問題
なお、本問において「対象疾病」とは、「認定基準で対象とする疾病」のことである。
①対象疾病を発病していること。
②対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。
③業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。
解説は以下のとおりです。
【正誤】正しい記述です。
【根拠条文等】平成23年12月26日基発1226第1号別添第2
【ポイント・考え方】
業務による強い心理的負荷が認められる時期が、発病前のおおむね「6か月」の間である点を理解しておきましょう。
その他の要件①・③については、特に疑問を挟む余地はないかと思います。
【学習・実務でのワンポイント】
通知・通達からの設問に関しては、一般的・常識的な判断・推察から正誤を判断可能なものが少なくないので、本設問文も②の6か月を除けば、正しいものとの仮説を立てておくことでよいと筆者は考えています。
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】平成23年12月26日基発1226第1号別添第3
【ポイント・考え方】
設問文における「主観的にどう受け止めたか」は、「同種の労働者が一般的に受け止めたか」が正しいです。
精神障害を「認定」するにあたっては、「基準」がより客観的で他の人でも認識・判断しうるものとすることで、人による不公平感を排除するねらいがある、と理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
設問文1.のワンポイントと同様、通知・通達からの設問は一般的・常識的な判断・推察から正誤を判断可能なものが多く、本設問文も「基準」≒客観的な要件が備わっているべき、が意識できていれば、誤りであるとの仮説を立てられるかと考えます。
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】平成23年12月26日基発1226第1号別添第4の2
【ポイント・考え方】
心理的負荷の強度は「強」「中」「弱」の3段階に区分されています。
一般的にこのような区分けは、2段階では少なすぎ、少なくとも3段階はあると理解しておくとよいでしょう。
【学習・実務でのワンポイント】
本設問文も、上記考え方より、誤りであるとの仮説を立てられるかと考えます。
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】平成23年12月26日基発1226第1号別表1
【ポイント・考え方】
設問文の場合、直前の「1か月間」であれば「120時間」ではなく「160時間」が正しいです。
この基準は知識問題レベルと筆者は考えており、いったん正誤判断を保留にして、他の設問文の正誤を先に確認することでよいと考えます。
【学習・実務でのワンポイント】
なお、対象の認定基準ではこの他に、発病前「2か月間」に連続して1か月あたり「120時間」以上の時間外労働をした場合、または発病前「3か月間」に連続して1か月あたり「100時間」以上の時間外労働をした場合にも、心理的負荷の総合評価が「強」となっています。
この点でも、本設問文は正誤判断に迷ってもしかたがないと思われ、他の設問文の正誤確認を先に行うことを推奨するものです。
【正誤】誤った記述です。
【根拠条文等】平成23年12月26日基発1226第1号別添第4の2
【ポイント・考え方】
出来事が発病の6か月よりも前に開始されていた場合に、設問文のように、発病前6か月以内の行為のみを評価の対象とすることは、意図的に事態を矮小化していると疑われてもしかたがないレベルの行為であり、不適切であることは通常の感性であれば容易に判断しうると考えます。
【学習・実務でのワンポイント】
本設問文のような、一般常識で容易に正誤の判断がつく設問はぜひ正答しましょう。