社会保険労務士の過去問
第53回(令和3年度)
労働基準法及び労働安全衛生法 問2
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問題
社労士試験 第53回(令和3年度) 択一式 労働基準法及び労働安全衛生法 問2 (訂正依頼・報告はこちら)
労働基準法に定める労働契約及び年次有給休暇等に関する次の記述のうち、正しいものを2つ選びなさい。
※ 労働基準法の改正(令和6年4月1日施行)により、
労働条件の明示事項について、要件の変更がありました。
この問題は令和3年(2021年)に出題された問題をもとに一部変更しました。
また、当初の正答は「1つ」でしたが、法改正により正答が「2つ」に変更となりました。
- 労働基準法第14条にいう「一定の事業の完了に必要な期間を定める」労働契約については、3年(同条第1項の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結することが可能であるが、その場合には、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかであり、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要である。
- 労働契約の締結の際に、使用者が労働者に書面により明示すべき「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」について、労働者にとって予期せぬ不利益を避けるため、将来就業する可能性のある場所や、将来従事させる可能性のある業務を併せ、網羅的に明示しなければならない。
- 労働基準法第17条にいう「労働することを条件とする前貸の債権」には、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融や賃金の前払いのような弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものも含まれる。
- 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見聴取をした上で、就業規則に、労働契約に附随することなく、労働者の任意になす貯蓄金をその委託を受けて管理する契約をすることができる旨を記載し、当該就業規則を行政官庁に届け出ることにより、労働契約に附随することなく、労働者の任意になす貯蓄金をその委託を受けて管理する契約をすることができる。
- 労働基準法第39条に従って、労働者が日を単位とする有給休暇を請求したとき、使用者は時季変更権を行使して、日単位による取得の請求を時間単位に変更することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
解説は以下のとおりです。
正
第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。
契約期間の例外が3つあります。
《特例1》専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」という。)→ 上限5年
《特例2》満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約 → 上限5年
《特例3》一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約 (有期の建設工事等) → その期間
一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約の場合、その事業の終期までの期間を定める労働契約を締結することが可能です。
その事業が有期事業であることが客観的に明らかで、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要です。
https://www.mhlw.go.jp/topics/2003/11/dl/tp1111-1b.pdf
誤
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
雇入れ直後の就業場所及び従事すべき業務に関する事項を提示すれば足ります。
(労働条件の明示>絶対的明示事項)
↓
正
※2024年4月施行の法改正により、
将来の就業場所や業務についても、明示が求められるようになりました。
誤
労働基準法第17条にいう「労働することを条件とする前貸の債権」には、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融や賃金の前払いのような弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものも含まれる。
法第一七条関係
(一) 弁済期の繰上げで明かに身分的拘束を伴わないものは労働することを条件とする債権には含まれないこと。
(二) 労働者が使用者から人的信用に基く貸借として金融を受ける必要がある場合には、賃金と相殺せず労働者の自由意志に基く弁済によらしめること。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1896&dataType=1&pageNo=1
誤
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見聴取をした上で、就業規則に、労働契約に附随することなく、労働者の任意になす貯蓄金をその委託を受けて管理する契約をすることができる旨を記載し、当該就業規則を行政官庁に届け出ることにより、労働契約に附随することなく、労働者の任意になす貯蓄金をその委託を受けて管理する契約をすることができる。
第十八条 使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
② 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。
誤
労働基準法第39条に従って、労働者が日を単位とする有給休暇を請求したとき、使用者は時季変更権を行使して、日単位による取得の請求を時間単位に変更することができる。
第三十九条
(中略)
④ 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
一 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
二 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)
三 その他厚生労働省令で定める事項
三十九条5項 使用者の時季変更権
⑤ 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
時間単位の年次有給休暇も使用者の時季変更権の対象となりますが、労働者が時間単位による取得を請求した場合に日単位に変更することは使用者の時季変更権にはあたりません。
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02
以下、選択肢ごとに解説します。
〇
「⼀定の事業の完了に必要な期間を定める」労働契約は、その事業が有期的事業であることと、その事業の終期までの期間を定める契約であることで、3年(同条第1項の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結することができます。
×
「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」は、労働契約の締結の際の絶対的明示事項ですが、雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務の明示のみで構いません。
ただし、将来の就業場所や従事させる業務も併せて明示しても差し支えはありません。
↓
◯
※2024年4月施行の法改正により、
将来の就業場所や業務についても、明示が求められるようになりました。
×
身分的拘束を伴わない人的信用に基づいて受ける金融や賃金の前払いのような弁済期の繰上げ等は、労働基準法第17条にいう「労働することを条件とする前貸の債権」には該当しません。
×
労働者の任意になす貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合は、「貯蓄金管理に関する労使協定」を締結して、行政官庁に届け出なければなりません。
×
労働者の日を単位とする有給休暇の請求に対して、使用者が時間単位に変更することはできません。
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03
以下、選択肢ごとに解説します。
記述のとおり正しいです。
労働基準法第14条にいう「一定の事業の完了に必要な期間を定める」労働契約については、3年(同条第1項の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、5年)を超える期間について締結することが可能であるが、その場合には、その事業が有期的事業であることが客観的に明らかであり、その事業の終期までの期間を定める契約であることが必要です。
誤りです。
雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足ります。
↓
※正しいです。
2024年4月施行の法改正により、
将来の就業場所や業務についても、明示が求められるようになりました。
誤りです。
明らかに身分的拘束を伴わないものは、労働することを条件とする前貸の債権には該当しません。
誤りです。
労使協定を締結して、行政官庁に届け出なければなりません。
設問のような意見聴取だけでは足りないということです。
誤りです。
あくまでも時間単位は労働者が請求するものです。
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