社会保険労務士の過去問
第52回(令和2年度)
厚生年金保険法 問8

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問題

社労士試験 第52回(令和2年度) 択一式 厚生年金保険法 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

厚生年金保険法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 厚生労働大臣は、毎月、住民基本台帳法第30条の9の規定による老齢厚生年金の受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受け、必要な事項について確認を行うが、当該受給権者の生存若しくは死亡の事実が確認されなかったとき(厚生年金保険法施行規則第35条の2第1項に規定する場合を除く。)又は必要と認めるときには、当該受給権者に対し、当該受給権者の生存の事実について確認できる書類の提出を求めることができる。
  • 死亡した被保険者の2人の子が遺族厚生年金の受給権者である場合に、そのうちの1人の所在が1年以上明らかでないときは、他の受給権者の申請によってその所在が明らかでなくなった時にさかのぼってその支給が停止されるが、支給停止された者はいつでもその支給停止の解除を申請することができる。
  • 厚生労働大臣は、適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者を厚生年金保険の被保険者とする認可を行ったときは、その旨を当該被保険者に通知しなければならない。
  • 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定する。
  • 年金たる保険給付の受給権者が、正当な理由がなくて、実施機関が必要があると認めて行った受給権者の身分関係に係る事項に関する職員の質問に応じなかったときは、年金たる保険給付の額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。

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この過去問の解説 (4件)

01

1.正
設問のとおりです。
厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定による機構保存本人確認情報の提供を受け、生存の確認ができる受給権者については、原則として生存の事実について確認できる書類を提出する必要はありません。

2.正
設問のとおりです。
また、配偶者又は子に対する遺族厚生年金は、その配偶者又は子の所在が1年以上明らかでないときは、遺族厚生年金の受給権を有する子又は配偶者の申請によって、その所在が明らかでなくなった時にさかのぼって、その支給を停止します。

3.誤
その旨を「当該被保険者」ではなく「事業主」に通知しなければならないとされています。
なお、事業主は、通知があったときは、すみやかに、これを被保険者に通知しなければなりません。

4.正
設問のとおりです。
配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定します。

5.正
設問のとおりです。
なお、障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は老齢厚生年金の加給年金額の加算が行われている子が、正当な理由がなくて、実施機関の診断命令に従わず、又は当該職員による障害の状態の診断を拒んだときも、年金たる保険給付は、その額の全部又は一部につき、その支給を停止することができます。

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02

1.設問のとおり正しいです。

厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定による機構保存本人確認情報の提供を受けることができない場合、本肢のとおり書類の提出を求めることができます。

2.設問のとおり正しいです。

配偶者又は子の所在が1年以上明らかでないときについても同様に規定しています。

3.「当該被保険者」ではなく「事業主」なので誤りです。

厚生労働大臣は、適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者を厚生年金保険の被保険者とする認可を行ったときは、その旨を事業主に通知しなければなりません。

4.設問のとおり正しいです。

配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定します。

5.設問のとおり正しいです。

年金たる保険給付の受給権者が、正当な理由がなくて、実施機関が必要があると認めて行った受給権者の身分関係に係る事項に関する職員の質問に応じなかったときは、年金たる保険給付の額の全部又は一部につき、その支給を停止することができます。

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03

 厚生年金保険に関しては、企業等に勤務している被保険者の立場にいる人としては、実生活でも身近な部分があるので、当該身近な部分から知識を固めていくとともに、保険者側・事業主側の立場にかかる規定についても、経験と想像から知識を増やすようにしていくことで、机上での学習の他に理解を深められるようにするとよいでしょう。

選択肢1. 厚生労働大臣は、毎月、住民基本台帳法第30条の9の規定による老齢厚生年金の受給権者に係る機構保存本人確認情報の提供を受け、必要な事項について確認を行うが、当該受給権者の生存若しくは死亡の事実が確認されなかったとき(厚生年金保険法施行規則第35条の2第1項に規定する場合を除く。)又は必要と認めるときには、当該受給権者に対し、当該受給権者の生存の事実について確認できる書類の提出を求めることができる。

 正しい記述です。

 本設問文の内容は、無権限者等による不正受給等の防止のために必要な規定である点は、容易に判断が可能かと考えます。

選択肢2. 死亡した被保険者の2人の子が遺族厚生年金の受給権者である場合に、そのうちの1人の所在が1年以上明らかでないときは、他の受給権者の申請によってその所在が明らかでなくなった時にさかのぼってその支給が停止されるが、支給停止された者はいつでもその支給停止の解除を申請することができる。

 正しい記述です。

 実生活上でどのような場面でこのような事態になりうるかあまり想定がしづらいのですが、本設問文をそのまま理解しておきましょう。

 なお、他の法令においても同様の規定がある点を、あわせて理解しておくとよいでしょう。

選択肢3. 厚生労働大臣は、適用事業所以外の事業所に使用される70歳未満の者を厚生年金保険の被保険者とする認可を行ったときは、その旨を当該被保険者に通知しなければならない。

 誤った記述です。

 本設問文の場合、厚生労働大臣は事業主に通知する必要があります。

 適用事業所以外の事業所なので、通常は自身の雇用する労働者にかかる厚生年金保険料の負担はありませんが、被保険者の認可を行ったことで、当該事業主に保険料の半分負担が発生するため、これを認識させるために事業主に通知する規定があると理解しておくとよいでしょう。

選択肢4. 配偶者以外の者に遺族厚生年金を支給する場合において、受給権者の数に増減を生じたときは、増減を生じた月の翌月から、年金の額を改定する。

 正しい記述です。

 受給条件に変更が生じた場合は、その翌月から年金額が改定されます。

 他の法令でも同様の規定があるので、制度横断で整理し理解しておくとよいでしょう。

選択肢5. 年金たる保険給付の受給権者が、正当な理由がなくて、実施機関が必要があると認めて行った受給権者の身分関係に係る事項に関する職員の質問に応じなかったときは、年金たる保険給付の額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。

 正しい記述です。

 適切な受給資格の確認を妨げるような行為に対して、本設問文のような制約が発生しうる点は、容易に判断が可能かと考えます。

 他の法令においても同様の規定があるので、制度横断的に整理し理解しておくとよいでしょう。

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04

正解:3

1:設問の通りです(厚生年金保険法施行規則第35条第1項)。

 なお、厚生労働大臣は、設問の場合により日本年金機構保存本人確認情報の提供を受けるために必要と認める場合は、老齢厚生年金の受給権者に対し、当該受給権者に係る個人番号の報告を求めることもできます(同条第2項)。 

2:設問の通りです(厚生年金保険法第68条第1項、第2項)。

 設問の申請ができる場合の要件は、正確には「配偶者以外の者に対する遺族厚生年金の受給権者が二人以上である場合」です。

3:「当該被保険者」ではなく「事業主」に通知されます(厚生年金保険法第29条第1項)。

 なお、事業主は、設問の通知があったときは、すみやかに、これを被保険者に通知しなければなりません(同条第2項)。

4:設問の通りです(厚生年金保険法第61条第1項)。

5:設問の通りです(厚生年金保険法第77条第1号)。

 なお、①障害等級に該当する程度の障害の状態にあることにより、年金たる保険給付の受給権を有し、又は老齢厚生年金の加給年金額の加算が行われている子が、正当な理由がなくて、実施機関の診断命令に従わず、又は当該職員による障害の状態の診断を拒んだときや、②①の者が、故意若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、その障害の回復を妨げたときも、年金たる保険給付は、その額の全部又は一部につき、その支給を停止されることがあります(同条第2号、第3号)。

以上より、誤っている選択肢は3で、これが正解となります。

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