社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
現代社会と福祉 問2
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問題
社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 現代社会と福祉 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
福祉に関わる思想や運動についての次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- バーリン(Berlin, I.)のいう積極的自由とは、自らの行為を妨げる干渉などから解放されることで実現する自由を意味する。
- ポジティブ・ウェルフェアは、人々の福祉を増進するために、女性参政権の実現を中心的な要求として掲げる思想である。
- 1960年代のアメリカにおける福祉権運動の主たる担い手は、就労支援プログラムの拡充を求める失業中の白人男性たちであった。
- フェビアン社会主義は、ウェッブ夫妻(Webb, S. & B.)などのフェビアン協会への参加者が唱えた思想であり、イギリス福祉国家の形成に影響を与えた。
- コミュニタリアニズムは、家族や地域共同体の衰退を踏まえ、これらの機能を市場と福祉国家とによって積極的に代替するべきだとする思想である。
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この過去問の解説 (6件)
01
本設問では福祉に関わる思想や運動について問われています。世界の福祉の歴史について、併せて覚えておくと良いでしょう。
✕ 選択肢の内容は「消極的自由」の説明となっています。「積極的自由」とは、自分の意思に基づいて選択し、自律した行動が出来る自由の事を言います。
✕ ポジティブ・ウェルフェアは「参加型保障」と訳されます。全ての人が持つ可能性を引き出し、その可能性を発揮できるよう支援する事を言います。
✕ アメリカにおける福祉権運動の主たる担い手は、公的扶助を受ける必要があった黒人の女性たちです。その時代のアメリカでは、自分で仕事をして収入を得て、自律した生活を送る事が当たり前であるという考えが根付いていました。それが出来ず公的扶助を受けている人は差別の対象となっている状態でした。
アメリカでは1863年に奴隷解放宣言が出され、黒人も法的に身分を保障される事となりましたが、仕事に就けない人も多くいました。中でもひとり親の女性は収入が低く、公的扶助を必要とする人の割合が多かったため、差別の対象になりやすいという問題が発生していました。その差別解消のために、公民権運動が生まれる事となりました。
〇 選択肢の通りです。
✕ コミュニタリアリズムは「共同体主義」とも訳され、昔からのコミュニティで形成された価値観を重視する考え方の事を言います。
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02
福祉に関わる思想や運動について主なものを整理しておきましょう。特にポジティブ・ウェルフェア、積極的自由、消極的自由、ウェッブ夫妻のフェビアン社会主義について理解しておきましょう。
自らの行為を妨げる干渉などから解放されることは消極的自由です。
ポジティブ・ウェルフェアは、金銭給付ではなく教育訓練など人的資源に投資して就労を目指すことを意味します。
1960 年代のアメリカにおける福祉権運動の主たる担い手は、公的扶助を受給する黒人女性が中心でした。
フェビアン社会主義は,ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)などのフェビアン協会への参加者が唱えた思想です。
コミュニタリアニズムは、共同体を重視する政治思想です。しかし、全体主義のように個人を否定するものではありません。
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03
試験範囲の中でも世界の福祉の歴史や人物は覚えるのが困難な分野です。
選択肢の内容を適切に読みとり、違和感を見つけていきましょう。
解答:✕
バーリンの積極的自由とは、やりたいことをやる、なりたいものになるという自己実現のことを意味します。
解放されることで実現する自由は消極的自由を意味します。
解答:✕
ポジティブ・ウェルフェアとは、参加型社会保障という概念であり、本人の能力を最大限に引き出し、労働や地域社会、家庭への参加を促すことを目的とします。
就労と福祉を結び付けた考え方と覚えましょう。
解答:✕
福祉権運動の主体は黒人の女性たちです。
有名なキング牧師の影響などもあり、当時は人種差別撤廃のための運動が盛んでした。
解答:〇
ウェッブ夫妻がフェビアン協会を設立し、フェビアン社会主義を唱えました。
フェビアン社会主義は、不労所得階級の特権拒否、所得の公平な分配、貧困除去などを目的としており、のちにイギリスの福祉社会を作ります。
解答:✕
コミュニタリアニズム(共同体主義)とは、コミュニティは個人のアイデンティティを創るものであるとして、コミュニティ(共同体)を重視する政治思想です。
難しい内容ですが、選択肢を読んでいくと内容に不可解な点が生じてきます。その違和感のアンテナを正確にすることも試験では求められます。
また、社会学においては流れを把握して、一つひとつを理解することが理想ですが、頻出傾向の高いもの以外は、テキストなどを何度も読み漁り、暗記する程度でよいと思います。
確実に取れる1点を守ることが重要です。
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04
解答:④
福祉に関わる思想や活動については、提唱した人物と内容の組み合わせをしっかり覚えておきましょう。試験問題は人物と内容をシャッフルして間違い選択肢を作成する傾向が強いので、主たるものを覚えておけば、試験の際はある程度消去法で絞ることも可能になります。
正答:✕
「バーリンが積極的自由という考え方を提唱した」という点はあっていますが、積極的自由に関する説明が間違っています。困りごとから開放されることで自由を実現するという考え方は、消極的自由を指しています。
正答:✕
ポジティブ・ウェルフェアとは、「参加型社会保障」という意味です。本人のエンパワメントにより、社会参加を促すという考え方です。
正答:✕
1960年代アメリカの福祉権運動の主たる担い手は、黒人女性でした。これは当時の人種差別が背景にあります。
正答:◯
設問のとおりです。
正答:✕
コミュニタリアズムとは、共同体主義と訳せます。その名の通り、共同体を重視する主義であることから、設問は真逆の説明になっています。
福祉に関する思想や運動に関する設問は覚えることが多く、難しい内容になっています。暗記したことを思い出せなくても、最後まで諦めてはいけません。設問の横文字を日本語に置き換えたり、設問の用語と内容の説明をよく読んだりして、違和感がある部分を見つければ解答に近づくことができるでしょう。
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05
福祉に関連してこれまで提起された思想や運動について確認していきます。
不正解です。
本選択肢は「消極的自由」についての説明となっています。
不正解です。
ポジティブ・ウェルフェアは、金銭的給付よりも教育や職業訓練を通じた人的資本への投資を重視すべきという考え方です。
不正解です。
1960年代のアメリカにおける福祉権運動の主たる担い手は公的扶助の受給中の黒人でした。
正解です。
選択肢の説明文の通りです。
不正解です。
コミュニタリアニズムは、伝統や地域共同体を重視する考え方です。
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06
世界の福祉に関わる思想や運動については、内容と提唱した人名、またどこの国で行われたものかを組み合わせて覚えておくようにしましょう。
不適切です。バーリンは、積極的自由と消極的自由について提唱しましたが、記述内容は消極的自由について書かれています。
不適切です。ポジティブ・ウェルフェアとは、「参加型保障」と訳され、本人の自己決定の支援や可能性を引き出す支援をすることです。
不適切です。白人男性ではなく、黒人女性です。
適切です。記述の通りです。
不適切です。コミュニタリアリズムは、「共同体」を重視する考え方のことです。
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