社会保険労務士の過去問
第50回(平成30年度)
労務管理その他の労働に関する一般常識 問3
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問題
社労士試験 第50回(平成30年度) 択一式 労務管理その他の労働に関する一般常識 問3 (訂正依頼・報告はこちら)
労働契約法等に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。
ア いわゆる採用内定の制度は、多くの企業でその実態が類似しているため、いわゆる新卒学生に対する採用内定の法的性質については、当該企業における採用内定の事実関係にかかわらず、新卒学生の就労の始期を大学卒業直後とし、それまでの間、内定企業の作成した誓約書に記載されている採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立しているものとするのが、最高裁判所の判例である。
イ 使用者は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、安全配慮義務を負う。
ウ 就業規則の変更による労働条件の変更が労働者の不利益となるため、労働者が、当該変更によって労働契約の内容である労働条件が変更後の就業規則に定めるところによるものとはされないことを主張した場合、就業規則の変更が労働契約法第10条本文の「合理的」なものであるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負う。
エ 「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことをもって足り、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていない場合でも、労働基準法に定める罰則の対象となるのは格別、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずることに変わりはない。」とするのが、最高裁
判所の判例である。
オ 労働契約法第18条第1項の「同一の使用者」は、労働契約を締結する法律上の主体が同一であることをいうものであり、したがって、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断される。
ア いわゆる採用内定の制度は、多くの企業でその実態が類似しているため、いわゆる新卒学生に対する採用内定の法的性質については、当該企業における採用内定の事実関係にかかわらず、新卒学生の就労の始期を大学卒業直後とし、それまでの間、内定企業の作成した誓約書に記載されている採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約が成立しているものとするのが、最高裁判所の判例である。
イ 使用者は、労働契約に特段の根拠規定がなくとも、労働契約上の付随的義務として当然に、安全配慮義務を負う。
ウ 就業規則の変更による労働条件の変更が労働者の不利益となるため、労働者が、当該変更によって労働契約の内容である労働条件が変更後の就業規則に定めるところによるものとはされないことを主張した場合、就業規則の変更が労働契約法第10条本文の「合理的」なものであるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負う。
エ 「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことをもって足り、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていない場合でも、労働基準法に定める罰則の対象となるのは格別、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずることに変わりはない。」とするのが、最高裁
判所の判例である。
オ 労働契約法第18条第1項の「同一の使用者」は、労働契約を締結する法律上の主体が同一であることをいうものであり、したがって、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断される。
- アとウ
- イとエ
- ウとオ
- アとエ
- イとオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア.誤り
「いわゆる採用内定の制度は、従来わが国において広く行われているところであるが、その実態は多様であるため、採用内定の法的性質について一義的に論断することは困難というべきである。」としており、「採用内定の法的性質を判断するにあたっては、当該企業の当該年度における採用内定の事実関係に即してこれを検討する必要がある」としています。(最二小昭54.7.20大日本印刷事件)
イ.正しい
使用者は、労働契約上の付随的義務として当然に、安全配慮義務を負います。(労契法5条、平24.8.10基発0810第2号)
ウ.正しい
設問の通り、就業規則の変更が労働契約法第10条本文の「合理的」なものであるという評価を基礎付ける事実についての主張立証責任は、使用者側が負います。(労契法10条、平24.8.10基発0810第2号)
エ.誤り
「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要するものというべきである。」としています。
(最二小平15.10.10フジ興産事件)
オ.正しい
労働契約法第18条第1項の「同一の労働者」は、事業場単位ではなく、労働契約締結の法律上の主体が法人であれば法人単位で、個人事業主であれば当該個人事業主単位で判断されます。(労契法18条1項、平24.8.10基発0810第2号)
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02
ア:誤
大日本印刷事件の最高裁判所判例です(昭和54年7月20日)。
採用内定制度は「類似している」のではなく「多様である」ため、採用内定の事実関係や具体的事案についてその法的性質を検討する必要があるとされています。
イ:正
使用者は労働契約に伴い、労働者が生命・身体等の安全を確保して働けるよう配慮する義務があります。
ウ:正
就業規則の変更内容が合理的であるという立証責任は、作成した使用者側が負います。
原則として、労働者との合意なしで就業規則を変更し、労働者の不利益になるような労働条件の変更はできません。
ただし、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ次の①~④に照らして合理的だと判断された場合は、労働者の合意なしで就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働条件を変更することも可能です。
①労働者の受ける不利益の程度
②労働条件の変更の必要性
③変更後の就業規則の内容の相当性
④労働組合等との交渉の状況
エ:誤
フジ興産事件の最高裁判所判例です(平成15年10月10日)。
就業規則の拘束力は、労働者に周知させることで初めて生じます。
オ:正
設問の通り、「同一の使用者」とは法人単位もしくは個人事業主単位で判断されます。
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03
正解は、4のアとエ です。
ア 間違いです。
採用内定の問題ですが
法的な性質から、事実関係に基づいてになります。
「事実関係にかかわらず」との表現は、不適切です。
イ 正解です。
労働契約法5条の、労働者の安全への配慮
「労働契約に特段の根拠規定がなくても
当然に安全配慮義務を負います」
となっています。基本の論点です。
ウ 正解です。
就業規則の変更が「合理的」なものでない場合は
「合理的」なものであるという事を
使用者に立証する責任があります。
労働契約法10条
エ 間違い
周知する手続きは必要です。
周知していないと、労働者は知ることが出来ませんので
就業規則の効力の発生は、周知が必要です。
オ 正解です。
労働契約法18条の有期労働契約の期間の定めのない契約への
転換の条文です。
同一の使用者とは、法人であれば法人単位ですし
個人であれば個人事業主単位になります。
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