社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
現代社会と福祉 問10

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 現代社会と福祉 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

男女雇用機会均等政策に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。
  • セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。
  • 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。
  • 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。
  • 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。

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この過去問の解説 (6件)

01

男女雇用機会均等を推進するために、有期雇用労働者の育児・介護休業取得の要件を緩和や、一般事業主行動計画の策定・届出、ハラスメントの防止のための施策の推進を図っています。

選択肢1. 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。

女性活躍推進法に規定される行動計画は、常時雇用する労働者の数が 101 人以上の一般事業主(国及び地方公共団体を除く)に策定義務があります。

選択肢2. セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。

男女雇用機会均等法においては、事業主に対してセクハラ防止のために雇用管理上必要な配慮をしなければならないと規定がされています。

選択肢3. 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。

いくつかの労働法規では、転居を伴う転勤に応じることができることを採用の要件とすることができるのは、合理的な理由がある場合です。

選択肢4. 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。

育児休業は、期限の定めのある労働者でも取得することが可能です。

選択肢5. 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。

育児休業を取得することは義務ではなくて権利です。

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02

ジェンダー平等の実現はSDGsにおける目標にも掲げられています。日本でもその取り組みが続けられていますが、「ジェンダー・ギャップ指数2022」によれば日本のジェンダー・ギャップ指数は146か国中116位となっており、先進国の中でも最低レベルとなっています。

選択肢1. 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。

✕ 2022年4月の女性活躍推進法改正により、常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定する義務が発生する事となりました。

選択肢2. セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。

〇 選択肢の通りです。セクシュアルハラスメントを防止するために、セクシュアルハラスメントに当たる具体的な内容を周知したり、セクシュアルハラスメントに遭った際に相談できる窓口を設置するなど、厚生労働大臣の指針により10項目が定められています。

選択肢3. 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。

✕ 男女雇用機会均等法第7条において、「間接差別」を禁止しています。間接差別とは、以下の3点となります。

①労働者の募集または採用に当たって、労働者の身長、体重または体力を要件とすること。

②労働者の募集・採用、昇進、職種の変更に当たって、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とすること。

③労働者の昇進に当たり、転勤の経験があることを要件とすること。

よって、この選択肢は不適切です。

選択肢4. 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。

✕ 育児休業の取得は、同じ事業主に1年以上雇用されており、子どもが1歳を迎えた後も引き続き同じ事業主に雇用される見込みがある人であり、かつ所定労働日数が週2日以下でない事が条件となります。期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限らず、条件を満たせばパート職員なども取得する事が可能です。

選択肢5. 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。

✕ 2021年の育児・介護休業法の改正に伴い、2022年10月から出生時育児休業制度が創設されました。それにより男性労働者の育児休業取得の権利は法律で明確に示されましたが、取得義務はありません。

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03

男女雇用機会均等政策では、性別を理由とした差別を受けることをなくし、その意欲と能力に応じて均等な待遇を受けられるようにすることが目的です。

選択肢1. 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。

解答:

女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が101人以上の事業主は、一般事業主行動計画の策定が義務となっています。

ちなみにもう一つの策定義務には、次世代育成支援対策推進法の一般事業主行動計画があります。

同じ名称ですが、法律が別のため、それぞれ別に計画を立てなければなりません。

選択肢2. セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。

解答:

事業主が雇用管理上講ずべき措置は、厚生労働大臣の指針により10項目が定められており、必ず実施しなければなりません。

選択肢3. 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。

解答:

理由を問わず講じることは間接差別に該当します。

間接差別とは、①性別以外の事由を要件とする措置であって、 ②他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与えるものを、 ③合理的な理由がないときに講ずること、をいいます。

選択肢4. 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。

解答:

週3日以上労働していればパートやアルバイトでも対象となります。

育児休業の取得条件は以下となります。

①その会社で1年以上働いていること

②育休後ものその会社で働くこと

③週3日以上の勤務であること

選択肢5. 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。

解答:

男性の育児休業取得は義務づけられていません

出生時育児休業(産後パパ育休)という主に男性が取得する(女性も取得可)育児休業は2022年に施行され、男性の育児休業取得を促進しています。

まとめ

出生時育児休業育児休業は別の制度です。

また、パパママ育休プラスという制度もあるため、それぞれ整理して覚えましょう。

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04

男女雇用機会均等政策に関して、各選択肢の内容を確認していきます。

選択肢1. 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。

不正解です。

常時雇用する労働者数が101人以上の事業主が、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することは義務となっています。

選択肢2. セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。

正解です。

選択肢の説明文の通りです。

選択肢3. 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。

不正解です。

男女雇用機会均等法では、合理的な理由もなく全国転勤を要件として労働者を募集・採用する

ことは「間接差別」として禁止されています。

選択肢4. 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。

不正解です。

育児休業を取得することは、条件を満たしたパートタイム勤務の労働者にも可能です。

選択肢5. 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。

不正解です。

男性労働者が育児休業を取得することは可能ですが、義務ではありません。

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05

正答:②

ジェンダーギャップに関する社会課題に関して、世界の中で日本は後進国と言われています。

今後も頻繁に試験に出ると考えられるため、現代社会と性差に関する課題を押さえておきましょう。

選択肢1. 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。

解答:×

2022年4月の女性活躍推進法改正により、女性の活躍に関する一般事業主行動計画作成は義務化されました。

選択肢2. セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。

解答:〇

設問の通りです。

選択肢3. 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。

解答:×

設問では「総合職に採用された者は理由の如何を問わず転勤を拒否できない」と説明していることになります。

これは「間接差別」を禁止している男女雇用機会均等法に反しているため、不適切です。

選択肢4. 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。

解答:×

育児休業は、以下の要件を満たしていればフルタイム雇用の労働者以外でも取得できます。

・同じ事業主に1年以上雇用されている

・子どもが1歳を迎えた後も引き続き同じ事業主に雇用される見込みがある

・所定労働日数が週2日以下でない

選択肢5. 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。

解答:×

男性労働者に関する育児休業については、2021年の育児・介護休業法の改定により明確に取得可能である旨が記載されました。ただし、義務ではありません。

まとめ

男女雇用機会均等に関する課題と人口減少問題対策は、多様化する生活観と相まってさらに複雑化した問題となっています。今後も頻繁に出題されることが考えられるため、相関性も含めて学習しておきましょう。

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06

近年の政策に関しては、日頃からニュースに目を通し、改正内容について追っておく必要があります。

選択肢1. 常時雇用する労働者数が101人以上の事業主は、女性の活躍に関する一般事業主行動計画を策定することが望ましいとされている。

不適切です。「策定することが望ましい」ではなく「義務」とされています。

選択肢2. セクシュアルハラスメントを防止するために、事業主には雇用管理上の措置義務が課されている。

適切です。男女雇用機会均等法の第11条に規定されています。

選択肢3. 総合職の労働者を募集・採用する場合は、理由のいかんを問わず、全国転勤を要件とすることは差し支えないとされている。

不適切です。全国転勤を要件とすることは間接差別として禁止されています。

選択肢4. 育児休業を取得できるのは、期間の定めのない労働契約を結んだフルタイム勤務の労働者に限られている。

不適切です。期間の定めのある労働契約を結んだ方でも、要件を満たすことで育児休業を取得することができます。

選択肢5. 女性労働者が出産した場合、その配偶者である男性労働者は育児休業を取得することが義務づけられている。

不適切です。男性労働者が育児休業を取得することはできますが、義務づけられていはいません。

参考になった数2