社会福祉士の過去問
第33回(令和2年度)
現代社会と福祉 問24
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問題
社会福祉士試験 第33回(令和2年度) 現代社会と福祉 問24 (訂正依頼・報告はこちら)
「人間開発報告書2019(概要版)」(国連開発計画( UNDP ))の内容に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)「人間開発指数ランクごとのグループ」とは、世界の国・地域を人間開発指数の高い方から、最高位( Very high )、高位( High )、中位( Medium )、低位( Low )の4グループに分類したもののことである。
(注)「人間開発指数ランクごとのグループ」とは、世界の国・地域を人間開発指数の高い方から、最高位( Very high )、高位( High )、中位( Medium )、低位( Low )の4グループに分類したもののことである。
- 「持続可能な開発目標」( SDGs )中の「2030年までに極度の貧困を全世界で根絶する」という目標を達成する目途が立っている。
- 「人間開発指数ランクごとのグループ」をみると、2005年から2015年にかけての平均寿命の年数の延びは、最高位グループよりも低位グループの方が大きい。
- 人間開発の各側面のうち、健康の格差は、所得や教育の格差と異なり、世代間で継承されることは少ない。
- 各国・地域の人間開発の格差を評価するには、一人当たり国民総所得( GNI )を比較することが最も適切である。
- 人間開発の格差を是正するには、市場の公平性と効率を高めることが有効であり、そのために各国・地域は減税・歳出削減と規制緩和を実施する必要がある。
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この過去問の解説 (4件)
01
この問題では「人間開発報告書2019(概要版)」の詳細を問われています。
✕ SDGsはユニセフ協会が提唱している持続可能な世界への第1歩を踏む為の活動を指します。
〇 問題文の通り、2005年から2015年にかけての平均寿命の年数の延びは、最高位グループが2.4、低位グループが5.9である為大きいとされています。
✕ 健康格差は所得や教育の格差と同様に世代間で継承されることが多いとされています。
✕ 各国・地域の人間開発の格差を評価するには人間開発指標(IHDI)を比較する事が適切としています。
✕ 人間開発の格差を是正するには、その国々の社会や経済、政治構造に根差した要因を考慮し、この諸要因から生まれる格差を解消する為の取り組みが必要だとしています。
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02
正解は「「人間開発指数ランクごとのグループ」をみると、2005年から2015年にかけての平均寿命の年数の延びは、最高位グループよりも低位グループの方が大きい。」です。
各選択肢については以下のとおりです。
世界の貧困状況は改善されてきてはいますが、サハラ以南のアフリカ地域の人口増加に伴い、この地域の極度の貧困(1日1.90米ドル以下の暮らし)の人の数も急激に増加しており、現在、世界の極度に貧しい人の半分がサハラ以南のアフリカ地域に暮らしています。「2030年までに貧困を根絶する」という目標の目途は立っていません。
乳児死亡率の減少などにより平均寿命の年数の延びが大きくなっています。
健康の格差は、例えば低所得家庭で育った子どもは、健康や肉体機能発達が劣りやすく、世代を越えて続く傾向があります。
各国・地域の人間開発の格差を評価するには、人間開発指数(HDI)という、健康長寿、知識へのアクセス、人間らしい生活水準という、人間開発の3つの基礎次元における長期的な前進を評価する総合指数を元に比較することが適切です。
教育と技術、気候変動を中心に、「新世代型の格差」が広がっており、人間開発の格差是正の為には、「新世代型の格差」に着目して対策を講じる必要があるとされています。
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03
解説は以下のとおりです。
不適切です。2030年までに極度の貧困を全世界で根絶するという目標が立てられていますが、それを達成する目途はまだ立っていません。
適切な内容です。最高位グループは2.4年、低位グループは5.9年延びており、高位グループになるほど年数の延びは減少しています。
不適切です。健康は十分な医療を受けたり、病気を予防するための知識や資金を親世代以前から持ち合わせていなければ、保つ事が難しいものです。そのため健康の格差は世代間で継承される事が多い事項であると言えます。
不適切です。各国・地域の人間開発の格差を評価するためには、経済格差以外に健康や教育、尊厳など、人間開発の主要要素に関する格差が存在しているため、それらの要素を比較する事が大切と述べられています。
不適切です。人間開発の格差を是正するためには、各国や地域に存在する所得格差や教育格差、集団間など様々な格差を解消する事が必要であると述べられています。
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04
正解は「「人間開発指数ランクごとのグループ」をみると、2005年から2015年にかけての平均寿命の年数の延びは、最高位グループよりも低位グループの方が大きい。」です。
×
世界銀行のデータによると、世界の貧困率は、1990年に36%だったものが2015年には10%まで減少し、大幅な進歩が見られています。
しかし、2017年では9%ほどと、緩やな減少となっており、「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標の1つである「2030年までに極度の貧困を全世界で根絶する」という目標達成のためには、何らかの対応を要する状況下にあり、目標達成の目処がたっているとは言い難い状況だと考えられます。
○
「人間開発指数ランクごとのグループ」をみると、2005年から2015年にかけての平均寿命の年数の延びは、下記のとおり、最高位グループよりも低位グループの方が大きいことがわかります。
低位グループ:5.9年
中位グループ:4.9年
高位グループ:2.7年
最高位グループ:2.4年
×
人間開発の各側面のうち、健康の格差についても、所得や教育の格差同様、世代間で継承される場合が多いといわれています。
×
各国・地域の人間開発の格差を評価するものとして、人間開発指数(HDI)の使用が適切であると考えられます。
HDIは、経済成長だけの評価ではなく、保健、教育、所得という人間開発の3つの側面に関して評価しているためです。
×
人間開発の格差是正では、市場での公平性と効率を共に高め、所得向上が多くの人々に行き渡るようにするだけでなく、基本的能力の格差縮小を加速させながら拡張的能力の格差拡大を反転させ、水平的な格差を解消することも大切です。
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