社会福祉士の過去問
第32回(令和元年度)
地域福祉の理論と方法 問34

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問題

社会福祉士試験 第32回(令和元年度) 地域福祉の理論と方法 問34 (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、B福祉活動専門員がC民生委員に提案することとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕
社会福祉協議会のB福祉活動専門員に、C民生委員から、担当地域で80代の父親と、ひきこもりがちと思われる50代の息子が暮らす世帯があるが、どのように関わってよいか分からないという相談があった。雨戸が閉まっていることが多く、息子は就労しているかどうか分からない状態であり、訪問した際には息子から、「困っていることはない」というドア越しの応対のみで、父親にも会うことができなかったという。
  • 親子どちらも支援を求めていないため、C民生委員は世帯への関わりを控える。
  • 世帯の状況を把握するために、C民生委員と一緒に自宅を訪問する。
  • C民生委員は父親の問題に焦点を当て、息子には関わらない。
  • C民生委員が中心となって、ひきこもりの人とその家族の集いの場を設ける。
  • 複合的な課題を抱えた世帯の問題は、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援事業の窓口に対応を任せる。

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この過去問の解説 (4件)

01

正答【2】

この事例は「80」代の親が「50」代の子どもの生活を支えるという「8050問題」です。
「8050問題」の背景には子供の「ひきこもりがあり、高齢になった親が生活を支えているという状況です。長期高齢化が進む中でこのような問題は親子が社会的に孤立して生活が困難になるケースが多くなります。
しかし、「8050問題」では、親や子供から相談されることが少なくなかなか支援につながらないのが問題となっています。


1.誤答 
C民生委員は世帯へのかかわりを控えるのではなく、定期的に声掛けをするなどのアプローチが必要となります。
息子は支援を求めていなくても、父親との面会ができていないため支援の必要があるかどうかの状況を把握できていません。この事例のように「8050問題」は親や子供から相談を受けることが少なくなかなか支援につながらないという問題があります。そのため、C民生委員は、時間をかけながらかかわりを継続していくことが必要です。


2.正答 
この事例では、B福祉活動専門員がC民生委員と一緒に自宅を訪問するのが適切です。
C民生委員が訪問した際に「困りごとがない」と対応され、世帯の状況が把握できていないこと、C民生委員が世帯に対するかかわり方がわからないと言っていることから、世帯の実態を把握することにつなげることとC民生委員へのかかわりのサポートをすることができるので正答です。


3.誤答 
父親80代、息子50代という「8050問題」では、父親の介護等の問題や息子のひきこもり問題、父親が亡くなった後の生活など息子の問題にも焦点を当てる必要があり、双方の問題に対するかかわりが必要になります。


4.誤答 
現段階では、父親の面会もできておらず双方の状況を把握できていない時期であるため、ひきこもりの人と家族の集いの場を設ける今後必要になるかもしれませんが、今の状況では適切な支援ではありません。


5.誤答 
事例の世帯問題は、まだ生活困窮世帯かどうかの確認ができていません。そのため自立相談支援事業の窓口に対応を任せるのは適切ではありません。基本的には複合的な課題を抱えた世帯の問題は、包括的相談支援体制が必要となります。

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02

高齢父子の事例ですが、民生委員の基本的な役割を把握できていれば
分かる事例です。

1× 民生委員の役割には高齢者世帯の状況把握が含まれます。
事例では80代の父親には会えていませんので、
世帯への関わりを控えるのではなく、父親に会い、
話を聞くことを優先にするべきです。

2○ 正しいです。
民生委員は関わり方に困っており、父子の状況把握が不十分なことから、
一緒に訪問するのが適切です。

3× 父親と暮らす息子はひきごもりがちということなので、
関わる必要はあると思われます。

4× 「どのように関わってよいか分からない」
というC民生委員に集いの場を設けるよう提案するのは、
非常に負担がかかることです。
父子家族だけでなく、担当する民生委員にも
負荷のかからないような配慮も大切です。

5× 生活困窮者とは分かっていない段階で、
その自立支援の窓口につなげるのは不適切です。
まずは家族のアセスメントを取り、状況把握してから、
対応する機関につなげる必要があります。

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03

正解は2です。

C民生委員と一緒に家庭訪問をすることで、状況把握を行いその後の支援方針を考える必要があります。

この設問は一般的な視点で考えると消去法で答えを導き出すことができますので、確実に正答したい問題です。

その他の選択肢については、以下の通りです。

1.現在会えているのは息子のみであり、親子が支援を求めていないのかすら不明です。
この段階で関わりを控えることは隠れている重大なニーズに気づけない可能性もあるため、不適切です。

3.この世帯は2人暮らしであること、息子の就労状況が不明であること等から、父と息子双方に支援する必要があります。

4.まだ家庭状況も不明な段階で、ひきこもりの集いの場を設けることは時期尚早です。

5.世帯の状況が不明な段階で、他機関に対応を任せるのは不適切です。
まず家庭訪問等を重ね世帯状況を把握し、アセスメントし支援方針を考えていくことが先決です。

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04

正解は『2』です。
市町村の社会福祉協議会に籍を置く福祉活動専門員は、地域が抱える課題を把握し、周囲と連携しながら子育て支援や障害者支援、高齢者の支援などを行ないます。
世帯の現状を把握するためにも、今回C民生委員について自宅を訪問することは適切だと言えます。


その他の選択肢の解説は以下のとおりです。

1→担当区域の世帯状況の把握は、民生委員の大切な役割です。
家庭訪問などによる情報収集を行ない、必要に応じて福祉・サービスなどの情報提供や相談対応をすることが求められます。

3→現状として就労状況のつかめない息子の存在がわかっており、父親のみに焦点を当てることは適切ではありません。
また、正確な状況把握は、家庭内暴力などの早期発見にもつながります。

4→C民生委員がいきなり集いの場を設けるのは適切とは言えません。

5→複合的な課題を抱えた世帯の問題には、民生委員やコーディネーターなどによる状況把握や見守りが欠かせず、自立相談支援事業の窓口に対応を丸投げすることは適切ではありません。

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