社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
社会保障 問7

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 社会保障 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

公的年金制度に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の被保険者になれない。
  • 基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。
  • 厚生年金保険の保険料は、所得にかかわらず定額となっている。
  • 保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われることはない。
  • 老齢基礎年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢基礎年金の一部又は全部の額が支給停止される場合がある。

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この過去問の解説 (8件)

01

それぞれの公的年金の被保険者の対象者や保険料の算定方法、停止要件などについて整理しておきましょう。

選択肢1. 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の被保険者になれない。

厚生年金保険の被保険者は、国民年金の第二号被保険者になっています。

選択肢2. 基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。

老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金それぞれに国庫負担があります。

選択肢3. 厚生年金保険の保険料は、所得にかかわらず定額となっている。

国民年金の保険料は定額ですが、厚生年金保険の保険料は報酬比例です.

選択肢4. 保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われることはない。

老齢基礎年金の場合、保険料が免除されていた期間については、国庫負担分が保険料に反映されます。

選択肢5. 老齢基礎年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢基礎年金の一部又は全部の額が支給停止される場合がある。

年金の一部又は全部の額が支給停正される恐れがあるのは、老齢厚生年金です。

参考になった数65

02

日本の公的年金とは、国民年金、厚生年金、共済年金を指します。また、各制度の中に給付要件別に老齢年金、障害年金、遺族年金の3種類があります。特に国民年金、厚生年金の制度について、一通りが学習しておきましょう。

選択肢1. 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の被保険者になれない。

適切ではありません。国民年金の被保険者は次のいずれかに該当する者です。

① 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であって②及び③のいずれにも該当しないもの(一部例外あり)(第一号被保険者)

② 厚生年金保険の被保険者(第二号被保険者)

③ ②の配偶者(一部例外あり)であって主として②の収入により生計を維持するもののうち20歳以上60歳未満のもの(第三号被保険者)

したがって、20歳未満であっても、厚生年金保険の被保険者は、国民年金の第二号被保険者に該当します。

選択肢2. 基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。

適切です。記述の通りです。

選択肢3. 厚生年金保険の保険料は、所得にかかわらず定額となっている。

適切ではありません。厚生年金の保険料は報酬に比例して高くなる仕組みです。国民年金の保険料は一定額です。

選択肢4. 保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われることはない。

適切ではありません。国民年金保険料の免除の場合、免除が承認された期間は、年金の受給資格期間に算入され、将来の年金額を計算するときは、免除期間は保険料を納めた時に比べて2分の1額になる仕組みです。

したがって、保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われます。

選択肢5. 老齢基礎年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢基礎年金の一部又は全部の額が支給停止される場合がある。

適切ではありません。老齢厚生年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢厚生年金の一部又は全部の額が支給停止される場合があります。

参考になった数31

03

正解は「基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。」です。

国民年金、厚生年金、共済年金の公的年金制度について確認しておきましょう。

選択肢1. 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の被保険者になれない。

❌ 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の第二号被保険者として加入しています。

選択肢2. 基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。

⭕️ 適切な説明です。

選択肢3. 厚生年金保険の保険料は、所得にかかわらず定額となっている。

❌ 厚生年金保険の保険料は報酬に比例して変化していきます。

国民年金の保険料は所得にかかわらず定額です。

選択肢4. 保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われることはない。

❌ 保険料を免除した割合や期間に応じて年金給付額が算出されます。全額免除した場合であっても、全額納付時の2分の1の年金給付が行われます。

選択肢5. 老齢基礎年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢基礎年金の一部又は全部の額が支給停止される場合がある。

❌ 老齢基礎年金は支給停止の対象にはなりません。一部または全額支給停止がされる場合があるのは、老年厚生年金です。

参考になった数11

04

☆Point☆

国庫負担・・・基礎年金(老齢、遺族、障害)の給付の財源には1/2の国庫負担(国民の税金)が財源として使われています。

国民年金の保険料免除・・・保険料の免除や納付猶予が承認された期間は、年金の受給資格期間に算入されます。

選択肢1. 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の被保険者になれない。

× 厚生年金保険の被保険者は、同時に国民年金にも加入したとみなされます。

選択肢2. 基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。

〇 基礎年金(老齢、遺族、障害)の給付の財源には1/2の国庫負担(国民の税金)が財源として使われています。

選択肢3. 厚生年金保険の保険料は、所得にかかわらず定額となっている。

× 標準報酬月額(毎年4月5月6月の給与をもとに算定基礎届を提出して決定)に保険料率をかけて算出するため、定額ではありません。

選択肢4. 保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われることはない。

× 保険料の免除や納付猶予が承認された期間は、年金の受給資格期間に算入されます。

選択肢5. 老齢基礎年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢基礎年金の一部又は全部の額が支給停止される場合がある。

× 老齢基礎年金は支給停止の対象ではありません。ただし老齢厚生年金は所得に応じて一部または全額支給停止がされます。

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05

年金の仕組みについて正しく理解しましょう。

選択肢1. 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の被保険者になれない。

解答:

厚生年金保険の被保険者は自動的に国民年金に加入することになります。

これを第2号被保険者といいます。

選択肢2. 基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。

解答:

基礎年金は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金それぞれ1/2が国庫負担(国の税金)となっています。

選択肢3. 厚生年金保険の保険料は、所得にかかわらず定額となっている。

解答:

厚生年金の保険料は、毎月の給与や賞与に報酬額保険料率をかけて計算します

選択肢4. 保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われることはない。

解答:

猶予や免除されていた期間も年金の受給資格期間に含まれます

未納は対象外です。

選択肢5. 老齢基礎年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢基礎年金の一部又は全部の額が支給停止される場合がある。

解答:

老齢基礎年金は働いていても受け取ることができます

厚生年金に加入しながら働く場合、給与収入によっては老齢厚生年金の一部または全部の額が支給停止となる場合があります。

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06

国民年金と厚生年金の違い、第1号~3号被保険者の対象者といった問題はよく出てきますので、特徴について理解しておくようにしましょう。

選択肢1. 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の被保険者になれない。

不適切です。国民年金は1階、厚生年金はその上の2階にある仕組みですので、厚生年金の被保険者は国民年金の被保険者となります。

選択肢2. 基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。

適切です。記述の通りです。

選択肢3. 厚生年金保険の保険料は、所得にかかわらず定額となっている。

不適切です。厚生年金の保険料は、報酬によって変動します。

選択肢4. 保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われることはない。

不適切です。年金給付が少なくなることはあるものの、年金給付が行われます。

選択肢5. 老齢基礎年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢基礎年金の一部又は全部の額が支給停止される場合がある。

不適切です。収入が一定額を上回ると、記述内容のようなことがあります。

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07

公的年金制度について、加入資格等の確認を行っていきます。

選択肢1. 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の被保険者になれない。

不正解です。

厚生年金の被保険者は、国民年金の第二号被保険者となります。

選択肢2. 基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。

正解です。

選択肢の説明文の通り、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれも国庫負担があります。

選択肢3. 厚生年金保険の保険料は、所得にかかわらず定額となっている。

不正解です。

厚生年金保険の保険料は、所得に応じて変動します。

選択肢4. 保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われることはない。

不正解です。

保険料を免除されていた期間も、免除された金額の割合に応じて、対応する年金給付が行われます。

選択肢5. 老齢基礎年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢基礎年金の一部又は全部の額が支給停止される場合がある。

不正解です。

年金の受給者が被用者として働いている場合、年金の一部又は全部の額が支給停止される場合があるのは老齢厚生年金です。

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08

正答:②

公的年金制度も、我々の実生活に直結する重要な制度です。試験勉強というよりも、自身のこととしてしっかり学習しておきましょう。

選択肢1. 厚生年金保険の被保険者は、国民年金の被保険者になれない。

解答:×

厚生年金保険の被保険者は、国民年金の第二号被保険者となります。給付時には、厚生年金が国民年金に上乗せされて支給されます。

選択肢2. 基礎年金に対する国庫負担は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のいずれに対しても行われる。

解答:〇

設問の通りです。

選択肢3. 厚生年金保険の保険料は、所得にかかわらず定額となっている。

解答:×

厚生年金保険の保険料は、「標準報酬月額」の表に基づいて所得の額によって変動します。

選択肢4. 保険料を免除されていた期間に対応する年金給付が行われることはない。

解答:×

単なる未納期間は除外されますが、制度上の免除や猶予をされていた期間は加入期間に合算されます。

選択肢5. 老齢基礎年金の受給者が、被用者として働いている場合は、老齢基礎年金の一部又は全部の額が支給停止される場合がある。

解答:×

老齢厚生年金は支給停止となる場合がありますが、老齢基礎年金は被用者として働いている場合でも支給されます。

まとめ

国民年金の制度持続性に関しては、社会問題として捉える報道も増えています。わが身のこととして意識すれば、自然と学習内容も身につくでしょう。

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