社会福祉士の過去問
第32回(令和元年度)
社会理論と社会システム 問21

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問題

社会福祉士試験 第32回(令和元年度) 社会理論と社会システム 問21 (訂正依頼・報告はこちら)

社会問題は、ある状態を解決されるべき問題とみなす人々のクレイム申立てとそれに対する反応を通じて作り出されるという捉え方がある。このことを示す用語として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 社会統制論
  • 緊張理論
  • 文化学習理論
  • 構築主義
  • ラベリング論

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は『4』です。

構築主義とは、現実や事実は個々の頭の中で作られるものではなく、人々の認識によってその都度生み出されるとする考え方のこと。
つまり社会問題に実体があるわけではなく、「それは問題だ」と人々がクレイムを申し立てることで社会問題が構築されるとする考え方です。
例として、好きな人を付けまわす行為を「純愛」として人々が認識していれば問題はありませんが、クレイム申し立てによって「変質者がいる」「ストーカーだ」と人々に認識されれば、社会問題として成り立ってしまいます。


その他の選択肢の解説は以下のとおりです。

1→アメリカの社会学者、E.A.ロスによって創始された社会統制論。
人々が秩序を維持するために個人の行動を規制する『社会統制』のもとに、社会的メカニズムを研究しました。

2→アメリカの社会学者、マートンが唱えた緊張理論。
逸脱行動は、自身の内にあるフラストレーションや緊張、葛藤などを解決しようとする努力が、社会のルールに反する結果となってしまったのだと考える理論です。

3→文化学習理論とは、逸脱行動は社会的に当たり前だと考えられている文化と異なる下位文化の学習を通じて生まれるとする理論です。

5→ラベリング理論は、シカゴ学派のハワード・ベッカーらによって提唱されました。
逸脱行動は当人の性格や資質ではなく、周囲からのレッテルによって生み出されるとした理論です。

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02

正解は4です。

過去問にも登場しない難しい単語が問題文に入っているため、かみ砕いて考えましょう。

まず問題文にある「クレイム」とは「問題」のこと。すなわち「クレイム申し立て」とは、「問題提起」のことだと考えると分かりやすいでしょう。

構築主義とは、クレイム申し立てによって、社会問題が構築されていくという考え方です。

この設問は難題ですので、国家試験の際はこのような難問に惑わされずに、確実に正答できる問題をこなしていくことも大切です。

各選択肢については、以下の通りです。

1.社会統制論とは、社会的秩序を維持するために人々の行動を一定程度統制するという力(社会統制)が弱まると、犯罪などが増えるという考え方です。

2.緊張理論とは「文化的目標」と「制度的手段」の間に乖離があると、アノミー状態(無規制状態)となり、それが犯罪行為に繋がるという考え方です。

3.文化学習理論とは、犯罪などの逸脱行為はいわゆる犯罪集団などの中に入り学習をしていくことで発生するという考え方です。

5.ラベリング論とは、逸脱行為の発生は、周囲から「逸脱者(アウトサイダー)」というラベルを貼られることからなるという考え方です。

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03

説明文から理論を選択する、推測では解くことが難しい問題です。
選択肢も犯罪や逸脱などの関係する理論でまとめられています。

1× 社会の秩序を保つために、規範を作り、
賞罰をコントロールして社会統制を行いますが、
その社会統制が弱まると逸脱行為が生じると考えます。

2× 緊張理論はマートンのアノミー論で述べられたものです。
逸脱行為は「文化的目標」と「制度的手段」のギャップによって、
人々にフラストレーションが発生することにあると捉えています。

3× 文化学習理論はサザーランドが代表的な理論です。
犯罪や非行などの社会問題は下位集団文化によって学習され、
人を介して継承されていく特徴がみられます。

4○ 構築主義はスペクターやキツセが代表的な
ラベリング論から派生した理論です。
ある問題を言語化(クレイム)し、それを人々が認識することで
社会問題として捉えられる立場を取ります。

5× 犯罪や逸脱が起きるのは、周囲の人々などが「あいつは不良だ」など
レッテルを貼ることで、生み出されるという立場を取るのが
「ラベリング論」です。
これはアメリカの社会学者ゴッフマンが提唱した「スティグマ」とともに
1960年代に議論されていました。

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04

正答【4】

1.誤答
社会統制論は、社会が秩序を維持、存続を図るために人間の行動(思考や感情・行動など)を規制する社会的メカニズム(社会統制)の弱体化が犯罪や非行などの逸脱行動を生むという考え型です。


2.誤答 
緊張理論は、文化的構造や社会構造の目標や達成するための制度的手段との間にギャップが存在する場合にアノミーが生じるという理論です。
アノミーとは、社会の規範が弛緩・崩壊することなどにって、無規範状態や無規則状態を示す言葉で、フランスの社会学者エミール・デュルケームが社会学的概念として用いています。


3.誤答 
文化学習理論とは、犯罪や非行などの逸脱行動は,社会のスタンダードな文化とことなる下位文化の学習を通じて発生するという考えです。
文化学習理論の代表的なものは、「犯罪は人の影響を受け、学習される」ち主張したサザーランド「分化的接触理論」があります。


4.正答 
社会問題の構築主義とは、現実に存在していると考えられる対象や現象は、客観的もしくは物理的に存在しているのではなく、人々の認識であるラベリングや何らかの想定された状態についてクレイムを申し立てる個人やグループの活動によって社会構築されるという理論です。


5.誤答
ラベリング論とは、逸脱理論として適用される場合もあり、逸脱行為(犯罪・非行など)の発生はその人物の行為ゆえというよりも、周囲から貼られる特定のレッテルによって決められるという考えです。

ラベルが貼られると、その人はそのラベリングのもとにアイデンティティと行動パターンを形成するようになるという理論です。逸脱者というラベルを貼られると本格的に逸脱者になっていくということです。

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