社会福祉士 過去問
第36回(令和5年度)
問22 (現代社会と福祉 問1)

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問題

社会福祉士試験 第36回(令和5年度) 問22(現代社会と福祉 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

福祉における政府と民間の役割に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 平行棒理論とは、救済に値する貧民は救貧行政が扱い、救済に値しない貧民は民間慈善事業が扱うべきだとする考え方を指す。
  • 繰り出し梯子(はしご)理論とは、ナショナルミニマムが保障された社会では、民間慈善事業が不要になるとの考え方を指す。
  • 社会市場のもとでは、ニーズと資源との調整は、価格メカニズムにより行われ、そこに政府が関与することはない。
  • 準市場のもとでは、サービスの供給に当たり、競争や選択の要素を取り入れつつ、人々の購買力の違いによる不平等を緩和するための施策が講じられることがある。
  • ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)とは、福祉サービスの供給に参入した民間企業の経営効率化のために、その経営に行政職員を参画させる取組を指す。

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この過去問の解説 (3件)

01

福祉における政府と民間の役割については、さまざまな理論があります。それぞれの理論の考え方について整理しておきましょう。

選択肢1. 平行棒理論とは、救済に値する貧民は救貧行政が扱い、救済に値しない貧民は民間慈善事業が扱うべきだとする考え方を指す。

平行棒理論では、救済に値する貧民は民間慈善事業が担当し、そうでない貧民は行政が担当するとされています。

選択肢2. 繰り出し梯子(はしご)理論とは、ナショナルミニマムが保障された社会では、民間慈善事業が不要になるとの考え方を指す。

繰り出し梯子理論は、最低限度の保障は国家が行い、それ以上は民間が担当するという考え方です。

選択肢3. 社会市場のもとでは、ニーズと資源との調整は、価格メカニズムにより行われ、そこに政府が関与することはない。

自由市場では需要と供給によって価格が決まりますが、政府が誘導を行う場合もあります。

選択肢4. 準市場のもとでは、サービスの供給に当たり、競争や選択の要素を取り入れつつ、人々の購買力の違いによる不平等を緩和するための施策が講じられることがある。

準市場は、公共サービスに市場メカニズムを部分的に取り入れた仕組みで、介護保険サービスがその例です。

選択肢5. ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)とは、福祉サービスの供給に参入した民間企業の経営効率化のために、その経営に行政職員を参画させる取組を指す。

ニュー・パブリック・マネジメントは、民間経営手法を行政に導入して効率化を図るものです。

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02

福祉における政府と民間の役割について、選択肢の内容を理解するとともに、理論が生まれた時期や提唱した人物もおさえておきましょう。

選択肢1. 平行棒理論とは、救済に値する貧民は救貧行政が扱い、救済に値しない貧民は民間慈善事業が扱うべきだとする考え方を指す。

不適切です。救済に値する貧民は民間慈善事業が扱い、救済に値しない貧民は行政が扱うとする考え方です。

選択肢2. 繰り出し梯子(はしご)理論とは、ナショナルミニマムが保障された社会では、民間慈善事業が不要になるとの考え方を指す。

不適切です。民間慈善事業は「不要」ではなく、「必要」です。

選択肢3. 社会市場のもとでは、ニーズと資源との調整は、価格メカニズムにより行われ、そこに政府が関与することはない。

不適切です。政府が関与することがあります。

選択肢4. 準市場のもとでは、サービスの供給に当たり、競争や選択の要素を取り入れつつ、人々の購買力の違いによる不平等を緩和するための施策が講じられることがある。

適切です。記述の通りです。

選択肢5. ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)とは、福祉サービスの供給に参入した民間企業の経営効率化のために、その経営に行政職員を参画させる取組を指す。

不適切です。ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)とは、民間の経営手法などを公共部門に導入し、サービスの向上を図ることです。

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03

各理論名(例:準市場、NPM、繰り出し梯子理論など)に、よく出るキーワードや背景を結びつけて記憶しておくと正誤判断がしやすくなります。

選択肢1. 平行棒理論とは、救済に値する貧民は救貧行政が扱い、救済に値しない貧民は民間慈善事業が扱うべきだとする考え方を指す。

これは平行棒理論の説明として逆です。

選択肢2. 繰り出し梯子(はしご)理論とは、ナショナルミニマムが保障された社会では、民間慈善事業が不要になるとの考え方を指す。

繰り出し梯子理論とは、「まず民間が支援を行い、それでも対応できない場合に公的支援が出てくる」という段階的支援の考え方です。

よって、「ナショナルミニマムの保証=民間が不要になる」というのは逆の理解になります

選択肢3. 社会市場のもとでは、ニーズと資源との調整は、価格メカニズムにより行われ、そこに政府が関与することはない。

社会市場経済とは、「市場経済の自由競争を基本としつつ、政府が福祉や公正を補完する」体制です。

つまり、政府が関与しないのではなく、 市場原理だけでは不平等になる部分を 公的支援で補うのが本来の定義です。

選択肢4. 準市場のもとでは、サービスの供給に当たり、競争や選択の要素を取り入れつつ、人々の購買力の違いによる不平等を緩和するための施策が講じられることがある。

準市場とは、市場のように競争や選択を導入しつつ、利用者の購買力に依存しないように、バウチャー制度や公的補助で平等性を確保する仕組みです。

選択肢5. ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)とは、福祉サービスの供給に参入した民間企業の経営効率化のために、その経営に行政職員を参画させる取組を指す。

NPMのポイントは「行政が民間の経営手法を取り入れる」ことです。

本選択肢では「民間企業に行政職員が入る」となっており、方向性が逆です。

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