社会福祉士の過去問
第32回(令和元年度)
地域福祉の理論と方法 問39
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問題
社会福祉士試験 第32回(令和元年度) 地域福祉の理論と方法 問39 (訂正依頼・報告はこちら)
地域福祉推進のための財源に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 厚生労働省の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」報告書(2008年(平成20年))では、住民の地域福祉活動の資金は原則として公的財源によるとされている。
- 厚生労働省の「地域力強化検討会最終とりまとめ」(2017年(平成29年))では、地域の課題を地域で解決していく財源として、クラウドファンディングやSIB(Social Impact Bond)等を取り入れていくことも有効であるとされている。
- 社会福祉法の改正(2016年(平成28年))では、社会福祉法人は、収入の一定割合を地域における公益的な取組の実施に充てなければならないとされた。
- 「平成29年度特定非営利活動法人に関する実態調査」(内閣府)によれば、NPO法人の収入は、「会費」、「寄附金」が大半を占めている。
- 共同募金実績額の推移をみると、年間の募金総額(一般募金と歳末助けあい募金の合計)は、1995年(平成7年)から2017年(平成29年)までの約20年間、一貫して増加している。
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この過去問の解説 (4件)
01
「地域力強化検討会最終とりまとめ」では地域づくり推進のための財源について、各分野の補助金等の柔軟な活用に加え、共同募金によるテーマ型募金や市町村共同募金委員会の活用、クラウドファンディングやSIB、ふるさと納税などの取組を取り入れていくことも有効だとしています。
その他の選択肢の解説は以下のとおりです。
1→「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」報告書によると、住民の地域福祉活動の資金は、住民自ら負担するか自ら集めることが原則だとしています。
3→2016年の社会福祉法の改正では、あらゆる法人が創意工夫を凝らした「地域における公益的な取組」を推進することで、既存の制度では抜け落ちてしまう福祉ニーズにも対応する必要があるとしています。
4→「平成29年度特定非営利活動法人に関する実態調査」によると、NPO法人の収入は「事業収益」が大半を占めています。
5→共同募金実績額の推移をみると、年間の募金総額は、1998年(平成10年)以降減少し続けています。
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02
1.誤答
厚生労働省の「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」報告書(2008年(平成20年))では、住民の地域福祉活動の資金は、住民同士の支え合いであることから、その資金は「住民自ら負担するか、自ら集めることが原則」である、と明記されています。
そのため、活動資金は公的財源によるものでありません。
2.正答
厚生労働省の「地域力強化検討会最終とりまとめ」(2017年(平成29年))では、地域の課題を地域で解決していく財源として以下のことが有効であると明記されています。
・地域づくりに資する事業を一体的に実施するなど各分野の補助金等を柔軟に活用していく
・共同募金によるテーマ型募金
・市町村共同募金委員会を活用、推進
・クラウドファンディングやSIB、ふるさと納税、社会福祉法人による地域における公益的な取組
などが有効とされています。
また、企業の社会貢献活動等と協働し、財源等を必要としている主体と資源を保有する、企業等とのマッチングも必要とされています。
3.誤答
社会福祉法改正(2016年(平成28年))では、社会福祉法人の地域における公益的な取り組むを行う責務について以下のことが新設されています。
「日常生活・社会生活上の支援を必要とするものに対して無料又は低額の料金により福祉サービスを提供すること」を社会福祉法人の責務として位置づけられています。
しかし、収入の一定割合を地域における公益的な取組の実施に充てなければならないとはされていません。
4.誤答
「平成29年度特定非営利活動法人に関する実態調査」(内閣府)では、NPO法人の収益の内訳は、「事業収益(77%)」が大半を占めています。
そのほか、「補助金/助成金(10.9%)」「寄付金(8.0%)」「会費(2.8%)」「その他収益(1.3%)」となっています。
5.誤答
1995年(平成7年)から2017年(平成29年)までの約20年間の年間募金総額は、一貫して減少しています。募金方法別によるとイベント募金は増加していますが、それ以外は減少しています。
共同募金 募金方法別実績額・指数の推移
https://www.akaihane.or.jp/wp/wp-content/uploads/3-rekinen.pdf
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03
1× 公的財源ではなく、「住民らが負担、集金を行うこと」が原則です。
2○ 正しいです。
クラウドファンディングはインターネット上で
不特定多数から集金を募るシステムです。
一方、SIBは行政が民間に委託する時に、その成果によって、
支払う報酬額を変える仕組みであり、資金調達に民間を活用しているのも
特徴です。
3× 社会福祉法人は収入の一定割合を地域の公益的事業に還元することは
求められていません。
ちなみに、2016年の社会福祉法改正は本年度の「現代社会と福祉」
(本サイトでは第47717問)でも同じ内容が出題されています。
4× NPO法人の収入は「会費」、「寄附金」ではなく、
正しくは「事業収益」が大半です。
5× 逆です。約20年間、一貫して減少しています。
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04
地域づくり推進のための財源について、共同募金によるテーマ型募金や市町村共同募金委員会の活用や推進、クラウドファンディングやSIB、ふるさと納税などを取り入れていくことが有効だと明記されています。
その他の選択肢については、以下の通りです。
1.「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」では、これからの地域福祉のあり方は地域住民が相互で支え合っていくことが大切であるとされています。
そこで、住民の地域福祉活動の資金は住民自ら負担するか、自ら集めることが原則であると明記されています。
3.選択肢の内容は、社会福祉法改正の内容にはありません。
2016年の社会福祉法の一部改正によって、社会福祉法人の経営組織のガバナンス強化など、社会福祉法人に対するさらなる透明性を図る内容が盛り込まれました。
そこで社会福祉法人について、「地域における公益的な取組を実施する責務」の項目が加わり、そこには「社会福祉事業及び公益事業を行うにあたって、無料又は低額な料金で福祉サービスを提供すること」が責務として規定されました。
4.「平成29年度特定非営利活動法人に関する実態調査」の中で、NPO法人の収入の大半が「事業収益」であると明記されています。
5.選択肢の内容は、増加ではなく「一貫して減少」が正解です。
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