社会福祉士の過去問
第35回(令和4年度)
障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問7

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問題

社会福祉士試験 第35回(令和4年度) 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 問7 (訂正依頼・報告はこちら)

「精神保健福祉法」に規定されている入院に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。
  • 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。
  • 応急入院では、精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察がなくても、72時間以内に限り入院させることができる。
  • 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。
  • 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は検察官の同意により入院させることができる。
  • 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限に基づき入院させることができる。

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この過去問の解説 (7件)

01

精神保健福祉法における入院については、都道府県から指定を受けている精神科病院における入院のことです。任意入院、医療保護入院、緊急措置入院、応急入院のそれぞれの要件について整理しておきましょう。

選択肢1. 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。

任意入院は本人の同意によって行われる入院です。入院は任意ですが本人から退院請求があっても精神保健指定医の診察の結果によっては、入院継続が必要となった場合には、72 時間を限度に退院を認めないことができます。

選択肢2. 応急入院では、精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察がなくても、72時間以内に限り入院させることができる。

応急入院は、本人・家族等の同意を得ることができなくても精神保健指定医が緊急入院の必要性を認めた場合72 時間を限度に行われる入院です。緊急やむを得ない場合は、精神保健指定医以外の医師の診察でも実施できます。しかしその場合は 12 時間に限られています。

選択肢3. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。

医療保護入院は、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる入院です。

選択肢4. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は検察官の同意により入院させることができる。

精神保健福祉法が規定する家族等の範囲は、精神障害者の配偶者、親権者、扶養義務者、後見人又は保佐人で、検察官は家族等に含まれません。

選択肢5. 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限に基づき入院させることができる。

措置入院は、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、都道府県知事の権限に基づき入院させる入院です。精神保健指定医が2人以上で診察を行って、意見が一致した場合に入院させることができます。

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02

精神保健福祉法における入院については、任意入院、措置入院、緊急措置入院、医療保護入院、応急入院の区別があります。それぞれの意義・要件を確認していきましょう。

選択肢1. 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。

適切ではありません。精神科病院の管理者は、任意入院者から退院の申出があった場合においては、退院させなければなりませんが、指定医による診察の結果、その任意入院者の医療及び保護のため入院を継続する必要があると認められたときは、72時間を限り、退院させないことができるとされています。

(精神保健福祉法21条2項・3項)

選択肢2. 応急入院では、精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察がなくても、72時間以内に限り入院させることができる。

適切ではありません。応急入院では、精神科病院の管理者は、医療及び保護の依頼があったものについて、急速を要し、その家族等の同意を得ることができない場合で、かつ精神保健指定医の診察の結果、精神障害者であり、直ちに入院させなければその者の医療及び保護を図る上で著しく支障がある者であって任意入院が行われる状態にないと判定されたものについて、本人の同意がなくても、72時間に限り、そのもの入院させることができるとされています。この精神保健指定医の診察は、緊急その他やむを得ない理由があるときは、特定医師(精神保健指定医以外であって一定の基準に該当する医師)に診察を行わせることができますが、この場合においては、12時間を限り、その者を入院させることができるとされています。

(精神保健福祉法33条の7第1・2項)

選択肢3. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。

適切です。記述の通りです。なお、令和4年の改正精神保健福祉法により、同意ができる「家族等」が以下の通り改められました。

「家族等」とは、配偶者、親権者、扶養義務者及び後見人又は保佐人で次に掲げる事項に該当しないものです。

① 行方の知れない者

② 精神障害者に対して訴訟をしている者又はした者並びにその配偶者及び直系血族

③ 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人

④ 精神障害者に対して、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」に規定する身体に対する暴力等を行った配偶者その他のその精神障害者の入院及び処遇についての意思表示を求めることが適切でない者として一定の基準で定められたもの

⑤ 心身の故障によりその精神障害者の入院及び処遇についての意思表示を適切に行うことができない者として一定のもの

⑥ 未成年者

なお、「家族等がいない場合」「家族等が同意の意思を表示できない場合」に、市町村長の同意による入院が認められていますが、令和6年4月より、「家族が同意・不同意の意思表示を行わない場合」にも市町村長の同意による入院が認められることになります。

(精神保健福祉法5条2項、33条1・2項)

選択肢4. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は検察官の同意により入院させることができる。

適切ではありません。医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、「本人に家族等がいない場合」「家族等が同意の意思を表示できない場合」「家族が同意・不同意の意思表示を行わない場合(令和6年4月より)」市町村長の同意により入院させることができます。

(精神保健福祉法33条2項)

選択肢5. 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限に基づき入院させることができる。

適切ではありません。措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、都道府県知事の権限に基づき入院させることができます。

(精神保健福祉法29条1項)

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03

正解は「医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。」です。

精神保健福祉法の入院については、任意入院措置入院緊急措置入院医療保護入院、応急入院があります。

選択肢1. 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。

❌ 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、72時間以内に限り退院を制限することができます。

選択肢2. 応急入院では、精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察がなくても、72時間以内に限り入院させることができる。

❌ 応急入院では、本人や家族の同意が無く精神保健指定医が必要性を認めた場合72時間以内に限り行われます。緊急やむを得ない場合は、精神保健指定医以外の医師の診察でも12時間以内に限り入院可能です。

選択肢3. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。

⭕️ 医療保護入院の適切な説明です。

選択肢4. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は検察官の同意により入院させることができる。

 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合市町村長の同意により入院させることができる。

選択肢5. 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限に基づき入院させることができる。

❌ 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合都道府県知事の権限に基づき入院させることができる。

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04

精神科病院における入院形態の特徴をそれぞれ把握しましょう。

名称と特徴が結びつきづらく、イメージがしにくいため、覚え方などを調べながら自分なりに覚えやすい方法で学習してくことをおすすめします。

選択肢1. 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。

解答:

精神保健指定医が入院継続の必要があると判断した場合には、72時間に限り隊員を制限することができます。

選択肢2. 応急入院では、精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察がなくても、72時間以内に限り入院させることができる。

解答:

精神保健指定医の診察による場合は、72時間の入院が可能です。

また、特定医師の診察による場合は、12時間に限られています。

選択肢3. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。

解答:

入院が必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうち、いずれかの者が同意すれば入院させることが可能です。

選択肢4. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は検察官の同意により入院させることができる。

解答:

精神保健福祉法に基づく家族等の同意のみ入院させることができます。

精神保健福祉法に基づく家族等…①配偶者、②親権を行う者、③扶養義務者(直系血族、兄弟姉妹または3親等内の親族で家庭裁判所が選任したもの)、④後見人または保佐人

選択肢5. 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限に基づき入院させることができる。

解答:

都道府県知事の権限に基づき、入院させることができます。

検察官が発見した場合は、すみやかに保険所長を通じて都道府県知事に通報しなければなりません。

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05

精神保健福祉法と入院との関係について各選択肢の内容を確認していきます。

選択肢1. 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。

不正解です。

任意入院では、精神保健指定医が入院継続の必要があると判断した場合には、72時間に限り退院を制限することができます。

選択肢2. 応急入院では、精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察がなくても、72時間以内に限り入院させることができる。

不正解です。

応急入院では、入院の必要があると判断されたものの、その家族等の同意を得ることができない場合には、精神保健指定医の診察により、72時間以内に限り、応急入院指定病院に入院させることができます。

また、精神保健指定医ではない特定医の診察でも12時間以内に限り入院させることができます。

選択肢3. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。

正解です。

選択肢の説明文の通りです。

選択肢4. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は検察官の同意により入院させることができる。

不正解です。

医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は市町村長の同意により入院させることができます。

選択肢5. 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限に基づき入院させることができる。

不正解です。

措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、都道府県知事の権限に基づき入院させることができます。

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06

正答:③

精神保健福祉法における入院に関する設問です。入院基準や入院の種類について覚えておくようにしましょう。

選択肢1. 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。

正答:×

任意入院で精神保健指定医が入院継続の必要があると判断した場合は、72時間に限り退院を制限することが可能です。

選択肢2. 応急入院では、精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察がなくても、72時間以内に限り入院させることができる。

正答:×

応急入院は、入院の必要があるが家族等の同意を得ることができない場合は、精神保健指定医の診察により、72時間以内に限り、応急入院指定病院に入院させることができる仕組みです。精神保健指定医ではない特定医の診察でも12時間以内に限り入院させることができます。

選択肢3. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。

正答:〇

設問の通りです。

選択肢4. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は検察官の同意により入院させることができる。

正答:×

医療保護入院において、本人の同意がなく家族等がいない場合は、市町村長の同意により入院させることが可能になります。

選択肢5. 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限に基づき入院させることができる。

正答:×

措置入院においては、本人に自傷他害の恐れがあると認められた場合は都道府県知事の権限に基づいて入院させることが可能です。

まとめ

精神保健福祉法における入院については、「任意入院」「応急入院」「医療保護入院」「措置入院」の4形態の違いをしっかり理解しておきましょう。

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07

精神保健福祉法に規定されている「任意入院」「応急入院」「医療保護入院」「措置入院」に関する問題はよく出てきます。誰の同意や権限で入院させることができるのか、判断する医師は誰かといった特徴を確認しておくようにしましょう。

選択肢1. 任意入院では、入院者から退院の申出があった場合、精神保健指定医の診察により、24時間以内に限り退院を制限することができる。

不適切です。任意入院では、24時間以内ではなく72時間以内に限り退院を制限することができます。

選択肢2. 応急入院では、精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察がなくても、72時間以内に限り入院させることができる。

不適切です。精神保健指定の診察が必要です。

選択肢3. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、家族等のうちいずれかの者の同意に基づき入院させることができる。

適切です。家族等がいない場合は、市町村長の同意に基づき入院させることもできます。

選択肢4. 医療保護入院では、精神保健指定医の診察の結果、必要と認められれば、本人の同意がなくても、本人に家族等がいない場合は検察官の同意により入院させることができる。

不適切です。検察官の同意では入院させることができません。市町村長の同意により入院させることはできます。

選択肢5. 措置入院では、本人に自傷他害のおそれがあると認めた場合、警察署長の権限に基づき入院させることができる。

不適切です。警察署長ではなく、都道府県知事の権限に基づき入院させることができます。

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