社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
地域福祉の理論と方法 問1

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 地域福祉の理論と方法 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

地域福祉の基礎的な理念や概念に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • コミュニティケアとは、地域の特性や地域における課題やニーズを把握し、地域の状況を診断することをいう。
  • セルフアドボカシーとは、行政が、障害者や高齢者等の権利を擁護するよう主張することをいう。
  • 福祉の多元化とは、全ての人々を排除せず、健康で文化的な生活が実現できるよう、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。
  • 社会的企業とは、社会問題の解決を組織の主たる目的としており、その解決手段としてビジネスの手法を用いている企業のことである。
  • 住民主体の原則とは、サービス利用者である地域住民が、主体的にサービスを選択することを重視する考え方である。

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この過去問の解説 (6件)

01

近年では、公的扶助のみならず、地域住民などを始めとした、インフォーマルな資源の活用に注目が集まっています。

選択肢1. コミュニティケアとは、地域の特性や地域における課題やニーズを把握し、地域の状況を診断することをいう。

✕ コミュニティケアとは、生活課題を抱えた人が、地域とのつながりや公的なサービスを受けながら可能な限り住み慣れた地域で生活し続けられるよう、地域全体で支援する事を言います。選択肢の内容は、地域診断の説明となっています。

選択肢2. セルフアドボカシーとは、行政が、障害者や高齢者等の権利を擁護するよう主張することをいう。

✕ セルフアドボカシーとは、自分自身で自分の権利や尊厳などを守るために主張する事を言います。

選択肢3. 福祉の多元化とは、全ての人々を排除せず、健康で文化的な生活が実現できるよう、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

✕ 福祉の多元化とは、国だけでなく、民間企業やインフォーマルな資源等、様々な資源が主体となってサービスを提供する事を言います。選択肢の内容は社会的包摂の説明となっています。

選択肢4. 社会的企業とは、社会問題の解決を組織の主たる目的としており、その解決手段としてビジネスの手法を用いている企業のことである。

〇 選択肢の通りです。社会的企業の役割の一つとして、利益の追求だけではなく、得た利益をコミュニティなどに再投資する事が挙げられています。

選択肢5. 住民主体の原則とは、サービス利用者である地域住民が、主体的にサービスを選択することを重視する考え方である。

✕ 住民主体の原則とは、地域に存在する地域課題について、住民自身が主体となって考え、解決を図る事を言います。

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02

コミュニティケア、セルフアドボカシー、福祉の多元化、住民主体の原則など地域福祉に関する基本的な用語を整理しておきましょう。

選択肢1. コミュニティケアとは、地域の特性や地域における課題やニーズを把握し、地域の状況を診断することをいう。

コミュニティケアとは地域福祉のことをいいます。地域の特性や地域における課題やニーズを把握し、地域の状況を診断することは地域診断です。

選択肢2. セルフアドボカシーとは、行政が、障害者や高齢者等の権利を擁護するよう主張することをいう。

セルフアドボカシーとは、本人またはグループが主張し、行動する権利擁護活動のことをいいます。

選択肢3. 福祉の多元化とは、全ての人々を排除せず、健康で文化的な生活が実現できるよう、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

福祉の多元化とは、さまざまな主体が福祉サービスを提供することをいいます。全ての人々を排除せずに、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことは、ソーシャルインクルージョンです。

選択肢4. 社会的企業とは、社会問題の解決を組織の主たる目的としており、その解決手段としてビジネスの手法を用いている企業のことである。

社会的企業とは、社会問題の解決を目的としており、ビジネスの手法を用いて事業を行います。

選択肢5. 住民主体の原則とは、サービス利用者である地域住民が、主体的にサービスを選択することを重視する考え方である。

住民主体の原則とは、地域住民のニードに沿った活動を行うことを原則とすることをいいます。

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03

地域福祉に関する問題は出題傾向が高いため、確実に抑えていきましょう。

選択肢1. コミュニティケアとは、地域の特性や地域における課題やニーズを把握し、地域の状況を診断することをいう。

解答:

地域住民で支え合う支援のことで、いわゆる地域福祉です。

選択肢2. セルフアドボカシーとは、行政が、障害者や高齢者等の権利を擁護するよう主張することをいう。

解答:

自分の権利や利益を守るために自ら主張することです。

選択肢3. 福祉の多元化とは、全ての人々を排除せず、健康で文化的な生活が実現できるよう、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

解答:

①公的、②民間非営利、③民間営利、④インフォーマルなど福祉サービスを提供する主体が多元的にあることです。

選択肢4. 社会的企業とは、社会問題の解決を組織の主たる目的としており、その解決手段としてビジネスの手法を用いている企業のことである。

解答:

利益だけでなく、社会問題の解決を目指す企業のことです。

選択肢5. 住民主体の原則とは、サービス利用者である地域住民が、主体的にサービスを選択することを重視する考え方である。

解答:

住民が主体となって問題の解決を図ることです。

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04

地域福祉の理念や概念、用語について各選択肢を確認していきます。

選択肢1. コミュニティケアとは、地域の特性や地域における課題やニーズを把握し、地域の状況を診断することをいう。

不正解です。

コミュニティケアとは、地域福祉とも言われており、対象となる人を、施設内ではなく地域社会の中でケアしていこうという考え方です。

選択肢2. セルフアドボカシーとは、行政が、障害者や高齢者等の権利を擁護するよう主張することをいう。

不正解です。

セルフアドボカシーとは、自分自身や自分の利益のために当人が声を上げることです。

選択肢3. 福祉の多元化とは、全ての人々を排除せず、健康で文化的な生活が実現できるよう、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

不正解です。

福祉の多元化とは、公的なものだけでなく民間も含めた、サービスの供給主体を多元化することです。

選択肢4. 社会的企業とは、社会問題の解決を組織の主たる目的としており、その解決手段としてビジネスの手法を用いている企業のことである。

正解です。

選択肢の説明文の通りです。

選択肢5. 住民主体の原則とは、サービス利用者である地域住民が、主体的にサービスを選択することを重視する考え方である。

不正解です。

住民主体の原則とは、地域福祉の課題をその地域に暮らす住民が主体となって解決していくことを言います。

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05

正答:④

地域福祉の基礎的な理念や概念は、相談支援において基礎的な知識となります。用語の意味を理解できるようにしておきましょう。

選択肢1. コミュニティケアとは、地域の特性や地域における課題やニーズを把握し、地域の状況を診断することをいう。

解答:×

コミュニティケアとは、生活課題を抱えた人を地域全体で支えることを言います。

選択肢2. セルフアドボカシーとは、行政が、障害者や高齢者等の権利を擁護するよう主張することをいう。

解答:×

セルフアドボカシーとは、自身の権利や尊厳を自分自身で守ることを言います。

選択肢3. 福祉の多元化とは、全ての人々を排除せず、健康で文化的な生活が実現できるよう、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

解答:×

福祉の多元化とは、国や地方公共団体だけでなく、民間企業やボランティアなど様々な支援者が活動する社会のことを言います。

選択肢4. 社会的企業とは、社会問題の解決を組織の主たる目的としており、その解決手段としてビジネスの手法を用いている企業のことである。

解答:〇

設問の通りです。福祉多元化の社会の中で、ソーシャルエンタープライズ(社会的企業)が増えてきています。

選択肢5. 住民主体の原則とは、サービス利用者である地域住民が、主体的にサービスを選択することを重視する考え方である。

解答:×

住民主体の原則とは、地域課題に対して国や行政が施策を講じるのを待つのではなく、住民自身が自分事として解決を図ることを言います。

まとめ

地域福祉の支援は自助・共助・公助の順で行われます。この問いはその中の自助・共助に関する取り組みについて出題されています。インフォーマルサービスが重要視されている昨今ですので、この3助の違いについても学習しておきましょう。

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06

どれも地域福祉の基本的な部分ですので、覚えておくようにしましょう。選択肢の記述内容は、細かい部分で異なるところがあります。どれもよく読むことで、わかると思います。

選択肢1. コミュニティケアとは、地域の特性や地域における課題やニーズを把握し、地域の状況を診断することをいう。

不適切です。記述内容は「地域診断」についてです。

選択肢2. セルフアドボカシーとは、行政が、障害者や高齢者等の権利を擁護するよう主張することをいう。

不適切です。「行政」ではなく自分自身(セルフ)で主張することです。

選択肢3. 福祉の多元化とは、全ての人々を排除せず、健康で文化的な生活が実現できるよう、社会の構成員として包み支え合う社会を目指すことをいう。

不適切です。記述内容は「ソーシャルインクルージョン」についてです。

選択肢4. 社会的企業とは、社会問題の解決を組織の主たる目的としており、その解決手段としてビジネスの手法を用いている企業のことである。

適切です。利益を第一に考えるというよりも、社会問題の解決を主たる目的としています。

選択肢5. 住民主体の原則とは、サービス利用者である地域住民が、主体的にサービスを選択することを重視する考え方である。

不適切です。「主体的にサービスを選択する」のではなく、住民が主体となって活動を考えたり、活動したりすることを指します。

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