社会保険労務士の過去問
第52回(令和2年度)
労務管理その他の労働に関する一般常識 問4
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問題
社労士試験 第52回(令和2年度) 択一式 労務管理その他の労働に関する一般常識 問4 (訂正依頼・報告はこちら)
労働組合法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 労働組合が、使用者から最小限の広さの事務所の供与を受けていても、労働組合法上の労働組合の要件に該当するとともに、使用者の支配介入として禁止される行為には該当しない。
- 「労働組合の規約により組合員の納付すべき組合費が月を単位として月額で定められている場合には、組合員が月の途中で組合から脱退したときは、特別の規定又は慣行等のない限り、その月の組合費の納付につき、脱退した日までの分を日割計算によつて納付すれば足りると解すべきである。」とするのが、最高裁判所の判例である。
- 労働組合の規約には、組合員又は組合員の直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票の過半数による決定を経なければ、同盟罷業を開始しないこととする規定を含まなければならない。
- 「ユニオン・ショップ協定によって、労働者に対し、解雇の威嚇の下に特定の労働組合への加入を強制することは、それが労働者の組合選択の自由及び他の労働組合の団結権を侵害する場合には許されないものというべきである」から、「ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、右の観点からして、民法90条の規定により、これを無効と解すべきである(憲法28条参照)。」とするのが、最高裁判所の判例である。
- いわゆるロックアウト(作業所閉鎖)は、個々の具体的な労働争議における労使間の交渉態度、経過、組合側の争議行為の態様、それによって使用者側の受ける打撃の程度等に関する具体的諸事情に照らし、衡平の見地からみて労働者側の争議行為に対する対抗防衛手段として相当と認められる場合には、使用者の正当な争議行為として是認され、使用者は、いわゆるロックアウト(作業所閉鎖)が正当な争議行為として是認される場合には、その期間中における対象労働者に対する個別的労働契約上の賃金支払義務を免れるとするのが、最高裁判所の判例である。
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この過去問の解説 (3件)
01
設問のとおりです。
なお、「最小限の広さの事務所の供与」とは、社会通念上必要最小限度の広さと考えられる事務所の供与のことをいいます。
2.誤
「労働組合の組合費が月を単位として月額で定められている場合には、月の途中で脱退した組合員は、特別の規定又は慣行等のない限り、その月の組合費の全額を納付する義務を免れない。」とするのが、最高裁判所の判例です。
3.正
設問のとおりです。
なお、労働組合は、労働委員会に証拠を提出して労働組合法2条及び同法5条2項(労働組合の規約には、所定の規定を含まなければならない。)の規定に適合することを立証しなければ、この法律に規定する手続に参与する資格を有せず、かつ、この法律に規定する救済を与えられません。
4.正
設問のとおりです。
「ユニオン・ショップ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが他の労働組合に加入し又は新たな労働組合を結成した者について使用者の解雇義務を定める部分は、民法90条により無効である。」とするのが、最高裁判所の判例です。
5.正
時限ストライキ等の争議行為のため受注を返上せざるを得なくなったことなどにより損害を被った生コンクリート製造販売業者のしたロックアウトについて、「上記ロックアウトは、衡平の見地からみて、上記争議行為に対する対抗防衛手段として相当であり、使用者の正当な争議行為と認められる。」と判示しました。
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02
設問の通りです。
労働組合の運営のために、経理上の援助を使用者が与えることは支配介入に該当し、不当労働行為として禁止されますが、使用者から最小限の広さの事務所の供与を受けることはこれに該当しません。
2.誤
最高裁判所の判例では、「労働組合の組合費が月を単位として月額で定められている場合には、月の途中で脱退した組合員は、特別の規定又は慣行等のないかぎり、その月の組合費の全額を納付する義務を免れない。」とされています。
従って、「脱退した日までの分を日割計算によつて納付すれば足りる」という部分が誤りです。
3.正
設問の通りです。
労働組合法第5条第2項第8号にその規定があります。
同盟罷業を行う労働者は、自身の要求を貫徹するために集団的に労務提供義務の履行を拒否することにより使用者に対して経済的圧力をかけるわけですが、同時に労働者にとっても賃金を失うなどの損害が生じます。
また、当該同盟罷業を行うことによって、企業の不振を招いて使用者及び労働者自身にも重大な損失を招く結果に終る危険性あります。
このように同盟罷業を行うかどうかは重大な判断を要する事項であり、組合幹部や一部の少数者の独断によつて決すべきものではなく、組合員の自由に表明された多数意思によって決定されるべきものであるという主旨がその背景にあります。
4.正
設問の通りです。
5.正
設問の通りです。
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03
労働組合は、その組織率が年々低下しており、なかなかなじみがなくなって(少なくなって)きている分野ではあるかと思いますが、基本的な事柄を学習しておくことで、正誤判断の面では比較的容易な部分があると考えます。
ごく基本的な事項を押さえておくとよいでしょう。
正しい記述です。
このまま理解しておきましょう。
「最小限/最低限」の使用者からの便宜は、労働組合への介入と判断されないようになっている点を理解しておくとよいでしょう。
誤った記述です。
本設問文の場合には、規約にて「月を単位として月額で定められている」ため、これを原則とする(=日割計算によって納付すれば足りると解すべきでない)と判断が可能だと考えます。
正しい記述です。
同盟罷業(ストライキ)は、労働条件改善のために法律上認められた行為であるものの、実施した場合にはノーワーク・ノーペイの原則から給与は支払われないため、これをよしとしない労働組合員との整合、それぞれの立場の尊重、対立意見の直接衝突回避、等々の観点から、「直接無記名投票」「過半数による決定」が規定されているものと理解しておくとよいでしょう。
正しい記述です。
設問文が長く一読して意味をとらえづらいかもしれませんが、落ち着いて読み解くことで至極もっともな判例であると判断ができるかと考えます。
「労働者は加入する労働組合を選択する自由がある」点を理解しておくとよいでしょう。
正しい記述です。
「労働者側に正当な争議行為が認められているのに対し、使用者にもその対抗防衛手段として相当と認められる行為については是認される」点を理解しておくとよいでしょう。
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