社会保険労務士の過去問
第50回(平成30年度)
労働者災害補償保険法 問2

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問題

社労士試験 第50回(平成30年度) 択一式 労働者災害補償保険法 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

業務災害に係る保険給付に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年を経過した日において次の1、2のいずれにも該当するとき、又は同日後次の1、2のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。
        ① 当該負傷又は疾病が治っていないこと。
        ②当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。
  • 介護補償給付は、障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由となる障害であって厚生労働省令で定める程度のものにより、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間、当該労働者に対し、その請求に基づいて行われるものであり、病院又は診療所に入院している間も行われる。
  • 介護補償給付は、月を単位として支給するものとし、その月額は、常時又は随時介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める額とする。
  • 療養補償給付としての療養の給付の範囲には、病院又は診療所における療養に伴う世話その他の看護のうち、政府が必要と認めるものは含まれるが、居宅における療養に伴う世話その他の看護が含まれることはない。
  • 療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、①労働者の氏名、生年月日及び住所、②事業の名称及び事業場の所在地、③負傷又は発病の年月日、④災害の原因及び発生状況、⑤傷病名及び療養の内容、⑥療養に要した費用の額、⑦療養の給付を受けなかった理由を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならないが、そのうち③及び⑥について事業主の証明を受けなければならない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:3

1:誤
傷病補償年金は、療養の開始後「1年を経過した日」ではなく「1年6か月を経過した日」における対象労働者の状態で支給の有無が決まります。

2:誤
介護補償給付は、以下に該当する場合は支給対象になりません。
①障害者支援施設に入所している間(生活介護を受けている場合に限る)
②障害者支援施設に準ずる施設として厚生労働大臣が定めるものに入所している間
③病院又は診療所に入院している間
設問は③に該当するため、誤りです。

3:正
介護補償給付は設問のとおり、月を単位として、その対象月に発生した介護費用の額が実費支給されます。
ただし、常時介護を要する場合は105,290円、随時介護を要する場合は52,650円が上限として設定されています。

4:誤
療養の給付の範囲は以下のように定められています。
①診察
②薬剤又は治療材料の支給
③処置、手術その他の治療
④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
⑥移送
従って設問の「居宅における療養に伴う世話その他の看護が含まれることはない」は誤りです。

5:誤
設問の③と④は事業主の証明が必要ですが、⑤と⑥は診療担当者の証明が必要です。

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02

正解は3です。
1.誤り
設問中の「療養の開始後1年を経過した日」は、正しくは「療養の開始後1年6箇月を経過した日」となります。(法12条の8,3項)
2.誤り
介護補償給付は、病院又は診療所に入院している間は行われません。
(法12条の8,4項)
3.正しい
介護補償給付は、月を単位として支給するものとし、月額は常時又は随時介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める額とされています。(法19条の2)
4.誤り
居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護は、療養補償給付としての療養の給付の範囲に含まれます。(法13条2項4号)
5.誤り
設問文中のうち、事業主の証明を受けなければならないのは、「③負傷または発病の年月日」及び「④災害の原因及び発生状況」であり、「⑤傷病名及び療養の内容」及び「⑥療養に要した費用の額」については診療担当者の証明を受けなければなりません。(則12条の2,1項、2項)

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03

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかった労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後1年を経過した日において次の1、2のいずれにも該当するとき、又は同日後次の1、2のいずれにも該当することとなったときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。
    ① 当該負傷又は疾病が治っていないこと。
    ②当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】労働者災害補償保険法第12条の8第3項

【ポイント・考え方】

 傷病補償年金は、療養の開始後「1年6か月」を経過した日に設問文の①・②に該当する場合に支給されます。

 この「1年6か月」は覚えてしまいましょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 傷病補償年金は、簡単にいうと、負傷・疾病が治っていないことがその支給要件であり、治っていないこと(病状が固定的になった場合は、傷病補償年金ではなく障害補償年金に移行されます)を判断するために、1年6か月という期間が必要となっている、と理解しておくとよいでしょう。

選択肢2. 介護補償給付は、障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由となる障害であって厚生労働省令で定める程度のものにより、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間、当該労働者に対し、その請求に基づいて行われるものであり、病院又は診療所に入院している間も行われる。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】労働者災害補償保険法第12条の8第4項

【ポイント・考え方】

 介護補償給付は、簡単に言うと、当該労働者の親族等から直接介護を受けている場合に、その介護対応・支出に対して支給される性質のものであるため、病院又は診療所に「入院」している場合は、当該施設において十分なサービスが提供されているものと捉えられ、支給されないものである点を、理解しておくとよいでしょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 保険給付の要件については、現物給付と現金給付とを分けて整理し理解するようにしておくとよいでしょう。

選択肢3. 介護補償給付は、月を単位として支給するものとし、その月額は、常時又は随時介護を受ける場合に通常要する費用を考慮して厚生労働大臣が定める額とする。

【正誤】正しい記述です。

【根拠条文等】労働者災害補償保険法第19条の2

【ポイント・考え方】

 介護補償給付は、継続的に介護を要する場合に、実際に支出したものに対して支給されるもの(現金給付)であり、月を単位として請求・支給することで、受給者の金銭的負担を大きくしないようにしていると理解しておくとよいでしょう。

【学習・実務でのワンポイント】

 保険給付の要件については、現物給付と現金給付とを分けて整理し理解するようにしておくとよいでしょう。

選択肢4. 療養補償給付としての療養の給付の範囲には、病院又は診療所における療養に伴う世話その他の看護のうち、政府が必要と認めるものは含まれるが、居宅における療養に伴う世話その他の看護が含まれることはない。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】労働者災害補償保険法13条2項

【ポイント・考え方】

 居宅における療養に伴う世話その他の看護であっても、政府が必要と認められるものは給付の範囲に含まれます。

【学習・実務でのワンポイント】

 本筋ではない考え方ですが、設問文において「~となることはない」と例外を認めないような記述があった場合には、反例を1つでも見つけるか、なんとなく違和感を感じた場合には、いったん誤った記述だと判断して他の設問文の正誤を確認することでよいと筆者は考えています。

選択肢5. 療養補償給付たる療養の費用の支給を受けようとする者は、①労働者の氏名、生年月日及び住所、②事業の名称及び事業場の所在地、③負傷又は発病の年月日、④災害の原因及び発生状況、⑤傷病名及び療養の内容、⑥療養に要した費用の額、⑦療養の給付を受けなかった理由を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならないが、そのうち③及び⑥について事業主の証明を受けなければならない。

【正誤】誤った記述です。

【根拠条文等】労働者災害補償保険法13条, 労働者災害補償保険法施行規則12条の2

【ポイント・考え方】

 事業主の証明が必要なのは、設問文のうち③・④です。

 ⑥については、医師等診療を担当した人が証明する(できる)事項です。

【学習・実務でのワンポイント】

 療養の費用の支給を受ける場合とは、簡単に言うと、労災指定病院以外の医療機関を受診した場合に、

当該治療費等をいったん罹災者が負担し、後からその費用を還付してもらう場合です。

 この場合に、上記の各種文書の提出が必要となる点を、理解しておきましょう。

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