社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
現代社会と福祉 問3
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問題
社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 現代社会と福祉 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
福祉政策に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- アダム・スミス(Smith, A.)は、充実した福祉政策を行う「大きな政府」からなる国家を主張した。
- マルサス(Malthus, T.)は、欠乏・疾病・無知・不潔・無為の「五つの巨悪(巨人)」を克服するために、包括的な社会保障制度の整備を主張した。
- ケインズ(Keynes, J.)は、不況により失業が増加した場合に、公共事業により雇用を創出することを主張した。
- フリードマン(Friedman, M.)は、福祉国家による市場への介入を通して人々の自由が実現されると主張した。
- ロールズ(Rawls, J.)は、国家の役割を外交や国防等に限定し、困窮者の救済を慈善事業に委ねることを主張した。
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この過去問の解説 (6件)
01
福祉政策の代表的な論者である、アダム・スミス、マルサス、ケインズ、フリードマン、ロールズが論ずるそれぞれの理論について整理して記憶しましょう。
アダム・スミスは、国家の役割を外交や国防等に限定する「夜警国家」で「小さな政府」を主張しました。
マルサスは「人口論」の中で、救貧法は貧困者を増加させるものとして異議を唱えました。
ケインズ(Keynes,J.)は、不況により失業が増加した場合に、公共事業により雇用を創出することを主張しました。ケインズ主義によって1929 年に起きたアメリカの恐慌対策としてニューディール政策を実施しました。
フリードマンは、「小さな政府」を目指す新自由主義の論者です。
ロールズは、『正義論』の中で格差が認められるのは、格差が最も恵まれない人に使われた場合だけという「格差原理」を主張しました。
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02
本設問では人名、福祉施策について問われています。それぞれの時代背景や、主張した内容について覚えておくと良いでしょう。
✕ アダム・スミスは政府の役割をなるべく小さくした「小さな政府論」を主張しました。
✕ 選択肢の内容は「ベヴァリッジ」が主張した内容です。
〇 選択肢の通りです。社会的な理由により失業が増加した場合は、働きたいのに働けないという人が増加します。ケインズはその人達を救済するために、公共事業を増加させる事で雇用機会を増加させる必要があると説きました。
✕ フリードマンは、新自由主義の視点から、政府は市場に介入せず、市場にその権利を委ねることが経済を活性化させると説きました。
✕ ロールズは国家の役割を外交や国防等に限定していません。困窮者の救済についても、慈善事業のみで対応できない部分に働きかけて実行する事を求めています。
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03
福祉関係の人物は覚えるのがとても大変です。
根気強く何度もテキストをさらうことで暗記を深めていきましょう。
解答:✕
アダムスミスは、政府の役割を小さくする、小さな政府を主張しました。
解答:✕
マルサスは、人口増加と貧困について説いた人口論を主張しました。
解答:〇
ケインズは、経済発展には需要を増やすことが重要であるとし、そのために、政府が公共事業を充実させることを主張しました。
政府の役割が大きいため、アダムスミスとは逆に「大きな政府」となります。
解答:✕
フリードマンは、貨幣数量説を唱え、政府ではなく、中央銀行が貨幣をコントロールすることで景気を操作することができ、経済発展に影響を与えると主張しています。
アダムスミスの「小さな政府」を継承した考え方です。
解答:✕
ロールズは、社会全体が豊かになっているとしても、不自由や不平等な人がいる限り、正義な(正しい)社会ではないと主張しました。
福祉はこれまでの歴史が影響して発展してきたこともあるため、範囲がとても広いです。
余裕がある人は世界の歴史の流れを一度確認してみると理解を深めることができると思います。
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04
世界の福祉政策の著名人について問われています。福祉政策の歴史や動向について、併せて確認しておきましょう。
不適切です。アダム・スミスは、「小さな政府」について主張しました。著書「国富論」が有名です。
不適切です。記述内容は、マルサスではなくベヴァリッジが主張しました。
適切です。記述の通りです。ケインズは、イギリスの経済学者であることも併せて覚えておきましょう。
不適切です。記述内容とは逆に、フリードマンは「国家は介入せず、市場に任せておくべきである」という「小さな政府」について主張しました。
不適切です。ロールズは、「格差原理」について主張しました。著書「正義論」が有名です。
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05
正答:③
福祉政策の論者において有名なのは、アダム・スミス、ケインズ、フリードマン、マルサス、ロールズの5名です。それぞれが提唱した理論を覚えておきましょう。
解答:×
アダム・スミスが論じたのは、「小さな政府」です。政府の役割を最小限に限定する政治について主張しました。
解答:×
マルサスが論じたのは、「人口論」です。人口増加と貧困の関係性について論じました。
解答:〇
設問の通りです。
解答:×
フリードマンは、「貨幣数量説」を唱えました。中央銀行が貨幣コントロールをすることで経済発展に影響を与えることを主張しました。
解答:×
ロールズは、社会全体が富を得ても、不自由や不平等な人がいる限り正しい社会ではないと主張しました。
福祉政策については、提唱者と内容を覚える必要があります。時系列と共に学習していくと理解が深まるでしょう。
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06
福祉政策について、理論と提唱した人物の組み合わせを確認していきます。
不正解です。
アダム・スミスは「小さな政府」を主張しました。
不正解です。
「5つの巨悪(巨人)」を克服するために包括的な社会保障制度の整備を主張したのは
ヘヴァリッジです。
正解です。
ケインズの主張の通りの説明です。
不正解です。
フリードマンは「新自由主義」の旗手とも言われ、国家による市場への介入に
否定的でした。
不正解です。
ロールズは、提唱した「格差原理」の中で、格差は最も恵まれない人に用いられる
場合にのみ認められると主張しており、国家の役割を限定することは求めていません。
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