社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問5

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問5 (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、この段階においてU相談支援事業所のM相談支援専門員(社会福祉士)が行う支援の内容として、次のうち最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事例〕
U相談支援事業所のM相談支援専門員は、V精神科病院の地域医療連携室に勤務するA精神保健福祉士から、精神障害者のBさん(50歳代)の今後の生活について、相談を受けた。Bさんは、V精神科病院において約10年にわたって入院生活を送ってきた。現在、症状は安定しているが、身寄りもなく、帰る場所もない状態であり、聞かれれば、「可能なら就労したい」と答える。そこで、M相談支援専門員は、A精神保健福祉士と連携しつつ、Bさんとの定期的な面接による相談を行い、これからの生活を一緒に考えることになった。
  • 地域移行支援による退院支援
  • 地域定着支援による退院支援
  • 公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援
  • 障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援
  • 後見開始の審判申立て支援

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この過去問の解説 (7件)

01

症状が安定している長期入院患者の今後を本人の希望をもとにどう支援していくべきか問われている場面です。相談支援専門員として、本人の希望をもとに、どういう道筋で支援をしていくべきか、イメージしながら解答しましょう。

選択肢1. 地域移行支援による退院支援

適切です。地域移行支援とは、障害者支援施設等に入所している障害者、精神科病院に入院している精神障害者などに、住居の確保その他の地域における生活に移行するための活動に関する相談その他の必要な支援を行うサービスです。具体的には、外出の際の同行、障害福祉サービスの体験利用支援、体験的な宿泊支援が想定されています。

Bさんの状況、ニーズに合致します。

選択肢2. 地域定着支援による退院支援

適切ではありません。地域定着支援とは、居宅において単身で生活してい障害者等を対象に、常時の連絡体制を確保し、緊急時には必要な支援を行うサービスです。

Bさんは現在入院中であり、要件にあてはまりません。地域定着支援は、今後Bさんが一人暮らしをはじめる場合などに利用が検討されるものと思われます。

選択肢3. 公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援

適切ではありません。Bさんは就労の希望も口にされてはいますが、退院後に生活が落ち着くことが最優先課題と考えられます。「公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援」も検討課題の一つになり得ますが、優先順位は高くありません。

選択肢4. 障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援

適切ではありません。Bさんは就労の希望も口にされてはいますが、退院後に生活が落ち着くことが最優先課題と考えられます。「障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援」も検討課題の一つになり得ますが、優先順位は高くありません。

選択肢5. 後見開始の審判申立て支援

適切ではありません。後見開始の審判は、精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断能力が欠けているのが通常の状態のものを保護するための手続です。

Bさんは、「精神上の障害によって判断能力が欠けているのが通常の状態」にあるとは考えられません。

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02

相談支援専門員が行うべき業務を具体的な事例に基づいてイメージしておきましょう。やるべき業務の優先度、緊急性を勘案してその内容を整理しておくことが必要です。

選択肢1. 地域移行支援による退院支援

地域移行支援は施設入所の障害者や入院中の精神障害者に対して住居確保や地域移行するための相談等を行うものです。

選択肢2. 地域定着支援による退院支援

地域定着支援は、居宅において単身等で生活する障害者に地域生活を継続するために常時の連絡体制を確保するなど緊急対応を行うものです。

選択肢3. 公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援

求職活動の支援も必要かもしれませんが将来的なことと考えられるので、この段階で優先されるものではありません。

選択肢4. 障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援

職業準備訓練を受けるための支援も必要かもしれませんが、この段階では優先されるものではありません。

選択肢5. 後見開始の審判申立て支援

後見開始は、精神上の障害により判断能力を欠く者を対象とします。

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03

相談支援専門員の役割をイメージしつつ、事例に登場する人物の状態やニーズをもとに正しい支援を選択しましょう。

Bさん…精神障害、症状は安定、身寄りや変える場所がない、就労希望

選択肢1. 地域移行支援による退院支援

解答:

地域移行支援では、入院や入所している方に対して、住居の確保や新生活の準備など、地域生活へ移行するための支援を行います。

現在のBさんには地域移行支援が適切です。

選択肢2. 地域定着支援による退院支援

解答:

地域定着支援は、地域で生活している方に対して、24時間の連絡相談等のサポートを行います。

Bさんは入院しているため、地域定着支援の対象には該当しません。

選択肢3. 公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援

解答:

就労を希望していますが、身寄りや帰る場所がないため、まずは住居を確保し、生活環境を整える必要があります。

選択肢4. 障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援

解答:

まずは住居を確保し、生活環境を整えることが必要です。

そのうえで、職業準備訓練等の支援を受けます。

選択肢5. 後見開始の審判申立て支援

解答:

後見制度の対象は、認知症や、知的障害、精神障害などにより、物事を判断する能力が十分でない人です。

まとめ

支援や制度の対象や特徴を正しく理解することで正解を導き出すことができます。

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04

正解は「地域移行支援による退院支援」です。

相談支援専門員の役割を確認しておきましょう。その上で事例を読み取り、適切な支援を選択することが求められています。

選択肢1. 地域移行支援による退院支援

⭕️ 地域移行支援は、入院している精神障害者などに、住居の確保や在宅生活への移行に必要な支援や相談を行います。Bさんのニーズに適しており、利用可能です。

選択肢2. 地域定着支援による退院支援

❌ 地域定着支援では、居宅において単身で生活している障害者などに、24時間の連絡体制を確保し、必要な支援を行います。Bさんは現在入院中であり、利用できません。

選択肢3. 公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援

❌ 退院後の住居確保や在宅生活が安定した後に、必要に応じて公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援を行います。

選択肢4. 障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援

❌ 退院後の住居確保や在宅生活が安定した後に、必要に応じて障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援を行います。

選択肢5. 後見開始の審判申立て支援

 後見開始の審判申立ては、精神上の障害によって判断能力が欠けているのが通常の状態のものを保護するために行います。Bさんは利用できません。

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05

精神科病院に約10年間入院しているBさんの今後について、病院の精神保健福祉士と一緒に支援を考える場面です。Bさんの現状をアセスメントし、何を優先するべきか考えることが重要です。

選択肢1. 地域移行支援による退院支援

適切です。「約10年にわたって入院生活を送ってきた」ことから、地域での生活を送ることができるか等を検討するために、外出や外泊を検討する必要があります。

選択肢2. 地域定着支援による退院支援

不適切です。「地域定着支援」は既に地域で暮らしている方を対象に行います。Bさんは、現在入院していますので不適切です。

選択肢3. 公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援

不適切です。Bさんは「身寄りもなく、帰る場所もない状態」「可能なら就労したい」ということから、求職活動の支援は優先すべきことではありません。

選択肢4. 障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援

不適切です。地域移行へ向けて職業準備訓練を受けることも今後考えられることではありますが、「約10年にわたって入院生活を送ってきた」とあることから、時期尚早です。

選択肢5. 後見開始の審判申立て支援

不適切です。事例の中からBさんの判断能力が不十分であるということは読み取ることはできません。

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06

事例で与えられた情報を基に、Bさんの今後の生活に関して、本人の希望や現状を踏まえた上で必要な支援を検討していきます。

選択肢1. 地域移行支援による退院支援

正解です。

Bさんへの支援でまず必要なことは、生活の拠点を長期間入院してきた病院から地域に移すことです。そのため、地域移行支援による退院支援が最優先と考えられます。

選択肢2. 地域定着支援による退院支援

不正解です。

地域定着支援とは、居宅において単身で生活している障害者等を対象に常時の連絡体制を確保し、緊急時には必要な支援を行うことなので、今回の事例では最優先とは言えません。

選択肢3. 公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援

不正解です。

公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援は、地域での生活にある程度移行してから検討するべきです。

選択肢4. 障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援

不正解です。

障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援は、地域での生活にある程度移行してから検討するべきです。

選択肢5. 後見開始の審判申立て支援

不正解です。

精神上の障害(認知症,知的障害,精神障害など)によって判断能力が欠けている人を保護するための手続です。事例のBさんには、現時点では必要ない支援と考えられます。

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07

正答:①

障害者総合支援法におけるサービスの内容や対象者を理解していれば、悩むことなく回答可能です。

選択肢1. 地域移行支援による退院支援

解答:〇

地域移行支援とは、入院中の精神障がい者などが退院する際に、住居の確保や在宅生活への移行に必要な支援や相談を行うサービスです。よって、本人のニーズに合致します。

選択肢2. 地域定着支援による退院支援

解答:×

地域定着支援とは、すでに居宅において単身で生活している障がい者等に対し、24時間連絡可能な体制の中で生活相談を行うサービスです。本ケースではまだ入院中の状況なので、対象外です。

選択肢3. 公共職業安定所(ハローワーク)を利用した求職活動の支援

解答:×

確かに本ケースでは「可能ならば就労したい」と本人も訴えています。ただし、それよりも加療が終了した状態にある本氏が退院して地域に戻れるようにする方が優先されています。よって、不適切と言えます。

選択肢4. 障害者就業・生活支援センターによる職業準備訓練を受けるための支援

解答:×

選択肢3と同様に、まずは住居の確保と生活の安定が優先となるため、不適切です。職業準備訓練を受けるための支援は、退院後の次の段階の支援となります。

選択肢5. 後見開始の審判申立て支援

解答:×

後見開始(成年後見制度の利用)は、判断能力が低下した者が対象です。本氏の場合、自ら今後の生活について意思決定できていることから、制度利用は現段階で不要です。

まとめ

社会福祉士としての実務にあたり、精神障がい者の入退院における支援は関わる機会が多いです。過去の事例問題を多くこなし、より、実用的な知識の定着に努めましょう。

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