社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
心理学理論と心理的支援 問6

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 心理学理論と心理的支援 問6 (訂正依頼・報告はこちら)

心理検査に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。
  • 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。
  • 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。
  • 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。
  • 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

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この過去問の解説 (6件)

01

対象年齢の違いによるWPPSI検査(低年齢児用)、WISC(児童)、WAIS(成人用)と、質問紙法、投影法を使う検査について整理しておきましょう。

選択肢1. 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。

WPPSIは、低年齢児用のウェクスラー式知能検査です。

選択肢2. 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。

PFスタディは、投影法のパーソナリティ検査で、認知機能は測定できません。

選択肢3. 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。

東大式エゴグラム(TEG)は、パーソナリティ検査ですが、投影法ではなく、質問紙法となります。

選択肢4. 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。

内田クレペリン精神作業検査は、パーソナリティ検査です。発達検査には用いることはありません

選択肢5. 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

バウムテストは投影法によるパーソナリティ検査です。成人の記憶能力の特定は行いません。

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02

心理検査の種類はたくさんありますが、実施方法や対象者はそれぞれ異なります。それらの違いを理解しておく事で、正答にたどりつく事ができます。

選択肢1. 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。

〇 WPPSIは、2歳6か月から7歳3か月の乳幼児を対象とした知能測定テストです。

選択肢2. 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。

✕ PFスタディは欲求不満場面に対して調査対象者がどのような反応を見せたかによって、調査対象者の攻撃性などを図る物です。

選択肢3. 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。

✕ 投影法による人格検査とは、検査対象者が意識していない性格などを読み取る方法が用いられ、代表としてはバウムテストやロールシャッハテストなどがあります。選択肢の内容に出ている東大式エゴグラムは、検査対象者が記入した内容を基に行われる、質問紙法の人格検査となるため、条件に当てはまりません。

選択肢4. 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。

✕ 内田クレペリン精神作業検査は、仕事や作業の適性などを図るために用いられるものです。

選択肢5. 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

✕ 成人の記憶能力を把握するために用いられるものとしては、ウェクスラー記憶検査などがあります。バウムテストは投影法による性格検査ですので、条件に当てはまる調査方法とは言えません。

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03

心理検査に関する問題は頻出傾向が高いため、必ず抑えましょう

また、心理検査の種類は多く、覚えるのが大変ですが、図式化したり、イラスト化したりするなどして、自分の頭の中でイメージできるまで落とし込みましょう。

100%まで理解できることが理想ですが、最低でも80%(どの分類の検査で、何を測り、対象はだれなのか)の理解度まで深めることが重要です。

選択肢1. 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。

解答:

WPPSIは、知能検査に分類されるウェクスラー式知能検査の1つであり、幼児を対象としています。

ウェクスラー式知能検査の覚え方は表記に注目します。

WAIS = Adult(成人)

WISC = Child(児童)

WPPSI = Preschool(幼稚園)

選択肢2. 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。

解答:
PFスタディは、性格検査のうちの投影法に分類され、欲求不満状況に対する反応傾向に基づいて性格を把握する絵画欲求不満テストです。

対象年齢は、児童、青年、成人の3種類と幅広いです。

選択肢3. 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。

解答:

東大式エゴグラムは、性格検査のうちの質問紙法に分類され、5つの指標で自我状態(性格)を分析します。

対象年齢は15歳以上になります。

選択肢4. 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。

解答:

内田クレペリン検査は、作業調査法に分類される心理的特性や職業適性を測る検査です。

標準的な対象年齢は、中学生から成人までです。

選択肢5. 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

解答:

バウムテストは、性格検査のうちの投影法に分類され、内面や心理状態を捉える検査です。

対象年齢は、幼児から成人までと幅広いです。

まとめ

性格検査はどの分類の検査で、何を測り、対象はだれなのかを入れ替えるだけで問題化できるため、頻出傾向が高くなります。

そのため、この3つを抑えることで確実に正解を導き出せます。

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04

正解は「乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。」です。

心理検査は多くの種類がありますが、名称の中に役割が含まれている場合もあるため、ひとつひとつの意味を理解しながら覚えましょう。

選択肢1. 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。

⭕️ 乳幼児はWPPSI、児童はWISCが用いられます。

選択肢2. 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。

❌ 絵画欲求不満テスト(PFテスト)は欲求不満の人に絵画を見せ、性格などを測定します。

選択肢3. 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。

❌ 東大式エコグラムは質問紙法による性格診断です。

投影法による人格検査は主に、バウムテストロールシャッハテストです。

選択肢4. 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。

❌ 内田クレペリン精神作業検査は中学生から成人までを対象とした作業検査法です。

選択肢5. 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

❌ バウムテストは投影法による人格検査です。

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05

正答:①

この問題は、選択肢にある検査対象と実施手法の組み合わせが適切かどうかを問う問題です。

回答するためには、各種心理検査の概要を把握しておく必要があります。

選択肢1. 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。

正答:◯

WPPSIは、ウェクスラー式知能検査とも言い、乳幼児の知能検査に用いられます。

選択肢2. 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。

正答:✕

PFスタディは投影法によるパーソナリティ検査であるため、認知機能を測定することはできません。

選択肢3. 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。

正答:✕

東大式エゴグラムは人格検査(パーソナリティ検査)に該当しますが、投影法ではなく質問紙法ですので✕となります。

選択肢4. 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。

正答:✕

内田クレペリン精神作業検査はパーソナリティ検査の一種です。人格を検査するものであるため、発達測定に用いることはできません。

選択肢5. 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

正答:✕

バウムテストは投影法によるパーソナリティ検査の一種であるため、記憶能力を測定する機能はありません。

まとめ

心理検査の問題は、過去に何度も出題されています。

人名が混ざっていたり種類が多かったりするので覚えるのが大変ですが、しっかり押さえておかないと試験で対応することが難しい項目です。

表やイラストでビジュアル的にイメージできるようにすると、覚えやすいです。

 

・何を測る検査なのか

・誰が対象か

・どのような検査方法なのか

 

この3つにポイントを絞って整理しましょう。

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06

心理検査にはさまざまなものがあり、どの検査をどのような対象者にどのような場面で使用するかおさえておきましょう。また、提唱した学者について問われることもありますので、併せて確認しておきましょう。

選択肢1. 乳幼児の知能を測定するため、WPPSIを実施した。

適切です。発達障害の検査等を行うときに用いられます。

選択肢2. 頭部外傷後の認知機能を測定するため、PFスタディを実施した。

不適切です。PFスタディは、投影法による人格検査を行います。

選択肢3. 投影法による人格検査を依頼されたので、東大式エゴグラムを実施した。

不適切です。東大式エゴグラムは、性格や行動パターンを把握することができます。

選択肢4. 児童の発達を測定するため、内田クレペリン精神作業検査を実施した。

不適切です。内田クレペリン精神作業検査は、性格検査等を行います。採用活動で活用されている例もあります。

選択肢5. 成人の記憶能力を把握するため、バウムテストを実施した。

不適切です。バウムテストでは、その人の精神状態等をチェックすることができます。

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