社会福祉士の過去問
第32回(令和元年度)
社会理論と社会システム 問20
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問題
社会福祉士試験 第32回(令和元年度) 社会理論と社会システム 問20 (訂正依頼・報告はこちら)
次のうち、「囚人のジレンマ」に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 合理的な仕組みに対して過剰な執着を持つ状況を指す。
- 一定期間、閉鎖的・画一的に管理された場所で生活する状況を指す。
- 協力し合うことが互いの利益になるにもかかわらず、非協力への個人的誘因が存在する状況を指す。
- 二つの矛盾した命令を受けているため、そのいずれも選択することができない状況を指す。
- 非協力的行動を行うと罰を受け、協力的行動を行うと報酬を得ることで、協力的行動が促される状況を指す。
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この過去問の解説 (4件)
01
ゲーム理論のひとつとして知られる、囚人のジレンマ。
お互いに協力したほうが良い結果を生むとわかっていても、協力しない者が利益を得る状況だと互いに力を合わせなくなってしまうジレンマを指します。
その他の選択肢の解説は以下のとおりです。
1→規則などを遵守するあまり、目的を見失ったり臨機応変な対応ができなくなったりする「官僚制の逆機能」の説明です。
2→「全制的施設」の説明です。
例えば刑務所や精神病棟、修道院など、類似の境遇にある人々が外部から遮断され、閉鎖的・画一的に管理された場所で生活する状況を指します。
4→「ダブルバインド」の説明です。
例えば母親が子どもに「こっちにおいで」と呼びかけておきながら、いざ近寄ると「あっちへ行け」と突き飛ばしてしまうような状況を指します。
家庭でのコミュニケーションがダブルバインド的だと、その状況下におかれた者は統合失調症に似た症状を示すと言われています。
5→非協力的な行動には罰を与え、協力的行動に報酬を与えることで協力的行動を促そうとする「サンクションシステム」の説明です。
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02
社会的ジレンマのうちのひとつである「囚人のジレンマ」とは、2人の共犯した囚人に例えることができます。
共犯した囚人が収監された際、お互いが協力して黙秘すると2人の懲役は共に数年で済みますが、片方の囚人が自白すれば、自白した方の囚人は黙秘したときよりも短い刑期で済みます。その代わり、もう一人の囚人の刑期は黙秘した場合よりも長くなるのです。
このように、協力すればいい結果を生むと分かっている状況でも、協力しなかった場合の誘因によって、どの選択をとるにもジレンマが発生することを「囚人のジレンマ」といいます。
各選択肢については、以下の通りです。
1.これはマートンが提唱した「官僚制の逆機能」の説明です。
選択肢にあるように合理的な制度(官僚制)へ過剰な執着を持つと、臨機応変な対処ができなくなることを指摘したものです。
2.ゴフマンが提唱した「全制施設」の説明です。
ゴフマンといえば、「スティグマ」の概念を提唱した人物で知られていますので、併せて覚えましょう。
4.これは「ダブルバインド」の説明です。
ダブルバインドを繰り返し受けると、メンタルヘルスに影響を与えるともいわれています。
5.これはオルソンが提唱した「選択的誘因」の説明です。
選択的誘因では、行為者の価値観ではなく、合理的判断に訴えかけていきます。
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03
「囚人のジレンマ」は非常に関連しています。
理論を日常の出来事と置き換えてみることも、
現代社会を知る上でとても役立ちます。
1× マートンの「官僚制の逆機能」についての説明です。
2× ゴッフマンの「全制施設」の説明になります。
3○ 正しいです。
「互いに協力する」もしくは「協力相手を裏切ること」
で得られるメリットが共に存在する中で、
自分にとってどれが良い選択が分からない状況のことを指します。
関連用語に「社会的ジレンマ」というのもありますので、
一緒におさえておくといいでしょう。
4× グレゴリー・ベイトソンによる「ダブルバインド」の内容になります。
5× オルソンの「選択的誘因」の説明です。
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04
「囚人のジレンマ」とは、社会的ジレンマの代表的な例です。お互い協力する方が協力しないよりもよい結果になることが分かっていても、協力しない者が利益を得る状況では互いに協力しなくなる、ということです。
1.誤答
合理的な仕組みに対して過剰な執着をもつ状況は社会学者マートンによって提唱された「官僚制の逆機能」です。
「官僚制の逆機能」とは、本来、目標を達成するための手段であったはずの官僚制が、いつの間にか「官僚制を維持する」ことが目的になってしまい、さまざまな予期せぬマイナスの効果を招くということを指します。
2.誤答
一定期間、閉鎖的、画一的に管理された場所で生活する状況は、ゴッフマンが定義した「全制施設」です。
「全制的施設」は、多数の類似の境遇にある個々人が、一緒に相当期間にわたって包括社会から、遮断されて、閉鎖的で形式的に管理された日常生活を送る居住と仕事の場所を指します(刑務所・修道院など)。
3.正答
この説明は、囚人のジレンマの説明です。
4.誤答
二つの矛盾した命令を受けているため、そのいずれも選択することができない状況は、ベイトソンの「ダブルバインド」です。
ダブルバインド(二重拘束)とは、二つの矛盾した命令をうけているため、身動きが取れず、相手の精神にストレスがかかるコミュニケーションの状態です。
5.誤答
非協力的行動を行うと罰を受け、協力的行動を行うと報酬を得ることで、協力的行動が促される状況をは、社会システム論のパーソンズの「社会統制」です。
「社会統制」とは、社会的に好ましい行動(協力的行動)には報酬を、好ましくない行動(非協力的行動)には罰を与えることで好ましい行動が促されるという社会システムです。
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