社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問1

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問題

社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

労働基準法の総則(第1条~第12条)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 労働基準法第1条第2項にいう「この基準を理由として」とは、労働基準法に規定があることが決定的な理由となって、労働条件を低下させている場合をいうことから、社会経済情勢の変動等他に決定的な理由があれば、同条に抵触するものではない。
  • 労働基準法第3条が禁止する「差別的取扱」をするとは、当該労働者を有利又は不利に取り扱うことをいう。
  • 労働基準法第5条に定める「脅迫」とは、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足りる。
  • 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合に、これを拒むことはできないが、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することは許される。
  • 労働者が法令により負担すべき所得税等(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料等を含む。)を事業主が労働者に代わって負担する場合、当該代わって負担する部分は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、労働基準法第11条の賃金とは認められない。

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この過去問の解説 (3件)

01

解説は以下のとおりです。

選択肢1. 労働基準法第1条第2項にいう「この基準を理由として」とは、労働基準法に規定があることが決定的な理由となって、労働条件を低下させている場合をいうことから、社会経済情勢の変動等他に決定的な理由があれば、同条に抵触するものではない。

この規定は労働基準法の基準を決定的な理由として労働条件の低下を禁止するものです。社会経済情勢の変動等他に決定的な理由がある場合にはこの規定に違反するものではありません。

法第一条関係

(中略)

(三) 第二項については労働条件の低下がこの法律の基準を理由としてゐるか否かに重点を置いて認定し経済諸条件の変動に伴うものは本条に抵触するものとしないこと。

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1896&dataType=1&pageNo=1

選択肢2. 労働基準法第3条が禁止する「差別的取扱」をするとは、当該労働者を有利又は不利に取り扱うことをいう。

「差別的取扱」には不利に扱う場合だけではなく、有利に扱う場合も含まれます。

第4条男女同一賃金の原則も同様です。

選択肢3. 労働基準法第5条に定める「脅迫」とは、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足りる。

第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

不当に拘束する手段とは、社会通念上是認し難い程度の手段の意であるため、必ずしも積極的な言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足りる。

法第五条関係

中略

(二) 「不当に拘束する手段」とは法に例示するもの以外に例へば法第一六条第一七条第一八条等もこれに該当するが、就業規則に社会通念上認められる懲戒罰を規定する如きは「不当」とは認めないこと。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049

選択肢4. 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合に、これを拒むことはできないが、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することは許される。

法7条

使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

「労働者の請求を拒んではならない」と規定しており、結果として公民権を行使できたとしても請求を拒めば法7条違反となります。

選択肢5. 労働者が法令により負担すべき所得税等(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料等を含む。)を事業主が労働者に代わって負担する場合、当該代わって負担する部分は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、労働基準法第11条の賃金とは認められない。

労働者が法令により負担すべき所得税等(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料等を含む。)を事業主が労働者に代わって負担する場合、当該代わって負担する部分は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、労働基準法第11条の賃金とは認められない。

第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

労働者が法令により負担すべき所得税等は当該負担部分は賃金となります。例えば民間の生命保険料補助金などは賃金とはなりません。

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02

解答:「労働者が法令により負担すべき所得税等(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料等を含む。)を事業主が労働者に代わって負担する場合、当該代わって負担する部分は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、労働基準法第11条の賃金とは認められない。」が正解です。

選択肢1. 労働基準法第1条第2項にいう「この基準を理由として」とは、労働基準法に規定があることが決定的な理由となって、労働条件を低下させている場合をいうことから、社会経済情勢の変動等他に決定的な理由があれば、同条に抵触するものではない。

社会経済情勢の変動等他に決定的な理由があれば、労働基準法第1条第2項を理由として低下させたことにはなりません。

選択肢2. 労働基準法第3条が禁止する「差別的取扱」をするとは、当該労働者を有利又は不利に取り扱うことをいう。

「差別的取扱」は、不利に扱うことはもちろん、有利に扱うことも該当します。

選択肢3. 労働基準法第5条に定める「脅迫」とは、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足りる。

「脅迫」とは、積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも「脅迫」になります。

選択肢4. 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合に、これを拒むことはできないが、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することは許される。

労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使することは拒むことができません。

権利の行使又は公の職務の執行に妨げがないのであれば、時間の変更はできます。

選択肢5. 労働者が法令により負担すべき所得税等(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料等を含む。)を事業主が労働者に代わって負担する場合、当該代わって負担する部分は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、労働基準法第11条の賃金とは認められない。

×

労働者が法令により負担すべき所得税等を事業主が代わって負担すると「賃金」に該当します。

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03

1.記述のとおりです。

社会経済情勢の変動等他に決定的な理由があれば、同条に抵触するものではありません。

2.記述のとおりです。

「差別的取扱」をするとは、当該労働者を有利又は不利に取り扱うことをいいます。

3.記述のとおりです。

「脅迫」とは、労働者に恐怖心を生じさせる目的で本人又は本人の親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、脅迫者自ら又は第三者の手によって害を加えるべきことを通告することをいうが、必ずしも積極的言動によって示す必要はなく、暗示する程度でも足ります。

4.記述のとおりです。

労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合に、これを拒むことはできないが、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することは許されます。

5.誤りです。

所得税、社会保険料などの本人負担分を代わって負担する場合は、その部分は賃金とみなされます。

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