社会保険労務士の過去問
第45回(平成25年度)
社労士 | 社会保険労務士試験 択一式 問2
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問題
社労士試験 第45回(平成25年度) 択一式 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
健康保険法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 標準報酬月額560,000円の被保険者( 50歳 )の被扶養者( 45歳 )が、同一の月における入院療養(食事療養及び生活療養を除き、同一の医療機関における入院である。)に係る1か月の一部負担金の額として210,000円を支払った場合、高額療養費算定基準額は84,430円である。なお、当該世帯は、入院療養があった月以前12か月以内に高額療養費の支給を受けたことはない。
- 傷病手当金を受けていた者が、被保険者期間が6か月経過したときに退職せざるを得なくなった場合、たとえ当該被保険者期間の前に、1日の空白もなく継続した6か月以上の他の保険者における被保険者期間があったとしても、資格喪失後の傷病手当金は受けられない。なお、これらの被保険者期間には、任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者の期間は含まれない。
- 短時間就労者の資格の取扱いについて、常用的使用関係にあるか否かは、当該就労者の労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等を総合的に勘案して認定すべきものであるが、この場合、1日又は1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が、当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数のおおむね2分の1以上である就労者については、原則として被保険者として取り扱うものである。
- 前月から引き続き被保険者であり、12月10日にその年度で初めての賞与として30万円を支給された者が、同月20日に退職した場合、事業主は当該賞与に係る保険料を納付する義務はない。
- 育児休業等終了時の標準報酬月額の改定は、標準報酬月額に2等級以上の差が生じていなくても行うことができるが、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3か月間のいずれかの月に報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月がある場合は、当該改定を行うことができない。
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この過去問の解説 (3件)
01
1.誤り
平成27年1月1日以降の計算式ですと、医療費の額が「210,000÷0.3=700,000」となります。これを計算式に当てはめると、「167,400+(700,000-558,000)×1%=168,820円」となります。
なお、出題当時の計算式では、「150,000+(700,000-500,000)×1%=152,000円」となるので、いずれにしても誤りになります。
2.誤り
設問の者の場合は被保険者期間が累計で1年以上になるため、継続して傷病手当金が支給されます。
3.誤り
「2分の1」ではなく「4分の3」となります。
4.正しい
設問の通りとなります。なお、賞与の累計額には今回の30万円が含まれてしまいます。
5.誤り
17日未満の月があっても改定は行われます。「17日以上の月」でなければならないのは「随時改定」だけです。
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02
1 間違っています。
高額療養費については、健康保険法第115条1項が「療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養(食事療養及び生活療養を除く。次項において同じ。)に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額(次条第一項において「一部負担金等の額」という。)が著しく高額であるときは、その療養の給付又はその保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し、高額療養費を支給する。」と定めています。
それを受け、健康保険法施行令第42条1項によって、高額療養費算定基準額が算定されます。本件では、「療養のあった月の標準報酬月額が五十三万円以上八十三万円未満の被保険者又はその被扶養者」として、「十六万七千四百円と、前条第一項第一号及び第二号に掲げる額を合算した額に係る療養につき厚生労働省令で定めるところにより算定した当該療養に要した費用の額(その額が五十五万八千円に満たないときは、五十五万八千円)から五十五万八千円を控除した額に百分の一を乗じて得た額(この額に一円未満の端数がある場合において、その端数金額が五十銭未満であるときは、これを切り捨て、その端数金額が五十銭以上であるときは、これを一円に切り上げた額)との合算額。ただし、高額療養費多数回該当の場合にあっては、九万三千円とする。」の計算方式です。
この結果、168,820円となりますが、設問試験当時の試算では、152,000円となるようです。
2 間違っています。
傷病手当金の継続給付について、健康保険法第104条は、「被保険者の資格を喪失した日(任意継続被保険者の資格を喪失した者にあっては、その資格を取得した日)の前日まで引き続き一年以上被保険者(任意継続被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者(第百六条において「一年以上被保険者であった者」という。)であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。」と定めているところです。
設問の事例は、本条の要件を満たし、傷病手当金を継続して受給できます。
3 間違っています。
短時間労働者の健康保険法の適用に関しては、厚生省保険局保険課長、社会保険庁医療保険部健康保険課長及び同部厚生年金課長の連名による都道府県民生主管部(局)保健課(部)長宛て昭和55年6月6日付け内かんが、「健康保険及び厚生年金保険が適用されるべきか否かは、当該就労者が当該事業所と常用使用関係にあるかどうかにより判断すべきもの」として、具体的には、所定労働時間及び所定労働日数が、通常の就労者のおおむね4分の3以上」である場合に、常用的使用関係にあるという解釈を示していました。
なお、平成24年の健康保険法の一部改正によって、第3条1項、以下の号を追加することになり、平成28年10月1日から施行されている(同法附則1条5号)。
事業所に使用される者であって、その一週間の所定労働時間が同一の事業所に使用される短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律 (平成五年法律第七十六号)第二条 に規定する通常の労働者(以下この号において「通常の労働者」という。)の一週間の所定労働時間の四分の三未満である同条 に規定する短時間労働者(以下この号において「短時間労働者」という。)又はその一月間の所定労働日数が同一の事業所に使用される通常の労働者の一月間の所定労働日数の四分の三未満である短時間労働者に該当し、かつ、イからニまでのいずれかの要件に該当するもの
イ 一週間の所定労働時間が二十時間未満であること。
ロ 当該事業所に継続して一年以上使用されることが見込まれないこと。
ハ 報酬について、厚生労働省令で定めるところにより、第四十二条第一項の規定の例により算定した額が、八万八千円未満であること。
ニ 学校教育法第五十条に規定する高等学校の生徒、同法第八十三条 に規定する大学の学生その他の厚生労働省令で定める者であること。
4 正しい内容です。
被保険者の保険料額について定める健康保険法第156条は、第3項において、「前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない。」としているとおりです。
5 間違っています。
育児休業等を終了した際の改定について、健康保険法第43条の2第1項は、「育児休業等を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日において当該育児休業等に係る三歳に満たない子を養育する場合において、育児休業等終了日の翌日が属する月以後三月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。」と定めています。
したがって、報酬支払の基礎となった日数が17日未満の場合、その月を除外して、改定することになります。
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03
1.誤「84,430円」
正「168,820円」(平成27年1月以降)「152,000円」(試験施行当時)
健康保険法(以下「法」と略します)115条について高額療養費の支給の規定があり、支給額を決めるにあたっての高額療養費算定基準額の具体的な計算法は健康保険法施行令42条1項3号で決められていますね。
医療費の総額は、210,000(自己負担額)÷0.3(45歳の自己負担割合)=700,000円であり、高額療養費の算定基準額は、標準報酬月額560,000円であることから、167,400+(医療費総額-558,000)×1%の算式で求められ、これは84,430円でなく168,820円となりますね。
なお、これは平成27年1月から適用されるケースでの計算です。
試験施行当時の計算法では、150,000+(医療費総額-500,000)×1%の算式で求められますが、これも84,430円でなく152,000円となりますね。
2.誤「受けられない」
正「受けられる」
法104条の規定を引用すると「被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であった者(であって、その資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の支給を受けているものは、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者からその給付を受けることができる。」とあります。
選択肢では、「傷病手当金を受けていた者が、被保険者期間が6か月経過したときに退職」「当該被保険者期間の前に、1日の空白もなく継続した6か月以上の他の保険者における被保険者期間があった」とありますので、法104条の条件を満たし、傷病手当金を受けられますね。
3.誤「2分の1以上」
正「4分の3以上」
昭和55年6月6日各都道府県民正主管部(局)保険課(部)長宛内翰にて、短時間労働者の所定労働時間・所定労働日数が、通常の就労者の概ね4分の3以上である場合、被保険者として取り扱うとされていることに気をつけましょう。
4.法156条3項 において、「前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない」とありますね。
従って、12月20日に退職した場合、その月の賞与に係る健康保険料は納付する義務はないことになります。
5.誤「当該改定を行うことができない」
正「その月を除き、当該改定を行う」
法43条の2第1項 には、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定が規定されていますね。
その中で「育児休業等終了日の翌日が属する月以後3 月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。」とあります。
「報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月がある場合」は改定できないのではなく、その月を除いて改定するのが正解と言えます。
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