社会福祉士の過去問
第33回(令和2年度)
地域福祉の理論と方法 問32

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問題

社会福祉士試験 第33回(令和2年度) 地域福祉の理論と方法 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、U障害者支援施設のA相談員(社会福祉士)が立てた、利用者の地域移行に向けたプランに関する次の記述のうち、地域福祉の理念・原則に基づき、最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事例〕
重度の知的障害があるBさん( 40歳、女性)は、特別支援学校高等部を卒業後、実家から遠く離れたU障害者支援施設に入所して生活を続けてきた。
Bさんは言葉でのコミュニケーションは困難であるが、地域で近隣の住民がボランティアとして主催する音楽活動に時折参加した際には、明るい表情で音楽を聴く様子が見られた。
Bさんには兄弟姉妹がなく、両親は既に亡くなっている。

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この過去問の解説 (4件)

01

この問題は利用者の地域移行に向けたプランに関する事例問題です。事例問題では利用者(問題を抱える側)がより良い方向に向かうようケースワーカー(問題を解決する側)が調整する事が正答へのカギとなります。時間をかけて問題をよく読むと良いでしょう。

*本問題文の場合、Bさんは音楽を楽しそうに聞いている事と音楽活動が地域のボランティア活動である事を考慮すると分かりやすいです。

1→✕ Bさんは言葉でのコミュニケーションは困難である為、相談員側からBさんの意向を汲み取るようコミュニケーションを図る事が必要です。

2→〇 問題文の通り、音楽が好きなBさんが地域交流を目的としてグループホームへ地域移行する事は適切であると言えます。

3→✕ Bさんは音楽が好きであり、一般就労を希望していない為不適切となります。

4→✕ Bさんは両親がすでに亡くなっており、実家近くの障害者支援施設へ入所する希望はないので誤答となります。

5→✕ 地域移行後のBさんの支援はあくまでも地域住民全体で行うものであり、全面的に住民ボランティアに委ねるものではない為誤答となります。

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02

1、不適切です。Bさんは言葉でのコミュニケーションが困難であり、自身の希望を自ら伝える事が難しい可能性が高いと考えられます。Bさんから希望が出るのを待つのではなく、自己決定が出来るようA相談員が働きかける事が求められます。

2、Bさんは特別支援学校高等部を卒業した後、U障害者支援施設に長く入所しているため、その地域の生活に慣れていると言えます。また、近隣住民が主催する音楽活動への参加もできており、その活動を気に入っている様子も見受けられます。住み慣れた環境で生活し続けるために、U障害者支援施設近くの共同生活援助に移る事は適切な支援内容であると考えられます。

3、不適切です。本事例において、Bさんが一般就労をしたいという希望を読み取れる文章はありません。

4、BさんはU障害者支援施設での生活が長く、そこでの生活に慣れています。また、両親は既に亡くなっており、兄弟もいない事から実家近くに転居すれば現在関係が出来ている近隣住民の方との関係も途切れてしまうため孤立してしまう可能性も高まります。Bさん自身も実家近くに転居したいという意向が本事例から読み取る事ができませんので、適切な支援内容とは言えません。

5、地域住民と協働してBさんの生活を支えていく事は大切ですが、地域住民に丸投げしてしまう事は支援者として適切な対応とは言えません。地域全体でBさんが希望する生活の姿に少しでも近づけるよう支援体制を築く事が必要と考えられます。

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03

正解は2です。

地域移行を目的としたプランとして、グループホームでの生活や、地域住民との音楽を通した交流の場への参加プランは適切です。

各選択肢については以下のとおりです。

1→自己決定も大切ではありますが、相談員から提案し、本人の意向を聞くのも方法の一つです。

3→事例内容から、Bさんの一般就労への希望は見られないため適切ではありません。

4→実家近くの障害者支援施設への入所は、地域移行を目的としたプランとして適切ではありません。

5→Bさんの支援を住民ボランティアだけに委ねると、安定した支援提供が難しいと考えられるため、他のサービスも併せて検討する必要があります。

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04

正解は2です。

1 ×

「言葉でのコミュニケーションは困難」とのことから、Bさん自身から地域移行の希望が出てくるのを待つことよりも、Bさんの意向を引き出し、汲み取ることが必要となってくると考えられます。

2 ○

Bさんが地域住民のボランティアによる音楽活動に参加した際、明るい表情で音楽を聴く様子が見られています。

また、Bさんは、特別支援学校高等部を卒業後、U障害者支援施設で生活しており、施設のそばの共同生活援助(グループホーム)に移行し、地域での活動に参加するプランは適切であると考えられます。

3 ×

Bさんの一般就労に対する希望についての記載はなく、一般就労の後に地域移行を目指すプランは適切ではないと考えられます。

4 ×

Bさんは、特別支援学校高等部を卒業後、U障害者支援施設で生活しています。

Bさんにとっては、両親のいないBさんの実家近くよりも、U障害者支援施設の近くの方が身近な地域であると考えられます。

また、Bさんが希望しているとの記載もなく、実家近くの障害者支援施設へ入所するプランは適切ではないと考えられます。

5 ×

地域移行後のBさんの支援は、全面的に住民ボランティアに依存するのではなく、行政や専門家なども含めた地域全体での支援を得られるようなプランが望ましいと考えられます。

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