェール」に包まれた個人とは、自分自身の立場や資産などについて知ることがない状態のことです。この「無知のヴェール」に包まれていれば、自分の利益は何かを判断することができないため、誰もが平等な利益配分を行うと考えました。


5.誤答 
「さまざまな生き方」を選べる基本的なケイパビリティを平等に配分することが、正義であると論じたのはアマルティア・センです。

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