社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
社会保障 問5

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この過去問の解説 (8件)

01

労働者災害補償保険制度の内容について問う問題です。労働者災害補償保険制度とは、業務災害及び通勤災害にあった労働者又はその遺族に給付を行う公的保険制度で、労災保険と呼ばれています。労災保険の目的、適用労働者、保険給付の内容など確認しておきましょう。

選択肢1. 労働者の業務災害に関する保険給付については、事業主の請求に基づいて行われる。

適切ではありません。原則として、労災申請の手続きは、怪我等をした労働者本人又は遺族が行うことになっています。

選択肢2. メリット制に基づき、事業における通勤災害の発生状況に応じて、労災保険率が増減される。

適切ではありません。メリット制とは、事業場の労働災害の多寡に応じて、一定の範囲内で労災保険率または労災保険料額を増減させる仕組みです。通常、「業務中の災害」 によって労災保険を利用した場合、労災保険料が上昇しますが、この「業務中の災害」に通勤災害は含まれていません

選択肢3. 保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。

適切ではありません。労災保険料は全額事業主(会社)が負担することになっています。

選択肢4. 労働者災害補償保険の適用事業には、労働者を一人しか使用しない事業も含まれる。

適切です。原則として、従業員を一人でも雇用する事業所(会社)は必ず加入します。雇用形態に関す区別もありません。一部例外として、加入が任意となる場合もあります(小規模な農林水産業など)。

選択肢5. 労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者は労働者災害補償保険又は健康保険のいずれかの給付を選択することができる。

適切ではありません。労働者の業務災害について、健康保険を利用することはできません。労働者災害補償保険又は健康保険のいずれかを使用するかは選択する制度にはなっていません。

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02

  • この問題は労災保険の制度について問われています。
  • 【概要】*厚生労働省Webサイトより抜粋
  • ・労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。
  • ・労災保険は、原則として 一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。
  • ・労災保険における労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、 労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ありません

選択肢1. 労働者の業務災害に関する保険給付については、事業主の請求に基づいて行われる。

× 被保険者からの請求も可能であるため、不適切です。

選択肢2. メリット制に基づき、事業における通勤災害の発生状況に応じて、労災保険率が増減される。

× メリット性は通勤災害は対象外のため、不適切です。

選択肢3. 保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。

× 労災補償保険の保険料は原則、全額事業主負担のため、不適切です。

選択肢4. 労働者災害補償保険の適用事業には、労働者を一人しか使用しない事業も含まれる。

〇 労災保険は、原則として 一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。

選択肢5. 労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者は労働者災害補償保険又は健康保険のいずれかの給付を選択することができる。

× 事業主、労働者いずれもどちらの制度を使うか選択することはできません。

労災保険:業務上の事由または通勤災害により受傷した場合に給付

健康保険:業務上の事由また通勤災害以外で受傷した場合に給付(いわゆる「私病」と呼称される)

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03

労働者災害補償保険制度の保険料負担や、適用対象事業所の規模、労働災害の内容について整理しておきましょう。

選択肢1. 労働者の業務災害に関する保険給付については、事業主の請求に基づいて行われる。

労働者の業務災害に関する保険給付の申請については、労働者自身またはその家族が行うことになっています。

選択肢2. メリット制に基づき、事業における通勤災害の発生状況に応じて、労災保険率が増減される。

メリット制は労働災害についてです。通勤災害は対象外になっています。

選択肢3. 保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。

労働者災害補償保険の保険料は事業主だけが負担し、労働者の負担はありません。

選択肢4. 労働者災害補償保険の適用事業には、労働者を一人しか使用しない事業も含まれる。

労働者災害補償保険の適用事業所は、1人しか使用していない事業所にも適用されます。

選択肢5. 労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者は労働者災害補償保険又は健康保険のいずれかの給付を選択することができる。

労働者の業務災害は、労働者災害補償保険からの保険給付になっています。

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04

正解は「労働者災害補償保険の適用事業には、労働者を一人しか使用しない事業も含まれる。」です。

労働者災害補償保険制度は、働者の業務上の事由または通勤による傷病などに対して、必要な保険給付を行うものです。

選択肢1. 労働者の業務災害に関する保険給付については、事業主の請求に基づいて行われる。

❌ 原則として、労働者本人又は遺族の請求に基づいて行われます。

選択肢2. メリット制に基づき、事業における通勤災害の発生状況に応じて、労災保険率が増減される。

❌ メリット制とは、労働災害の発生状況に応じて、 労災保険率を増減させる制度です。通勤災害は対象外です。

選択肢3. 保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。

❌ 労災保険料は、全額事業主が負担します。

選択肢4. 労働者災害補償保険の適用事業には、労働者を一人しか使用しない事業も含まれる。

⭕️ 原則として、労働者を一人でも使用している事業は適用されます。

選択肢5. 労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者は労働者災害補償保険又は健康保険のいずれかの給付を選択することができる。

❌ 労働者の業務災害において、健康保険を利用することはできません

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05

労災に関する問題は出題傾向が高いため、基本的な仕組み、対象を抑えた上で、さまざまな事例も確認しておきましょう。

選択肢1. 労働者の業務災害に関する保険給付については、事業主の請求に基づいて行われる。

解答:

労災の請求は労働者本人またはその遺族が行います。

選択肢2. メリット制に基づき、事業における通勤災害の発生状況に応じて、労災保険率が増減される。

解答:

メリット制は労働災害の発生状況に応じてです。

メリット制...労働災害の発生が少ない場合、事業主の保険料負担は軽くなり、労働災害の発生が多い場合、保険料負担が重くなる制度

選択肢3. 保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。

解答:

労災の保険料は事業主がすべて負担します。

選択肢4. 労働者災害補償保険の適用事業には、労働者を一人しか使用しない事業も含まれる。

解答:

労働者を一人でも使用する場合、労災保険の適用となります。

選択肢5. 労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者は労働者災害補償保険又は健康保険のいずれかの給付を選択することができる。

解答:

業務災害に関する保険給付は労災保険となります。

労災保険以外(労働災害とは関係のない)の傷病に対して支給されるものは健康保険となります。

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06

正答:④

労働者災害補償保険制度とは、いわゆる「労災」保険です。感覚で解ける問題ではないので、しっかり学習しておきましょう。

選択肢1. 労働者の業務災害に関する保険給付については、事業主の請求に基づいて行われる。

解答:×

業務災害に係る保険給付請求は、労働者本人及び遺族によって行われます。よって、使用者が正当な理由なく保険給付請求を労働者に認めないのは違法になります。

選択肢2. メリット制に基づき、事業における通勤災害の発生状況に応じて、労災保険率が増減される。

正答:×

メリット性に基づいて労災保険率が増減されるのは、労働災害です。通勤災害についてではありません。

選択肢3. 保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。

正答:×

労働災害保険の保険料は全額事業主負担です。

選択肢4. 労働者災害補償保険の適用事業には、労働者を一人しか使用しない事業も含まれる。

正答:〇

労働者を雇用する全ての事業主に対して、加入の義務があります。

選択肢5. 労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者は労働者災害補償保険又は健康保険のいずれかの給付を選択することができる。

正答:×

労働者が業務災害によって医療行為を受けた場合は、労働者災害補償保険が給付されます。雇用主が業務上の災害であることを知りながら健康保険での受診を指示することは、違法です。

まとめ

働きながら資格取得を目指している方はもちろん、今後就労するであろう学生の皆さんにとっても「労災保険」について学習することは非常に重要です。誰でも利用する可能性がある社会保険の一種なので、試験勉強としてではなく、いざというときの知識として学習するのもよいでしょう。

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07

労働者災害補償保険制度について、各選択肢を確認していきます。

選択肢1. 労働者の業務災害に関する保険給付については、事業主の請求に基づいて行われる。

不正解です。

労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者本人かその遺族が請求を行います。

選択肢2. メリット制に基づき、事業における通勤災害の発生状況に応じて、労災保険率が増減される。

不正解です。

メリット制は、労働災害が少ない事業所の保険料率が下がる等の制度ですが、

通勤災害については適用外となります。

選択肢3. 保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。

不正解です。

保険料は、全額事業主が負担します。

選択肢4. 労働者災害補償保険の適用事業には、労働者を一人しか使用しない事業も含まれる。

正解です。

労働者災害補償保険の適用事業では、労働者が1人の事業所でも保険は適用されます。

選択肢5. 労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者は労働者災害補償保険又は健康保険のいずれかの給付を選択することができる。

不正解です。

労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者災害補償保険が適用となり、健康保険を選択することはできません。

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08

精神保健福祉士として仕事をすると、何がきっかけで病気となったのか、適応となる保険は何か等をアセスメントした上で支援する場面が出てきます。労働者災害補償保険制度もその一つですので、基本的な事項をおさえておきましょう。

選択肢1. 労働者の業務災害に関する保険給付については、事業主の請求に基づいて行われる。

不適切です。事業主ではなく、被災した労働者が行います。

選択肢2. メリット制に基づき、事業における通勤災害の発生状況に応じて、労災保険率が増減される。

不適切です。「メリット制」は、通勤災害ではなく労働災害についてです。

選択肢3. 保険料は、事業主と労働者が折半して負担する。

不適切です。保険料は、事業主が全額負担します。

選択肢4. 労働者災害補償保険の適用事業には、労働者を一人しか使用しない事業も含まれる。

適切です。記述の通りです。

選択肢5. 労働者の業務災害に関する保険給付については、労働者は労働者災害補償保険又は健康保険のいずれかの給付を選択することができる。

不適切です。業務災害は、労働者災害補償保険が適用となります。

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