社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
心理学理論と心理的支援 問7

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 心理学理論と心理的支援 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

心理療法に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • ブリーフセラピーは、クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。
  • 社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。
  • 来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。
  • 精神分析療法は、学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。
  • 森田療法は、クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。

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この過去問の解説 (6件)

01

心理療法のそれぞれの理論について正確に記憶しておきましょう。本設問以外にも認知行動療法が知られています。

選択肢1. ブリーフセラピーは、クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。

ブリーフセラピーでは短期で心理的問題の改善を目的にします。クライエントの過去に焦点は当てず、過去よりもむしろ未来を志向していきます。

選択肢2. 社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。

社会生活技能訓練(SST)は、学習理論のモデリングを応用したもので、ロールプレイなどの技法により対人関係で必要なスキルの習得を目指します。

選択肢3. 来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。

来談者中心療法の基本的態度は、「共感的理解」「無条件的肯定的関心」「自己一致」でクライエントに指示を与えることはしません。

選択肢4. 精神分析療法は、学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。

学習理論に基づいて不適応行動の改善を行うのは行動療法です。

選択肢5. 森田療法は、クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。

クライエントが抑圧している過去の変容を目指すのは、精神分析療法です。森田療法は、不安があることは自然な事実としてあるがままに受け止めます。

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02

心理療法の手法は多く、その提唱者についても併せて問われる事が多いです。併せて覚えておくと良いでしょう。

選択肢1. ブリーフセラピーは、クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。

✕ ブリーフセラピーにおいては、クライエントの現在や未来に焦点を当てて問題解決を目指す方法です。

選択肢2. 社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。

〇 選択肢の通りです。社会生活技能訓練においては、クライエントが役割を演じる(ロールプレイ)を行い、技能習得を目指します。その際、クライエント一人で考えるのではなく、同じ立場にある他の人達などとグループになり、グループで意見を出し合いながら考える事という方法をとる事が多いです。

選択肢3. 来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。

✕ 来談者中心療法においては、クライエント自身の考え方をそのまま受け止め、共感的理解を示す事が重要とされています。クライエントに指示を与える事はありません。

選択肢4. 精神分析療法は、学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。

✕ 精神分析療法は、学習理論に基づいたものではありません。学習理論に基づく心理療法の種類としては、認知行動療法などがあります。

選択肢5. 森田療法は、クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。

✕ 森田療法ではクライエントが「あるがまま」の心でいられるよう目指す心理療法です。選択肢の内容は精神分析療法の説明となっています。

参考になった数26

03

正解は「社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。」です。

心理療法はその面接内容や治療方法等と併せて理解すると、覚えやすいです。

選択肢1. ブリーフセラピーは、クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。

❌ 「ブリーフ」とは「短期的・効率的」といった意味があります。クライエントの強みに焦点を当てて、短期効率的に問題解決を目指すことです。

選択肢2. 社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。

⭕️ 社会生活技能訓練(SST)はソーシャルスキルトレーニングとも呼ばれ、対人関係で必要な技能の習得を目指していく訓練のことです。

選択肢3. 来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。

❌ ロジャースの来談者中心療法は、クライエントに指示を与えず、クライエント自身の考えを傾聴することです。

選択肢4. 精神分析療法は、学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。

❌ フロイトの精神分析療法は心の無意識的な部分を意識するために定期的に面接を行うことです。学習理論に基づく不適応行動の改善には、認知行動療法などがあります。

選択肢5. 森田療法は、クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。

❌ 森田療法は、主に不安障害の対象とされ、社会復帰を目指した4段階の治療方法です。

クライエントが抑圧している過去の変容を目指していくのは精神分析療法です。

参考になった数18

04

心理療法の種類は多いですが、名称から特徴が連想しやすく、それぞれ特徴が区別しやすいため(※)、選択肢から誤りを見つけ出すことで自然に正解が現れてきます。

※特徴が区別しやすい理由についてはまとめに記載します。

選択肢1. ブリーフセラピーは、クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。

解答:

ブリーフセラピーは現在や未来に視点をおき、解決を目指す療法です。

選択肢2. 社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。

解答:

社会生活技能訓練(SST)は社会で人と人とが関わりながら生きていくために必要なスキルを身に付ける訓練です。

選択肢3. 来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。

解答:

来談者中心療法は、来談者の感情や考え、行動などを評価せず、ありのままに受容する療法です。

選択肢4. 精神分析療法は、学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。

解答:

精神分析療法は、精神分析学の理論に基づき、無意識的な感情や記憶を意識化する療法です。

選択肢5. 森田療法は、クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。

解答:

森田療法は、不安をあるがままに受け止め、生きる欲望を実現することを目指します。

まとめ

※特徴が区別しやすい理由について

ソーシャルワークのアプローチも同様ですが、基本的に否定や批判をすることによって、新たな療法やアプローチが派生するため、それぞれの特徴がはっきりと分かれています。

例:カウンセラーがクライアントに一方的にアドバイスを与える指示的カウンセリングは、クライアントの話に耳を貸さず、主体がカウンセラーにあることへの批判として、クライアントの話を傾聴し、無条件に受容する来談者中心療法が誕生した。

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05

解答:②

心理療法の種類と手法をセットで覚えておけば回答が可能な問題です。

選択肢1. ブリーフセラピーは、クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。

正答:✕

ブリーフとは、「効果的・効率的」といった意味です。その名の通り、変えようがないクライエントの過去よりも現在や未来に焦点をおくことで、効率的に解決を図る方法です。

選択肢2. 社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。

正答:◯

設問のとおりです。

選択肢3. 来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。

正答:✕

来談者中心療法とは、クライエントに指示を与えるのではなく、単に傾聴することです。

そもそも傾聴の姿勢として指示を与えるのは適切であるため、設問自体に違和感がある選択肢です。

選択肢4. 精神分析療法は、学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。

正答:✕

精神分析療法は、精神分析によってクライエントが抑圧している過去の変容を目指す手法です。

 

選択肢5. 森田療法は、クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。

正答:✕

森田療法は、クライエントが「あるがまま」の心でいられるように働きかける心理療法です。

まとめ

名称と意味(名称に対する解説)を組み合わせた選択肢で問う問題は、それぞれの組み合わせをシャッフルさせて問題を作成していることがほとんどです。よって、問われている選択肢の全てが分からなくても、消去法で回答を導き出すことが可能です。

特に心理療法の名称は、その名称からある内容を推察しやすいため、最後まで諦めずによく考えましょう。

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06

心理療法について、特徴やどのような場面で効果的かについておさえておきましょう。事例問題を読んだ上で、問われることもあります。

選択肢1. ブリーフセラピーは、クライエントの過去に焦点を当てて解決を目指していく。

不適切です。ブリーフセラピーは、過去に焦点を当てるのではなく、将来に向けて課題を解決することに重点を置きます。

選択肢2. 社会生活技能訓練(SST)は、クライエントが役割を演じることを通して、対人関係で必要な技能の習得を目指していく。

適切です。記述内容のようにロールプレイを行います。

選択肢3. 来談者中心療法は、クライエントに指示を与えながら傾聴を続けていく。

不適切です。来談者中心療法において、クライエントに指示を与えることは不適切です。

選択肢4. 精神分析療法は、学習理論に基づいて不適応行動の改善を行っていく。

不適切です。精神分析療法は、学習理論に基づいて行うわけではありません。

選択肢5. 森田療法は、クライエントが抑圧している過去の変容を目指していく。

不適切です。記述内容は、精神分析療法についてです。

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