社会福祉士の過去問
第32回(令和元年度)
心理学理論と心理的支援 問13
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問題
社会福祉士試験 第32回(令和元年度) 心理学理論と心理的支援 問13 (訂正依頼・報告はこちら)
ストレス反応の1つであるバーンアウトの症状に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 理解と発話の両面での失語症状が生じる。
- 人を人と思わなくなる気持ちが生じる。
- 近時記憶の著しい低下が生じる。
- 視覚的な幻覚が頻繁に生じる。
- 他者との関係を強めようとする傾向が生じる。
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この過去問の解説 (4件)
01
バーンアウトとは、燃え尽き症候群のこと。
今まで仕事などひとつの物事に没頭してきた人が、心身の疲労などから急に意欲を失ってしまう状態です。
バーンアウトでは、うつ状態ややる気の低下、感情の枯渇や他者への思いやりの喪失などが現れます。
その他の選択肢の解説は以下のとおりです。
1→大脳の言語中枢の損傷によって現れる失語症。
バーンアウトでは理解・発話両面での失語症状は見られません。
3→認知症で見られる症状のひとつです。
「同じ質問を10分後に再びする」「昨日の夕食が思い出せない」など、数分~数日前の近時記憶を、新しい刺激(情報)を受けてまで覚え続けていられなくなります。
4→視覚的な幻覚は、おもに統合失調症などで現れます。
5→バーンアウトではむしろ、他者への興味が衰退し対人関係が希薄になる傾向があります。
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02
バーンアウト(燃え尽き症候群)とは、精神科医のフロイデンバーガーが提唱した概念です。
それまで意欲的にひとつの物事に没頭していた人が、心身の極度の疲労により燃え尽きたように意欲を失い、社会に適応できなくなってしまう状態です。
うつ病の一種とも考えられていて、意欲の減退・出勤困難・アルコールの量が増える・イライラが募るなどの症状がみられ、仕事が手につかなくなったり対人関係を避けるようになります。悪化すると人生に悲観的になり、家庭生活の崩壊や最悪の場合には自殺や過労死に至ることもあります。
1.誤答
バーンアウト症候群では、理解力の低下や発話が少なくなるなどのうつ状態がみられますが、失語症状が生じることはありません。
失語症の主な原因は脳血管性障害など脳の機能障害に伴うもので、ウェルニッケ失語やブローカ失語などがあります。
2.正答
バーンアウトでは、人を人と思わなくなる「脱人格化」が現れます。
これは、フロイデンバーガーの概念をクリスティーナ・マスラーク(社会心理学者)が重症度を判定する「MBI: Maslach Burnout Inventory」に定義されています。
バーンアウトは以下の3つの喪失によって現れるとされています。
・情緒的に力を出し尽くし消耗している状態「情緒的消耗感」
・人を人と思わなくなる「脱人格化」
・対人支援の仕事に係る達成感や有能感「個人的達成感の低下」
3.誤答
バーンアウトでは、近時記憶の著しい低下は生じません。
近時記憶とは、明確な定義はありませんが、数分から数日保持している記憶を指します。近時記憶の著しい低下がみられるのはアルツハイマー型認知症です。
4.誤答
バーンアウトでは、視覚的な幻覚が頻繁に生じることはありません。幻視が頻繁に生じるのはレビー小体型認知症です。
5.誤答
バーンアウトでは、他者との関係を強めようとする傾向ではなく、他者との関係を弱めようとする傾向が生じます。
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03
「情緒的消耗感」 、 「個人的達成感の低下」 、「脱人格化」の3つがあります。
本問題は「脱人格化」が、最大の解くポイントになります。
1× 選択肢のような失語症状は高度機能障害にあたり、
バーンアウト症状ではありません。
2○ 正しいです。
バーンアウト症状の一つ「脱人格化」の説明です。
3× 近時記憶の著しい低下は含まれていません。
4× 幻覚はバーンアウト症状に含まれていません。
5× 説明が逆です。
脱人格において、他者との関係を「弱めよう」とします。
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04
バーンアウト(燃え尽き症候群)はフロイデンバーガーが提唱しています。
主な症状は「情緒的消耗感」「個人的達成感の低下」「脱人格化」といわれており、仕事への無気力感や心身の極度な疲労などがあらわれます。
選択肢の内容は「脱人格化」の説明です。
バーンアウトは対人援助職にも多く見られるため、注意が必要です。
その他の選択肢については、以下の通りです。
1.失語症は脳卒中などの後遺症で多く見られるものです。
バーンアウトの症状には当てはまりません。
3.近時記憶(数分~数日前の記憶)の低下は、アルツハイマー型認知症に多く見られる症状です。
4.幻覚は、主に統合失調症で見られる症状です。
5.バーンアウトでは、選択肢の説明とは逆に、他者との関係を遠ざけようとする傾向があります。
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