社会保険労務士の過去問
第52回(令和2年度)
国民年金法 問9

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問題

社労士試験 第52回(令和2年度) 択一式 国民年金法 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

任意加入被保険者及び特例による任意加入被保険者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 68歳の夫(昭和27年4月2日生まれ)は、65歳以上の特例による任意加入被保険者として保険料を納付し、令和2年4月に老齢基礎年金の受給資格を満たしたが、裁定請求の手続きをする前に死亡した。死亡の当時、当該夫により生計を維持し、当該夫との婚姻関係が10年以上継続した62歳の妻がいる場合、この妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給していなければ、妻には65歳まで寡婦年金が支給される。なお、死亡した当該夫は、障害基礎年金の受給権者にはなったことがなく、学生納付特例の期間、納付猶予の期間、第2号被保険者期間及び第3号被保険者期間を有していないものとする。
  • 60歳で第2号被保険者資格を喪失した64歳の者(昭和31年4月2日生まれ)は、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を受給中であり、あと1年間、国民年金の保険料を納付すれば満額の老齢基礎年金を受給することができる。この者は、日本国籍を有していても、日本国内に住所を有していなければ、任意加入被保険者の申出をすることができない。
  • 20歳から60歳までの40年間第1号被保険者であった60歳の者(昭和35年4月2日生まれ)は、保険料納付済期間を30年間、保険料半額免除期間を10年間有しており、これらの期間以外に被保険者期間を有していない。この者は、任意加入の申出をすることにより任意加入被保険者となることができる。なお、この者は、日本国籍を有し、日本国内に住所を有しているものとする。
  • 昭和60年4月から平成6年3月までの9年間(108か月間)厚生年金保険の第3種被保険者としての期間を有しており、この期間以外に被保険者期間を有していない65歳の者(昭和30年4月2日生まれ)は、老齢基礎年金の受給資格を満たしていないため、任意加入の申出をすることにより、65歳以上の特例による任意加入被保険者になることができる。なお、この者は、日本国籍を有し、日本国内に住所を有しているものとする。
  • 60歳から任意加入被保険者として保険料を口座振替で納付してきた65歳の者(昭和30年4月2日生まれ)は、65歳に達した日において、老齢基礎年金の受給資格要件を満たしていない場合、65歳に達した日に特例による任意加入被保険者の加入申出があったものとみなされ、引き続き保険料を口座振替で納付することができ、付加保険料についても申出をし、口座振替で納付することができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

20歳から60歳までの40年間第1号被保険者であった60歳の者・・・」が正解です。

選択肢1. 68歳の夫(昭和27年4月2日生まれ)は、65歳以上の特例による任意加入被保険者として保険料を納付し、令和2年4月に老齢基礎年金の受給資格を満たしたが、裁定請求の手続きをする前に死亡した。死亡の当時、当該夫により生計を維持し、当該夫との婚姻関係が10年以上継続した62歳の妻がいる場合、この妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給していなければ、妻には65歳まで寡婦年金が支給される。なお、死亡した当該夫は、障害基礎年金の受給権者にはなったことがなく、学生納付特例の期間、納付猶予の期間、第2号被保険者期間及び第3号被保険者期間を有していないものとする。

×

特例による任意加入被保険者であった期間は、寡婦年金の支給要件では「保険料納付済期間」に算入されません。

そのため、設問の62歳の妻には寡婦年金の受給権は発生しません。

選択肢2. 60歳で第2号被保険者資格を喪失した64歳の者(昭和31年4月2日生まれ)は、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を受給中であり、あと1年間、国民年金の保険料を納付すれば満額の老齢基礎年金を受給することができる。この者は、日本国籍を有していても、日本国内に住所を有していなければ、任意加入被保険者の申出をすることができない。

×

老齢基礎年金の計算の基礎となる保険料納付済期間の月数が480月に満たない者は特別支給の老齢厚生年金の支給を受けていても要件に該当すれば任意加入被保険者の申出をすることができます。

選択肢3. 20歳から60歳までの40年間第1号被保険者であった60歳の者(昭和35年4月2日生まれ)は、保険料納付済期間を30年間、保険料半額免除期間を10年間有しており、これらの期間以外に被保険者期間を有していない。この者は、任意加入の申出をすることにより任意加入被保険者となることができる。なお、この者は、日本国籍を有し、日本国内に住所を有しているものとする。

設問の者は、老齢基礎年金の計算の基礎となる保険料納付済期間の月数が下記の通りとなります。

保険料納付済期間(360月)+保険料半額免除期間(120月)×3/4=450月

満額である480月に満たないため、申出により任意加入被保険者となることができます。

選択肢4. 昭和60年4月から平成6年3月までの9年間(108か月間)厚生年金保険の第3種被保険者としての期間を有しており、この期間以外に被保険者期間を有していない65歳の者(昭和30年4月2日生まれ)は、老齢基礎年金の受給資格を満たしていないため、任意加入の申出をすることにより、65歳以上の特例による任意加入被保険者になることができる。なお、この者は、日本国籍を有し、日本国内に住所を有しているものとする。

×

設問の者は、老齢基礎年金の保険料納付済期間が「124月」となり支給要件を満たしているため、特例による任意加入被保険者の申出はできません。

老齢基礎年金の保険料納付済期間は厚生年金保険の第3種被保険者期間の特例により、下記のように計算します。

 昭和61年3月31日以前:実期間×3分の4倍

 昭和61年4月1日~平成3年3月31日:実期間×5分の6倍

そのため、設問の者の保険料納付済期間は、下記の計算方法で計算します。

 昭和61年3月31日以前:12月

 昭和61年4月1日~平成3年3月31日間:60月

 平成3年4月1日以降:36月

12月×4/3+60月×6/5+36月=124月

選択肢5. 60歳から任意加入被保険者として保険料を口座振替で納付してきた65歳の者(昭和30年4月2日生まれ)は、65歳に達した日において、老齢基礎年金の受給資格要件を満たしていない場合、65歳に達した日に特例による任意加入被保険者の加入申出があったものとみなされ、引き続き保険料を口座振替で納付することができ、付加保険料についても申出をし、口座振替で納付することができる。

×

特例による任意加入被保険者期間は、付加保険料は納付できません。

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02

1.誤
65歳以上70歳未満の特例による任意加入被保険者は、寡婦年金の規定については第1号被保険者とみなされないため寡婦年金は支給されません。

2.誤
特別支給の老齢厚生年金の受給権者であっても、老齢基礎年金の額の計算の基礎となる保険料納付済期間等の月数が480に満たなければ、20歳以上65歳未満の在外邦人は任意加入被保険者となることができます。

3.正
設問のとおりです。
老齢基礎年金の額の計算の基礎となる保険料納付済期間等の月数が480に満たないので、任意加入被保険者となることができます。

4.誤
厚生年金保険の第3種被保険者であった昭和60年4月から平成3年3月までは被保険者期間の計算の特例が適用されます。
そのため10年の老齢基礎年金の受給資格を満たすため、任意加入被保険者となることはできません。

5.誤
特例による任意加入被保険者は、付加保険料を納付することはできません。

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03

 国民年金における任意加入及び「特例による」任意加入の違いについて理解しておくとともに、もし実生活で当該知識を活かす機会があればぜひ活かしましょう。

 ・任意加入:将来の年金を増やすために加入するもの

 ・特例による任意加入:現在年金の受給資格を満たさない人が、満たすまで加入するもの

選択肢1. 68歳の夫(昭和27年4月2日生まれ)は、65歳以上の特例による任意加入被保険者として保険料を納付し、令和2年4月に老齢基礎年金の受給資格を満たしたが、裁定請求の手続きをする前に死亡した。死亡の当時、当該夫により生計を維持し、当該夫との婚姻関係が10年以上継続した62歳の妻がいる場合、この妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受給していなければ、妻には65歳まで寡婦年金が支給される。なお、死亡した当該夫は、障害基礎年金の受給権者にはなったことがなく、学生納付特例の期間、納付猶予の期間、第2号被保険者期間及び第3号被保険者期間を有していないものとする。

 誤った記述です。

 本設問文の妻は、寡婦年金を支給されません。

 死亡した夫にかかる「65歳以上の特例による任意加入被保険者」であった期間については、本人の老齢基礎年金の算定基礎となりますが、死亡した際の妻の寡婦年金の支給要件には算入されない点を、理解しておくとよいでしょう。

選択肢2. 60歳で第2号被保険者資格を喪失した64歳の者(昭和31年4月2日生まれ)は、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を受給中であり、あと1年間、国民年金の保険料を納付すれば満額の老齢基礎年金を受給することができる。この者は、日本国籍を有していても、日本国内に住所を有していなければ、任意加入被保険者の申出をすることができない。

 誤った記述です。

 日本国籍を有しており、日本国内に住所を有しない20歳以上65歳未満の人は、任意加入被保険者になることができる点を、理解しておくとよいでしょう。

選択肢3. 20歳から60歳までの40年間第1号被保険者であった60歳の者(昭和35年4月2日生まれ)は、保険料納付済期間を30年間、保険料半額免除期間を10年間有しており、これらの期間以外に被保険者期間を有していない。この者は、任意加入の申出をすることにより任意加入被保険者となることができる。なお、この者は、日本国籍を有し、日本国内に住所を有しているものとする。

 正しい記述です。

 本設問文の者は、老齢基礎年金の満額支給に向けて、任意加入被保険者となることができる点を、理解しておくとよいでしょう。

選択肢4. 昭和60年4月から平成6年3月までの9年間(108か月間)厚生年金保険の第3種被保険者としての期間を有しており、この期間以外に被保険者期間を有していない65歳の者(昭和30年4月2日生まれ)は、老齢基礎年金の受給資格を満たしていないため、任意加入の申出をすることにより、65歳以上の特例による任意加入被保険者になることができる。なお、この者は、日本国籍を有し、日本国内に住所を有しているものとする。

 誤った記述です。

 本設問文の者は、老齢基礎年金の受給資格は満たしています。

 厚生年金保険の第3種被保険者(船員・坑内員)については、受給資格期間の計算において、特例がある点を理解しておくとよいでしょう。

 具体的には以下のとおりですが、学習の優先度は下げてよいと筆者は考えます。

・昭和61年3月31日までの間・・・3分の4倍

・昭和61年4月1日から平成3年3月31日までの間・・・5分の6倍

選択肢5. 60歳から任意加入被保険者として保険料を口座振替で納付してきた65歳の者(昭和30年4月2日生まれ)は、65歳に達した日において、老齢基礎年金の受給資格要件を満たしていない場合、65歳に達した日に特例による任意加入被保険者の加入申出があったものとみなされ、引き続き保険料を口座振替で納付することができ、付加保険料についても申出をし、口座振替で納付することができる。

 誤った記述です。

 特例による任意加入被保険者は、年金の受給資格を満たすために加入するものであり、年金額を増やす目的である付加保険料の納付は行うことができない点を、理解しておくとよいでしょう。

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